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憂愁のヤマダハナコ  作者: ジョニー
チャプター4 2年生編 / 一学期
60/105

M52 ブローチとリング

【注意】

今回は絡み要素が多目です。と言うか殆どがカラミです。

言葉などには気を付けたつもりですが、長めのガールズラブ表現が苦手な方はブラウザバック推奨です。

宜しくお願いします。



 あたしは自室に入ると深呼吸した。




 落ち着け。まあ先ずは落ち着け。




 ちょっと願望が先走り過ぎただけだ。マリの笑顔が可愛すぎて堪らんかっただけだ。別に失敗したとは思って無い。


 って言うか・・・あーどうしよう。




 あの流れの中で今までの関係を考えたら誤解のしようは無いと思うし。その中で素直に頷いたんだし、マリだってもうそのつもりだよね。




 よくよく考えてみたら、あたしから『ソレが目的で』一緒に寝ようと言ったのは初めてじゃないか?今までって何となくそんな流れになったか、マリから言ってきたパターンだったかの様な気がする。




 そうだよ、今まであたしはマリに先導して貰ってただけじゃんか。だからコレでフェアになった。

 爪もちゃんと切った。湯浴みもモチロン済ませてある。歯も磨いたしミント水でお口のケアもバッチリだ。



 今日はマリの誕生日。あたしがイニシアチブを取らないと。



 あたしはいつものパジャマを放り投げると、クローゼット奥の引き出しから薄絹のネグリジェを取り出して身に纏った。そしてもう1つ身に付ける。




 よし、やったる。






『コンコン』


 マリの自室に続く扉をノックをすると


「ど、どうぞ。」


 とマリの上擦った声が聞こえてきた。




 カチャリと扉を開けて顔だけを覗かせると緊張した面持ちでベッドに腰掛けるマリと目が合った。


 見ればマリもネグリジェを着てる。




「・・・。」


 お互いに見つめ合って・・・クスリと笑ってしまった。




 あたしとマリの仲じゃない。今更、変な緊張をする必要なんて何処にも無いわ。




「お邪魔するね。」


 あたしが言うとマリも恥に噛みながら頷いた。


「うん。」




 あたしが部屋の中に入るとマリがビックリした顔をする。


「ヒナちゃん、ネグリジェ・・・。」


「うん・・・その・・・脱ぎやすいから。・・・マリもだね。」


「・・・うん、脱ぎやすいから・・・。」


 マリが頬を染めて答える。




「あれ・・・?」


 マリの視線があたしの胸元で止まる。


 ふふ、気付いた?


「それ・・・私があげたガーネットのブローチ・・・。」


「うん。」


 あたしは頷いた。


「マリが色んな気持ちと一緒にくれたブローチ。今日はマリの誕生日だから身に付けなきゃって思ったの。」


「・・・。」


 マリの瞳に少し涙が溜る。そしてそのまま笑って薬指を見せてくる。その繊やかな指にはあたしがあげたシルバーリングが嵌まっていた。


「私も指輪を嵌めた。」


「・・・うん。」


 嬉しい。けど、左手のクスリ指って・・・恥ずかしいよ。




「隣・・・座っていい?」


「うん、来て。」


 マリが手を伸ばしてくれたんで、あたしはその手に引かれて彼女の隣に座った。




 こういう事、初めてじゃ無い筈なのに。




 何だか凄く顔が熱くてマリの顔が見られない。それはマリも同じみたいで彼女も俯いている。


「・・・。」




 でも、決めたんだ。今日はあたしから行くんだって。




 あたしはマリの手をそっと握った。


「!」


 マリがピクリと震えてあたしの顔を見る。薄紅色だった顔が見る見る真っ赤になっていく。




「緊張してる?」


 マリがコクリと頷く。


「ふふふ。いつもは凄いのに。」


 あたしがそう言うと、マリはプクッと頬を膨らませて・・・直ぐに恥ずかしそうに顔を背けた。


「・・・だって、今日のヒナちゃん・・・凄く・・・。」


「?」


 凄く・・・?


 続きは?


「凄く・・・何?」


「何でも無い。」


 おい、気になるだろ。




「マリ。」


「言わない。」


「言えーー。」


「きゃー。」


 あたしがマリを引っ張り寄せると、彼女が倒れ込んで来た。




 マリはあたしに抱き止められた体勢のままポツリと呟いた。


「今日のヒナちゃん、とってもエッチな感じがする。」




 え・・・そんな感じする? 顔に出てんのか?


