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普通の学園生活  作者: かいくいきい
第一幕

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24/36

試練



大魔王を封印するために僕とクルミ、それとミカン色の猫のミカンは百葉箱の中から繋がっている別の空間に来ていた。しばらく真っ暗な闇の空間を歩き続ける。しばらくして目の前に現れた一つの光。その光に向かって僕達は歩き続け闇の出口にたどり着いた。そこにはあったのは先に進むには試練に挑めという文字が書かれてる看板。僕達は意を決して試練に挑戦をする。

そして、現在はその試練の最中。


僕は、叫ぶ。

「助けてー。」








クルミが悲鳴を上げる。

「きゃーーー。」








ミカンが鳴く。

「んにゃーーー。」






―ガーーーーーーーッ


突如、僕達に襲い掛かるのは途轍もない浮遊感。そしてその後すぐに僕たちを襲うのは、とてつもない重力。それが交互に襲い掛かってきた。

凄まじき速さで僕達を乗せた乗り物はレールに沿って滑走する。


いわゆるジェットコースターだ。



―プシューッ。

ガタンッ。


急降下から始まり三度の宙返りを終え、僕達の乗っているジェットコースターはゴール地点に到着した。


「あー、怖かった。」

「私、フラフラする。」

「ふにゃーー。」


僕達は、ジェットコースター乗り場からふらふらと歩き近くのベンチに座る。

どうやら三半規管が機能していないらしい。たった数メートル。目の前にベンチは捉えているのに、右に大きくカーブをしながら明後日の方向に行ってしまう。

その後、膝をつき地面を這うようにしてなんとかベンチにたどり着いた。


何故、こんな状況になっているかと言うと‥‥



――――



「「「はい」」にゃ。」


看板の前で僕たちは試練に挑む為、返事をした。

それにより先ほどまで何もなかった空間に突然、メリーゴーランドやジェットコースター等といった様々なアトラクション施設が現れた。

目の前に現れたのは遊園地だった。

そして、看板に追加で浮かび上がった文字は、


「すべての施設を体験せよ。」


だった。


そして、いつの間にかこの遊園地のパンフレットが僕の手に握られていた。遊園地のパンフレットというよりは、旅行雑誌に近い程の厚みある。その厚みがこの遊園地の広さと施設の数を物語っていた。


そのパンフレットの表紙には、

「ようこそ!コスモランドへ♪」

と書かれていた。


…ようこそじゃねえよ。

僕は、悪態をつきながら頁をめくる。


「なっ」


目次を見て唖然とした。ぱっと見ただけでも500は超えるアトラクションの名前が記載されていた。


――――


今さっき僕達が乗っていたのは、「コスモコースター」。いや、「コスモロケット」だったか。

アトラクションを乗り終えパンフレットの目次に目をやる。体験したアトラクションの名前が黒字から白字へと変わる。


「コスモトロッコだったか‥‥」


白い文字に変わったのはコスモトロッコだった。


――――


僕達は既にレールを高速で走るジェットコースター系を20種、上空へ垂直に昇るタワー系を32種、映像や音で怖がらせてくるお化け屋敷系を31種、くるくる回転するメリーゴーランド系を27種、振り子のように左右に揺れるバイキング系を36種、小型の乗り物で競い合うゴーカート系を20種類。あと…‥‥‥忘れた。


とにかく、僕達は様々なアトラクションを体験して心身共に疲弊をしていた。

三半規管から始まり、手すりに必死にしがみつくための腕、恐怖とともに悲鳴を放つための喉。バランスをとるために踏ん張る足。そして、あとで気が付くこの部位も頑張ってたんだなぁと思う尻。


疲れ果てベンチに座る僕とクルミを余所に、ミカンはポップコーンを食べている。


「食うにゃ。」


ミカンは、グッタリしている僕にポップコーンを勧める。この試練の最も恐ろしいところがこれだ。


「分かってるよ。ミカン。食べればいいんでしょ。」


そう言い僕はひと粒だけ口に入れる。


「う、何だこれ?」

「これは、「急な雨が降って傘を買ったら、ステッキだった」味だにゃ。」


…なんだその味は。そりゃあ傘だと思って杖だったら、ショックが大きいが、その状況をポップコーンの味にするか?


何とも、言い難い味に僕の顔はしかめる。

それと同時にパンフレットの文字が白くなる。

そう、この「施設の体験」というのは、あちらこちらにあるポップコーン屋、チュロス屋、アイス屋、レストラン等も含まれていた。しかも、すべての味が意味の分からないネーミング。さっき飲んだジュースなんて、「推しのコンサートの最前列のチケットを取ったのに会場に着いたら実は昨日だった」味。


