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普通の学園生活  作者: かいくいきい
第一幕
17/36

ルリポート



スミレ先生とコムセンを探しにパンケーキ屋に行った後、コムセンに黒よりも黒い影や皆の力の事を尋ねたが教えてくれなかった。クルミは何か知っているみたいだけど、コムセンの必ず話す。いつか話す。とのことを信じた。その後は特に何かが起きることは無く終業式の前日になった。

今日は、午前のみの授業の為、午後からはクルミと一緒に出掛ける約束をした。服装選びの最中、両親からメッセージ届いた。明日に旅行から帰ってくるらしい。



試行錯誤の末、コーディネートが決まった僕は、「ルリポート」の入り口にいる。

いつも食材を買っている併設のスーパーではなく、ショッピングモールの入り口がクルミとの待ち合わせ場所だった。

ショッピングモールの入り口からはいつものスーパーのレジが見える。今日もおばちゃんが元気よくレジ打ちをしている。そんな何でもない風景を見ても思わず笑みがこぼれる。これから僕はクルミとショッピングをするのだ。


…これは俗にいうデートと言ってよいだろう。


僕は抑えきれない高揚感を抱えながら昨日から必死にみているスマートフォンで検索した「出来る男のエスコート術」を見返した。


――――

程なくして、


「ごめんね。待った?」


クルミはいつの間にかそばまで来て僕に声をかけてきた。


「出来る男のエスコート術」デート待ち合わせ編.

―出来る男は、笑顔で「今来たところ。」と言うべし。


僕は、昨夜からエスコート術を繰り返し読み、得意の脳内シュミレーションでクルミとのデートを何度も重ねていた。万全の状態でこの瞬間に挑んだはずだった。

だが、クルミの姿を見た途端、すべて吹き飛んでしまった。


目の前の少し照れ臭そうに笑顔を見せるクルミの姿は制服とは違う私服。それを見たとたんに僕の胸は沸点に達し、つい口から思ったことが出ていた。


「か、可愛い。」

「えっ、えっ、馬鹿ぁーーー。」


バシッッ


クルミは顔を真っ赤にして、僕の顔面へ右ストレートを放つ。

僕は、地面に数回弾み「ルリポート」の入り口に転がった。


「もー、いきなり何言ってんの?」


転がる僕を余所に、クルミは顔を赤くしたまま、「キャーキャー」言いながら「ぴょんぴょん」と飛び跳ねていた。


――――


その後、僕達は最初に昼飯を食べることにした。

「ルリポート」の三階のフードコートでファストフードを一緒に食べる。


「ん、ポテト旨い。」


僕は、ジャガイモが好きだ。

一つ食べたら、止まらない。

ポテトを食べながら目の前でジュースを美味しく飲んでいるクルミに目をやる。


…やはりこれは、デートと言っていいだろう。


僕の視線に気がついたクルミは僕に視線を向ける。


「ケチャップが付いてるょ。」

「えっ?」


そう言うとクルミは僕の頬についたケチャップを指で拭い、そのままケチャップのついた指を舐めた。

僕はクルミの口へと向かう指を目で追っていた。

僕の視線はクルミの口元でしばらく止まっていた。その視線に気が付いたクルミは僕と目を合わせると途端に顔を赤くし、


「えっ、えっ、馬鹿ぁーーー。」


と、先程の光景を繰り返すようにクルミの右ストレートが僕の顔面に飛んでくる。

僕は再び地面に転がった。


…な、なぜ?殴られた?


――――


昼飯を終えフードコートを後にした僕達は次に行く場所へと向かう。

そこは僕とクルミが初めて会った場所。

何年も前に出会った玩具コーナー。

さすがに置いてある玩具の種類や棚の位置など、当時とは違う点は幾つかあるが、場所は変わっていなかった。ここがクルミと初めて会った場所。そう考えると、いろいろと思い出してくるものがある。

それはどうやらクルミも同じ気持ちのようで、


「ここで、初めて会って。」

「そうそう、その後、あそこの椅子で話したよね。」


僕とクルミは自然と手をつなぎ、当時の出来事を思い出し話が弾んだ。

その後、ルリポートでクルミといろいろなお店を巡った。洋服屋に靴屋、文房具屋に本屋。僕達は高校生故に、そこまでのお金は持ち合わせていないため、基本は商品を眺めているだけなのだがクルミと一緒にお店を回るだけでとても楽しかった。


「ルリポート」を一通り回った僕達は、再度、フードコートに来ていた。


楽しくて、はしゃいでいた僕達は、ジュースを買いフードコートのテーブル席に座り休憩をした。

僕はレモネード。クルミはオレンジジュースを買った。

僕はジュースを飲みながら、思いに耽っていた。


…今度はクルミと遊園地にいきたいなぁ‥‥。遊園地に行ってポップコーンを食べたりジェットコースターや観覧車に乗ったりきっと楽しいだろうなぁ…。


「ねぇ、クルミ、今度さ…」


僕の前に座るクルミは、僕の後方に興味の眼差しを向けていた。

振り返ると以前は無かったエリアが出来ていた。

硬貨を投入し正面のハンドルを回すと商品が出てくる「カプセル玩具」のエリアだった。


――――


「カプセル玩具」は、壁一面に幾つもの種類が並んでいた。100円のものもあれば、300円のものもある。クルミは様々な種類の「カプセル玩具」を覗きこんで目を輝かせていた。精巧な作りのフィギュアやおもちゃの指輪、食品の姿を模したミニチュアなど。

クオリティーの高い「カプセル玩具」を見て僕もテンションが上がる。


「カプセル玩具」を端から一通り観察していると、一台の「カプセル玩具」に興味を惹かれた。

中身が全く見えず「㊙プライスレス」と「必要な物が出るよ。」とだけ書かれている「カプセル玩具」を発見した。


試しにやってみよう思ったが硬貨を入れる穴が見当たらない。

…プライスレスだから?お金がかからないのか?


「ねぇ、クルミ?」


一つのカプセル玩具を真剣なまなざしでのぞき込んでいたクルミを僕は呼んだ。

クルミは僕に近づき目の前の「カプセル玩具」に視線を移した。僕は「カプセル玩具」を指して言った。


「クルミ、これってどういうことだと思う?」

「何?これ「必要な物が出るよ。」だって、初めて見たよ。回してみたら?」


クルミに促されるまま僕は、「カプセル玩具」のハンドル部分回してみる。

が、全く回らない。


「回らないよ。これ?」


何度も回そうと試みるが、右も左も回らなかった。

クルミも試しに回してみる。


「回らないね。」

「そうみたいだね。」


結局、この「カプセル玩具」から何が出るのかわからなかった…。


――――


「うぉ、なんだこれ。」

「やばくね?」


その時、フロアの奥で騒がしい声が聞こえた。

僕とクルミは、気になり声がする場所へと足を運んだ。


そこはルリポートの家電コーナー。

家電コーナーの入り口には天井から大型テレビが吊してあり、それに人が群がっていた。

テレビ画面に映っているのはスタジオのモニターに映る島と原稿を読むニュースキャスターの姿だった。


「送られてきました原稿によりますと‥この映像の島は‥、はぁ?‥‥、コホンッ。し、失礼致しました。この映像の島は、インフィニティ―・アイランドの近海に突如として現れたとのことです。繰り返します。この映像の島は、インフィニティ―・アイランドの近海に午後1時過ぎに突如として現れたとのことです。」


ニュースキャスターはあり得ない内容の原稿を驚きながら読続けた。


…インフィニティ―・アイランド‥‥?

インフィニティ―・アイランドは、確か親父達が、行っている場所。

なにか胸騒ぎがする。


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