 まあバレてんならしゃーない。




「よくわかったね。」


「え・・・」


 あたしが言うとマリがギョッとなった様にあたしを見た。


「ふふふ・・・覚悟してね?」


 あたしが笑うとマリは恍惚とした表情で


「うん。」


 と頷いた。




「・・・」


 しな垂れかかる様にマリはあたしに寄りかかり見上げてくる。


 その右頬にあたしは左手を添えた。真っ白な頬は相変わらずプニプニして柔らかい。そのまま撫でる様に手を首筋にまで滑らせる。


「・・・っ。」


 擽ったそうにマリは首を少しだけ顰める。




 銀色の月光に煌めく白銀の髪をそっと梳いてみる。サラサラとあたしの指から髪が流れ落ちていく。あたしの野暮ったいダークレッドの髪とは違う奇跡の様な髪。


「綺麗な髪・・・。」


 あたしが呟くとマリの身体がピクリと震える。




 紅色の唇をそっと指でなぞると甘い吐息が漏れてあたしの指に掛かる。


「ヒナ・・・。」


 ねだる様な彼女の声と視線にあたしは微笑んで唇を落とした。彼女の柔らかな唇があたしと重なるとお互いに強く強く求め合った。




 マリの肩を押すと、彼女は呆気なく倒れる。その上に被さりながらあたしは彼女のネグリジェの前ボタンを外すと肩からスルリと脱がしてしまう。




 白雪の様な肌が露わになる。


 恥じらうように両腕で胸を隠すマリにあたしはキスの雨を降らせる。唇に、頬に、首筋に、鎖骨に。


 そして彼女の腕を退かしてその膨らみにも唇を落とした。口づけ、舌を這わせ・・・吸い付く。


「・・・!・・・あっ!」


 マリが小さく声を漏らして仰け反る。


 あたしはマリに口づけながら、手を彼女の膨らみの上に重ねて指を動かしていく。


「う・・・あ・・・。」


 喘ぐ声があたしの耳を刺激する。


「マリ・・・可愛い・・・。」


 あたしは呟きながら彼女を貪る。




 温かくて柔らかくて、とても綺麗なマリが、あたしの動きの1つ1つに反応して喘ぐ姿に引き込まれていく。




 更に手を伸ばした時、マリの手があたしを掴んだ。


「・・・マリ?」


「私ばかりが脱ぐのはズルい。」


 彼女は首を傾げるあたしを押し返してきて、逆に今度はあたしが下に組み敷かれる。




 マリは息を荒げ、エメラルドグリーンの双眸を妖しく輝かせてあたしを見下ろした。


 そしてあたしのネグリジェからガーネットのブローチを丁寧に外すと枕元の台にコトリと置いた。そして自分の指に嵌まったシルバーリングも外すとブローチに重ねる様に置く。




「・・・」


 彼女はその2つを見つめると微かにだけど嬉しそうに微笑む。




 ――・・・綺麗だな・・・。


 裸体もそのままに優しく微笑む彼女の、その横顔にあたしは見惚れてしまう。




 やがてマリはあたしに視線を戻すと前ボタンに手を掛け外してしまう。そして、あたしのネグリジェはスルリと脱がされた。




「ヒナ・・・とっても綺麗・・・。」


 あたしに跨がったマリが呟く。




 恥ずかしくて、さっきのマリみたいにあたしも両腕で自分の胸を隠した。


「・・・」


 マリは無言であたしの腕を掴むと胸から退かせてしまう。




 窓からそよいでくる夏の夜風が柔らかにあたしの膨らみを撫でていく。その上からマリの手があたしの膨らみに重なり優しく撫で回す。


「・・・ふ・・・う・・・。」


 思わず声が漏れる。




 そのあたしの唇にマリが唇を重ねてきた。


 口の中に入ってくるマリの舌と胸の上を踊る彼女の手の動きに翻弄されてあたしは悶えた。




「ハァ・・・ハァ・・・。」


 唇が離れて荒い息が木霊するなか彼女はあたしを見下ろした後、今度は首筋にキスをしてくる。そのまま舌を這わせて耳を舐めてくる。




 再び始まる彼女の攻めに身動ぎながら、あたしは思った。


 ――このままじゃ、また彼女に呑まれちゃう・・・。




 あたしはゆっくりと彼女の肩を押すとマリを離した。


「ヒナ・・・?」


 気持ち良さと刺激の強さに息が上がってしまって声も出ないけど、あたしは彼女を押し返してもう1度組み伏せた。


「あ・・・。」


 マリは小さく声を上げたけど抵抗もせずに倒れる。そしてあたしを見上げた。




「マリ・・・。」


 あたしは息を整えるとそう呟いて、左手で彼女の右の膨らみを撫でる。


「・・・っ。」


 マリは右手の甲を口に押し当てて声が漏れそうになるのを堪えている。






 あたしは手の動きを止めると、彼女の真っ赤な耳に口を寄せて囁いた。


「マリ・・・聞いて。」


 彼女はあたしの声に薄らと目を開けてゆっくりコチラを見た。


「・・・なぁに?」


「あのね・・・。」


 緊張してきた。


「あたし・・・マリにたくさん触れてきたわ。」


「うん。」


「でもね・・・。」


「・・・?」


 マリが訝しげにあたしを見る。




 ええい、言ったれ。




「・・・まだ、マリに触れてない場所がある・・・。」


 通じるかな?


