混乱
話をするためにスミレ先生とともにコムセンを探した。見つけた後、3人一緒に学園へ戻る際に奴が現れた。僕の影からあの黒よりも黒い影が…。
この黒よりも黒い影は決まって僕の影から現れた。きっかけはわからない…。でも原因は僕だろう。僕から現れるこの黒よりも黒い影はなぜ、僕から現れるのだろう?
ほんの少し僕は、黒よりも黒い影に興味を持った。その時、僕の影から現れた黒よりも黒い影は僕そっくりの形に変化し僕の目の前には黒よりも黒い僕がいた。
――――
その姿を見て、僕の感覚が狂う。
僕の目の前には、黒よりも黒い僕がいる。
…ん?な、なんだ?
目の前には黒よりも黒い影の僕だったはず。
瞬きをするたびに、その黒よりも黒い影に色が付く。
いや、瞬きをするたびに僕と黒よりも黒い影の位置が入れ替わる。
…あれ?僕が影?影が僕?
色のついた僕と黒よりも黒い僕が入れ替わる。
…どっちが僕?
どちらが僕で、どちらが影かがわからなくっていた。
そして2人は両手を広げだす。
僕と僕はお互いが両手を広げたままゆっくりと近づく。
一歩、また一歩と前に進んだ。
僕は、目の前の僕に近づいて行った。
黒よりも黒い僕。
僕と僕との距離がゆっくりと縮まる。
後一歩、既にどちらかが手を伸ばせば触れる事の出来る距離で僕は両手を更に大きく構えた。
目の前の僕を迎え入れる為に。
ードゴッ。
「いっってぇーーー。」
いきなり、側頭部に衝撃を受けた。
その側頭部の痛みで僕は、我に返る。
…えっ?僕は、今、一体何をしようと…
先程、見せた笑顔とは違い、目の前の黒よりも黒い影は悔しそうな顔をしていた。
その影を無視し僕は後ろを振り向く。
僕を殴っ‥‥ではなく、助けてくれた者に目をやる。
「えっ、クルミ?」
そこには、目に涙を浮かべたクルミがいた。両手には、僕を叩いたであろう鞄を持ち、肩を上下に動かし呼吸を整えるクルミがいた。
「ばかーっ」
僕と目を合わせたクルミは、何度も鞄で僕を叩いた。
―ドゴッ、トガッ、ドゴッ…。
「いたっ、いたっ、痛いっ…」
「よしっ、サイトウよくやった。」
コムセンがサムズアップしながらクルミに声をかけていた。
僕の意識を戻したクルミを褒めていた。
だが、クルミの僕への攻撃は止まらなかった。
―ドカッ、ドゴッ、ドカッ…。
「馬鹿っ、馬鹿っ、馬鹿っ。」
…いや、ちょっ、ク、クルミさん‥‥
痛い、痛いって…
「ハイハーイ。ミス、サイトウ。ストーーップ。」
終わらないクルミからの連撃を止めたのは、スミレ先生。
クルミは、呼吸も粗くスミレ先生に羽交い締めされていた。羽交い締めされたクルミは、首だけ動かし、後ろを振り返りスミレ先生を睨み付けたように見えた。
―ぶわっ。
そんな中、黒よりも黒い影から突風が起きる。
僕たちは突風を受け、体勢を崩す。途轍もない強い風に当てられたが、何とか立ち続ける。
やがて、突風が収まり目を開けて前を見る。
黒よりも黒い影は、先程の形とは似ても似つかない程、大きくなっていた。
黒よりも黒い影は、僕そっくりの輪郭では無く、ただの巨大な塊。高さ10メートルはあろう巨大な姿に変わっていた。
そして僕は、また身体が足元から石に変わり動かなくる。辛うじて動くのは首から上だけ。
この後の出来事を見ろと言われているようだった。
「まずいっ。全力で行くぞ。」
いつもとは違い大きな声を出しすコムセン。
それに続くように、
「はいっ。」クルミは大きな声で返事をする。
「オッケー。」スミレ先生が右手でピースサインをつくりながら応える。
コムセンは二人の返事を聞き軽く頷く。
その時、コムセンの首からぶら下がっている「ストップウォッチ」が紺色に輝く。
クルミの髪を結っている「リボン」がピンク色に輝く。
スミレ先生はポケットの中からの細い棒状の物を取り出す。取り出した「チョーク」が紫色に輝く。
それぞれの光りに包まれ三人は両腕を胸の前でクロスにし唱える。
「「変身っ。」」
「メタモルフォーゼ。」
その言葉を合図に目の前の巨大な黒よりも黒い塊を凌駕するほどの光が三人から発せられた。
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