…あぁ、味なんか分からなかったよ。


――――


眩しい太陽の下。


「クルミー、はい。あーんして。」


僕は、手に持つソフトクリームをクルミに差し出した。


「あーーんっ。んー、美味しいっ。今度は私のをあげるね。はい、あーん。」


クルミが舐めたソフトクリームが僕の目の前に差し出される。


…こ、こ、これはっ、か、かんっ、かんせっ、間接キッスというものではないだろうか。


ゴクリっ。

僕は、生唾を飲み込む。


「あーん。はむっ。」


…幸せだ。


今、僕とクルミは、遊園地デートを満喫していた。


「ねぇ、次はあそこ行こうよ。」


クルミが満面の笑みで指を指した施設はお化け屋敷だった。


――――


「うらめしやー。」


その声と同時に井戸の中から、首の長い女性が現れる。


「きゃー。怖い。」


そう言い、クルミは僕に抱き着いてきた。


「クルミは怖がり屋さんだな。」


僕は、クルミの頭をぽんぽんと触りながら、抱き着いてきたクルミを落ち着かせる。


「これくらい、僕はへっちゃらだよ。」


僕は、そう言ってお化け屋敷の出口を探し歩き出した。その間にもクルミは僕の腕に抱き付いていた。


「クルミ、歩きづらいよ。」


僕は、そう言うがクルミの力は弱まる事はなくいつまでも僕に抱き着いている。


…しょうがないなぁ。


「うらめしやー」


クルミに抱き着かれながらゆっくりと歩いていると次の脅かしスポットにたどり着いたらしい。僕達を怖がらせようとした声の先を見ると二つの光の玉がユラユラと宙を漂っていた。


「きゃー。」


クルミは、更に僕の腕を強く抱きしめてきた。


…よし、クルミに良いところを見せよう。

そう考え腰に下げた剣を抜き、天に掲げる。


「大丈夫だよ。クルミ。この聖剣でお化けなんてやっつけてやる。」


僕は、右手の聖剣を握り直し、二つの光に向かって力の限り振り下ろした。


―ピコっ。


光に当たり聖剣は素っ頓狂な音を鳴らした。


「えっ?」


華麗に光の玉を切り裂く筈の聖剣は光の玉に触れた音に僕は驚いた。


…あれ?おかしいなぁ…

よしっ、もう一度だ。


僕は再び、右手の聖剣を天高く掲げ先程よりも力強く振り下ろす。


―ピコっ。


…もう一度だ。


―ピコっ。ピコピコっ。


何度も振り下ろしても、音が鳴るだけだった。

僕は、不思議に思い右手に握られている筈の聖剣に目をやる。

僕の右手に握られていたのは、ピコピコハンマーだった。


…な、なんで?


―ガシッ。


その時、僕のあごを毛むくじゃらの手が掴んできた。


…くっ、くそ、離せ。


僕の抵抗は空しく、びくともしなかった。

そして僕のあごを押さえつけながら毛むくじゃらな化け物が言う。


「これ、食べるにゃー。」

「ひぃー、ミ、ミカンーーー。」


そこには「ミカン」色をした化け猫がいた。


――――


「にゃっ、起きるにゃ。」


…ん?何処だここ?


僕は朦朧とする意識の中、僕は瞼を開ける。目の前には、「ミカン」色をした毛むくじゃらがいた。


「ひぃー、ミ、ミカンーーー。」

「何を寝ぼけてるにゃ。」


ミカンは僕を宥めるように言う。

…寝ぼけて‥‥、えっ、夢?


どうやら僕は、気を失っていたらしい。

度重なるアトラクションにチャレンジして、体力も精神力もすり切れていたのだった。


「最後だから、頑張って。」


そんな僕を覗き込むようにクルミが言った。

クルミが指を指す先には一つのアトラクションあった。


僕は慌てて、パンフレットを開く。

目次の黒字は、一つだけ。


「最後は、観覧車だよ。」


最後のアトラクションは頂上が見えない位に大きい観覧車。それは、ゆっくりと反時計回りに動いていた。


―――


「わぁ、高いねー。あれ最初に乗ったコースターだよ。」

「にゃ、にゃにゃ。」


対面に座っているクルミもミカンもこの巨大な観覧車に対しとても、はしゃいでいた。


確かに、観覧車に乗って今まで体験したアトラクションを眺めるのは、何か感慨深いものがあった。

途方も無い数のアトラクションや施設の体験が観覧車にうっすらと流れているBGMと合わさり頭の中で再生していた。

窓の外を見ると随分と高いところまで来ていた。


…頂上だ。

ここまで来ると地上はとても遠くアトラクション施設がポップコーン並みの大きさに見える。


校長先生は時間を止め、皆を人質にしてまで僕に大魔王の力を封印してほしかった。残された親父や先生達は無事だろうか?随分と時間が掛かってしまった。不安な気持ちで押し潰されようになる。

魔法を使える校長先生や皆は封印石の影響を受け弱体化する。僕はなんの力もないから影響は全くない。

大魔王の力を封印するのは僕が適任だった。


…あれ、そういえばどうして僕はなんの力もないのだろう…。大魔王の息子なのに?


いや、そんなことを考える時ではない。今は僕に出来る事をしよう。

きっと、それが最善なはずだ。僕はそう、自分に言い聞かせた。


「コスモ観覧車」。パンフレットに残る黒字はこの文字だけだ。

この観覧車が終われば今までと同じで白字に変わるだろう。そうしたら、次の試練があるのか?それとも大魔王がいるのか?


僕は、封印石の入った箱を握りこれから起こる事を予想した。


――――


そして観覧車が半周周り僕たちは地上へと戻ってきた。

パンフレットを見ると「コスモ観覧車」の名前が黒字から白字へと変わった。

僕たちは見合わせ


「「「やったー」」にゃ。」


僕たちは空高く手を上げ喜んだ。

その時、僕達の周りは暗くなった。

僕の影だけを残して……。


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