 通じたら通じたで恥ずかしいけど。でも、触りたい。マリがどうなってしまうのかが見てみたい。




 マリは目をクリクリと動かして意味を考えてるみたいだった。




 やがて『あっ』て顔をした。




 マリはゆっくりと視線をあたしから外すと消え入りそうな声で言った。


「嘘。」


 嘘・・・?


「触れたじゃない・・・。湖で。水着の上からだったし、脚で、だったけど・・・。」




 確かにそうだった。最初に仕掛けてきたのはマリだったとは言え、思い返すとあたしもかなりエロい事をこの子にしてるんだな。でも意味が通じて良かった。




「確かにそうだったね。でも・・・手で触れたわけじゃない・・・。」


「・・・。」


 マリの顔は真っ赤だ。


 多分、あたしも。




 うー・・・流石にソレは嫌だったかな?・・・言わなきゃ良かった。




 マリがまた小さく尋ねてきた。


「触りたい・・・?」


「!」


 あれ?・・・いいの?


「うん、触りたい。マリの全部に触れたい。」


「・・・私だってあの時はそうしたかったし・・・。」


 マリは逡巡する様にそう呟きながら視線を彷徨わせていたけど・・・。


「いいよ。」


 そう小さく呟いた。




 ドクンと胸が一際高く脈打った。マリが許してくれた事に感情が昂ぶる。もう退き下がれない。退く気も無い。




 あたしは彼女の胸の上に置いていた左手を再び動かして、お腹をなぞっていく。そしてどんどん手を下に下ろしていき、彼女の右の太腿を撫でた。


「・・・。」


 マリは無言だ。




 あたしはそのまま左手で彼女の脚の内側を撫でる。


「!」


 マリがピクリと身動いだ。




「マリ・・・。」


 あたしは彼女に囁いた。


「脚・・・広げて・・・。」


「・・・。」


 マリはあたし見て・・・視線を逸らした。




 少しずつ脚が広がっていく。




 あたしはそのまま手を動かして下着の上から彼女に指を押し当てた。


「ひゃっ・・・!」


 マリが大きな声を上げる。全身が震えてあたしにしがみついてくる。


 あたしがゆっくりと指を動かすと、マリは声を押し殺しながら身を捩った。どんどん息が荒くなっていく。




 信じられないくらいに強い力でマリがあたしの肩を掴む。痛い。痛いけど確かにマリがあたしを感じてくれている事に対する嬉しさが勝る。




「マリ・・・。」


 喘ぐマリの耳元にあたしは話し掛ける。


「・・・もっとあたしを感じて。」




 マリは涙を浮かべた瞳で薄らとあたしを見ると


「ヒナ・・・。」


 と、今まで聞いた事も無い様な、掠れた・・・でも艶やかな声であたしの名を呼んだ。情欲と情愛の狭間で絞り出された彼女の声はまるで大人の女性の様であたしはドクンと胸を高鳴らせる。


「・・・大好き。」


 マリは喘ぎながら微笑んだ。




 あたしは指の動きは止めずにマリにキスをする。


「あたしも・・・マリが好き。」


 そしてもう一度口づけを落とす。




 やがて・・・。マリの身体がビクンと大きく震えて・・・全身の力が弛緩した。


 枕元に置かれたシルバーリングがガーネットのブローチから転がってコトリと落ちる。



 マリの激しい息使いだけが部屋を支配する。


 あたしはそんなマリの綺麗な横顔を眺める。






 夢のような時間は終わった。


 あたしはマリの呼吸が落ち着いたのを見計らってマリの頬に手を添えた。




「マリ。」


 呼び掛けるとマリがゆっくりとあたしを見て恥ずかしそうに視線を逸らした。


「凄く可愛かったよ。」


 あたしの言葉にマリは顔を赤らめる。


「ヒナちゃんのエッチ。」


 ぐうの音も出ない。まさにその言葉通りの事をしてしまった。


「うん、どうしてもマリにあたしを感じて欲しかったから。」




「・・・そんな素敵な言葉を使うなんてズルい。」


 マリがクルリとあたしに背を向ける。


「怒った・・・?」


 あたしはちょっと焦った。調子に乗りすぎたかな。




「・・・。」


「マリ・・・?」


 覗き込むあたしにマリは視線を向けると


「大好き。」


 と呟いて枕に顔を埋めた。




 ・・・鼻血吹きそう。でも、コレ言わないと締まらない。




「マリ、15歳のお誕生日おめでとう。」




 マリの耳が猛烈に赤くなっていき、枕に顔を埋めたまま彼女は足をバタバタさせた。おお、恥ずかしがってる。




 暫くしてからポツリと返事が返ってくる。




「ありがとう。・・・とっても嬉しい。」




 ふふふ。もう、顔くらい見せてよ。



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