終末の魔女と漆黒の死神

契約の国ミトラス王国には、ふたつの伝説があった。
ひとつは国が傾くと現れ、人々を試し、国を滅ぼす時期を決めるという終末の魔女。
もうひとつは、国を滅ぼす疫病をもたらす漆黒の死神。

ふたつの伝説は別々の話であって、魔女と死神が同時に現れた話は今までなかった。
しかし今現在、ふたりが一緒に馬車で旅をして、各地で恵みや罰をもたらしているという噂話が国中に広がりつつある。

国としては、人心を惑わす噂の元は消してしまいたい厄介事だったが、死神を保護するという大精霊を立会人にした国家の約束事があったため死神に手出し出来なく、様子をみる他手立てがなかった。