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憂愁のヤマダハナコ  作者: ジョニー
チャプター4 2年生編 / 一学期
57/105

M49 夏休み



 夏休み。




 アイナとフレアは晴れやかな笑顔で実家に帰って行った。あの2人はこの夏に劇的なドラマが待っている筈なので、寮に戻って来たら多分するで在ろう『キスした話』でもゆっくり聴かせて貰おうか。




 セーラは2人に1日遅れで実家に戻って行った。・・・とは言え、彼女の実家は王都内なので馬車で半日くらいの所に在るそうだ。


『ヒナ達はいつ頃に実家に帰るの?』


『3日後。』


『・・・ちぇ。』


 マリも一緒にあたしの実家に行くことを知って、セーラは実家の用事を終えたらUターンして自分もあたしの実家に同行したかったらしい。


 でも3日後では王都を離れてしまっているらしく、あたし達に予定を合わせられなかった。


『じゃあ、来年。来年おいでよ。』


『約束よ。』


『わかった、わかった。』


 そう言って、セーラは漸くご機嫌で帰って行った。






 そして夏休みの初日。


 裁縫ギルドのセルマさんが水着を届けに来てくれた。




 新作水着どころかこの世界初の水着に御座います。




 伸縮性を図る為に材料となる生地の比率について試行錯誤が続き、色付けやデザインを入れる余裕は無かったようだ。視界に触れる水着表面に白絹を使用した美しい真っ白なワンピースの水着が届けられた。




 おお・・・でもこの色合いなら下手に柄を入れるよりもマリには似合うんじゃないかしら?




「コチラがマリーベル様。」


 セルマさんが差し出す水着を、マリは戸惑いがちに受け取る。


 其の水着にマリが手足を通すのね。


 銀髪を棚引かせて真っ白なワンピースを着るマリ・・・。うん、エロいです。感度良好です。ああ、早く見てみたい。




「コチラがハナコ様。」


 あー、はいはい。あたしも自分の水着を受け取る。マリと同じ水着なんだから確認する必要も無し。




「それと・・・。」


 セルマさんは付け加える。


「伸縮性と水への耐性はクリアしたのですが、やはり水に濡れてしまうと若干透明度が上がってしまいまして・・・。」


 ホウ・・・。ん?待って。え・・・其れって・・・。


「透けて見えちゃうって事ですか!?」


「はい。」


 はい、じゃない!それじゃ着れないじゃない。


 ほら、マリの顔が引き攣ってる!此れ、絶対に着ないって言い出すパターンだ。




「ですので、胸の部分と股の部分を下着の様な形状の薄い生地でガードさせて頂いております。違和感を感じるかも知れませんがお気になさらぬように。」


 ああ・・・、なんだ。対応はしてくれてるのね。ビックリした。




「ただ、やはり人目には触れぬ処でご使用下さい。」


「はい、勿論です。色々と有り難う御座いました。」


 セルマさんにあたしは御礼を言う。




 何だかんだで今回はセルマさんも大変だったらしく、目の下に隈が出来てる。感謝の意味も込めて、報酬は2割増しでお支払いした。




 さて、準備は整った。


 後はマリを愛で・・・いや、実家に帰るだけだ。




 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆




「ただ今戻りました。」


「お邪魔致します。」


 あたしとマリが挨拶をすると、執事のリジオンさんが出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ、お嬢様方。」




 ――お嬢様『方』ですって・・・。何このイケメン。




 あたし達は微笑むと実家に足を踏み入れた。


「リジオンさんって、きっとモテたでしょうね。」


「うん、そう思うわ。」


 ボソボソと話しているとライラが首を振った。


「あの方は今でも社交界の雄として同年代の御婦人方と楽しくされていらっしゃいますよ。」




 ・・・はぁ。ソウデスカ。モテる男に年齢は関係無いのね。




 お父様とお母様に挨拶をして部屋に戻り、テオも交えて3人で歓談する。途中、お花を摘みに離席した。用を済ませて部屋に戻る道すがら、あたしはリジオンさんに呼び止められた。




「お嬢様。」


「あ、リジオンさ・・・リジオン。」


 さん付けで呼ぼうとして、慌てて言い直す。


「ご報告が御座います。」


「報告・・・?」


 あたしは首を傾げる。




 この人から報告される様な事って何かあったかしら?




「デイプール家の件につきましてです。」




 あたしの眉間に皺が寄る。


 デイプール?・・・何だっけ?聞き覚えは有るんだけどな・・・。




「以前にお嬢様が危害を加えられそうになった・・・。」




 ああ!エルロね!・・・あれ?エロルだっけ?どうでもいいか、そんな事。


 覚えているわ。「許すまじ」よ。もちろんよ!


 あいつ、あたしのスカート引き摺り下ろしてパンツ見やがったのよ。あのクソガキ、舐めたマネしやがって。・・・そう言えば、あたしのパンツ見た奴、何人かまだ学園に残ってるのよね。・・・まあ、どうでもいいわ。




「ええ、覚えているわ。」


「・・・。」


 視線が盛大に「嘘を吐くな」と言ってる。




 あたしは殊更その視線には気付かないフリをして話を促す。


「それで、そのデイプールが?」


「破綻が始まったようです。」




 ・・・早くない?


