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普通の学園生活  作者: かいくいきい
第一幕
16/36

変身



黒よりも黒い影が現れた。今までと違い黒よりも黒い影は僕と同じ姿になった。僕が黒よりも黒い影では?そう思えて僕は黒よりも黒い影を迎え入れようとした。その時に僕はクルミに殴ら…、助けられた。その時に突風とともに巨大な姿に変身した黒よりも黒い影。

それを見たコムセンの合図で3人の持ち物が光り輝く。

その光りに包まれ三人は両腕を胸の前でクロスにし唱えた。


「「変身っ。」」

「メタモルフォーゼ。」


――――


身体が石になり動けないがまだ声は出せる。

だが、僕は目の前の出来事をただ見るだけだった。

僕の目の前には、「魔女っ子レンジャー」がいた。

たとえ身体は動いても目の前の出来事に頭がついて行けず声を出すことも忘れていた。


僕の目の前には、黒よりも黒い巨大な影。その大きさはゆうに10メートルはあるだろう。

その黒よりも黒い影の正面には、大きな光を纏う三人の「魔女っ子レンジャー」がいた。


クルミの姿が制服から変わっている。

スミレ先生の姿がスーツから変わっている。

コムセンは‥‥変わらない。いつものジャージ姿のままだ…


三人から発せられる光はとても力強く、巨大な黒よりも黒い影すらも小さく感じる程の巨大な光。

暫くお互いはにらみ合っていた。

そして、


「散開っ」


コムセンの合図で、フリフリのメイド服のような衣装を身に纏った二人が動く。

右にピンク色のクルミ。

左に紫色のスミレ先生。

影の正面に紺色のコムセン。


コムセンは、こんな時でも色が被っていた。

だが、よく見ればスミレ先生の色とは若干違かも。


それからはあっという間だった。

右に動いたクルミが胸の前で両手を開き、

スミレ先生がチョークを振りかぶり、

コムセンが右手で影の一部を掴み、

それぞれが唱えた。


「ホーリーフラーーシュッ。」

「ジャイロヴァイオレットッ。」

「ネイビーブルー‥‥‥‥クラッシュッ。」


あっ、コムセンのタメがちょっと弱い。

というか、スミレ先生やっぱり意識してジャイロ回転をかけて投げていたのか‥‥

よし、これからは集中して授業を受けよう。


その、三色の光を浴びた影は、跡形もなく消えていった。

そして、僕はコムセンによって身体の自由を取り戻した。

クルミは少し残念な表情をしていた気がする。


―――――


「クルミ、さっきはありがとう。」


僕とクルミは電車の中。二人で帰路に着いていた。

クルミはわざわざ、僕を助けに駆けつけてくれたのだ。いくら感謝しても足りない。


「ううん。無事で良かった。」


クルミは、僕と目を合わせニコッと微笑んだ。


―――――


あの後、僕はコムセンに聞きたい事を尋ねた。


「コムセン。あの僕から伸びていく影は何者?それにその魔法は何?」


さんざんコムセンと二人きりになろうしたが、スミレ先生まで魔法で僕を助けてくれた。

クルミとコムセン、スミレ先生にも僕の疑問を聞いてもらう事が良いと思った。

しかも、今回は華麗な変身までしていた。若干、1名はそのままの姿だったが…

僕は、聞かずにはいられない。


「悪いが今は言えない。そうだな、近いうちに‥。必ず話すから、もう少し待て。」


僕の疑問はコムセンに保留にされてしまった。だが、必ず話すといった。コムセンだけでは信用はできないが、クルミとスミレ先生の前での約束。二人が証人だ。

何も分からないままだがその言葉に僕は素直に従った。僕は皆に助けられた身だ。


「安心しろ。お前は俺の生徒だ。何があっても守ってやる。」


僕はコムセンのその言葉を改めて信じることにした。


―――――


「あ、あのね。」


電車に揺られながら、僕はクルミに話し掛けられる。


「いいよ。クルミ、コムセンと約束した。無理に話さなくて大丈夫だから。」


クルミは、僕に話そうとしてくれたがそれは断った。

「今は言えない。」とコムセンは僕に言った。きっと何か意味があるのだろう。


―――――――


コムセンに魔法の事や、僕から伸びる黒よりも黒い影の事について尋ねたが、「今は言えない。」と断られてしまった。だが、必ずはしてくれると約束してくれたコムセン。

そのことからは何事もなかった。今日は午前のみの授業。

明日は1学期の終業式だ。明日学校に行けば夏休みになる。


季節は、夏。真っ盛り。梅雨も明け、今日は快晴。ギラつく太陽がとても眩しい。

今日の放課後にクルミと「ルリポート」で待ち合わせをしている。

いわゆるデートと言う奴だ。

たぶん…


―――――


「うーん?違う。」


僕は家に帰り、姿見のまえでこの後に着ていく服選びに四苦八苦していた。

服選びからかれこれ30分経過。これ以上時間をかけたら待ち合わせの時間に間に合わない。


ーブーッ、ブーッ。


その時、スマートフォンにメッセージが届く。

ん?クルミからかな?


そのメッセージは親父からだった。


「明日、帰る。

ー父 エンジ、母 ウルミ」


と、一文のみのメッセージ。

おい、親父もっと何か無いのか?こう、愛する息子への言葉は?

お袋に至っては、連名で個別の連絡はない。


ともあれ、明日に親父達が帰ってくる。

いきなり明日に帰るという親父の非常識にもあきれ「了解。」とだけ僕はメッセージを返信した。


僕の前に現れる黒よりも黒い影。

また、クルミ達の魔法は何なのか?

コムセンだけの話より情報を集められるならできる限り集めたい。クルミも何か知っているようだったし、親父も何か知っている可能性もあるかもしれない。


今まで生きてきてこんなことは無かった。

黒よりも黒い影に襲われること。ましてや魔法があるなんて…。それこそ魔女っ娘レンジャーが使っていた魔法のように。

初めて助けられた時、当然のようにクルミにしか魔法は使えないと思っていた。

だがクルミに続いて、コムセンとスミレ先生にも魔法で助けられた。


僕が知らないだけで、みんな魔法を使えたりして‥。

じゃあ、もしかしたら僕にも‥‥、なーんてね。

いやいや、それはないだろ‥‥


「ふぅ。」


僕は一息すると腕を胸の前でクロスした。







「変身っ。」



ーしーん‥‥

しかし、何も起きなかった…。


姿見には恥ずかしさのあまり悶絶する僕が映っていた。


是非ともブックマークをいただけますと嬉しいです。

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