「あれ?前に聴いた時は2年くらいを目処に・・・って言ってなかったかしら?」


「はい。」


 リジオンさんは頷いた。


「旦那様も私も、そのくらいは掛かるだろうと目星を付けて居たのですが、想像以上に彼の家の財政基盤が脆くいい加減で在った為、簡単に綻びが生じ始めております。」


「・・・」




 気になる。


 デイプール家はどうでもいい。領民は?


「あの・・・破綻と言うのはどの位の規模で起こっているのかしら?」


「ふむ・・・。」


 リジオンさんは少し思案してから口を開いた。


「お嬢様は破綻とはどの様な状態を指す言葉だと思われますか?」


 え?破綻?


 あれよね。前世のニュースでよく聞いた財政破綻とかのアレよね。




「・・・お金が無くなって、支払いとかが出来なくなる事でしょう?」


「左様、収入を得て支払いをする。此れが経済の根幹に御座います。そして、まさに『支払い』が肝心要となるので御座います。」


「・・・。」


 あたしが視線を揺らがせながら黙って聴いているとリジオンさんは少し苦笑した。


「まあ、難しい話はこの際置いておきますが・・・」




 あ、今、あたしに難しい話は無理だって馬鹿にしたな?あんまり舐めないでよね。でも、その路線でお願いします。




「要は『正規の支払い』を『確実』に『決められた期限内』に『完了』させる事。此れが商売に於ける信用の全てです。其処には言葉もオマケもサービスも入る余地は御座いません。」




 要はおべっかとか要らないから金払えって事ね。




「支払いがされるから信用を得て、次の商売の話が始まるのです。『支払いは次の取引の後に纏めて払うから。』と言うのは絶対に承知されません。『支払いをしないなら、あんたとの付き合いは此れまでだ。』と切り捨てられて終わりです。」




 ・・・厳しいねぇ。ツケとかは無いって事よね。




「売る物が無くなれば金の流れは尽きていきます。結果、手元から蓄えが消えて行き、収入も蓄えもゼロの状態で支払いだけが残った状態を『破綻』と呼びます。他にも幾つかのパターンは御座いますが、概ね『支払えない』が要件となります。」


「・・・じゃあ、お金も無いけど、誰にも支払う必要も無かったら?」


「其れは単純にお金が無い状態です。誰に咎められる事も御座いません。」




 ・・・そりゃそうか。何当たり前の事を訊いてんだ、あたしは。




「故に私どもはデイプール家に対して、減収を仕掛け、この『支払い』を滞らせる様に仕組みました。結果、あの家は『破綻』に片足を突っ込んでおります。」




 こわ・・・。でも・・・。




「貴族の収入なんてそんな簡単に減らせるモノなの?だって税収とかでしょ?」


 リジオンさんは首を振った。


「税収と言うのは実は高が知れています。領民から上がって来た税の半分は国庫に納められるのですから、各領主達が手元に残せるのは其れほど大きな額では御座いません。その手元に残った税収も大半は、いざと言うときの為の剰余金として残して置かねばなりません。此れを勝手に使った場合、厳罰が下ります。」




 予算って言うんだっけ?・・・この位の収入が見込めるから、アレに使って、コレに使って、このお金は貯めといて・・・ってお金の使い途を振り分ける奴。なんか、お金の計算が大変そうね。




「ですから領地を持つ貴族の殆どが、その土地独自の風土を生かした商売などをして収入の増加を図るんです。」




 ピンと来た。




「其処を邪魔しているの?」


 あたしが尋ねるとリジオンさんはニッコリ微笑んだ。


 わぁ・・・悪い顔。




「領民の人達は・・・?」


「お嬢様のご意向に従い、一般の領民が利用するハナコ商会の支店は健全に流通させておりますので問題は御座いません。」


「でも勝手にデイプール家が税を引き上げたりするんじゃ・・・。」


「ソレは有り得ません。」


 ん?なんで?


「税収は国の財源の根幹です。其れを領主の一存で好き勝手は出来ません。貴族は王家の定めた税率に則ってのみ税を集める事が出来るのです。コレを破った場合、その家は取り潰されます。」




 すっげー厳しいな。




 でも・・・そう、なら良かった。


 貴族同士のゴタゴタに巻き込まれて自分達の生活が困窮するなんて、真面目に生きてる人達にしてみれば堪ったモンじゃ無いもんね。




「そう・・・。解りました。」


 あたしが言うと、リジオンさんは一礼して歩いて行った。




 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆




 さて、怖っかない話は此れくらいにして折角の帰省なんだから楽しみましょう。




 っつー事で、あたしはマリを連れてメインイベントにやって参りました。




 因みにテオは置いて来ました。あとライラが外出している今日を狙って、護衛の人だけを連れて来ました。


 護衛の人には


『マリーベル様と湖で遊びます。裸になるから近づかないでね。』


 と伝えました。


 護衛の人達、すんごい困ってたけど。ゴメンよ。




 流石に雇い主の娘の裸を覗きに来るような頭の弱い人は護衛には居ないので、これでマリを好きに出来る。グフフ。


 今の時点で、あたしが一番頭の弱い事を企んでるのは百も承知の上だ。




「さあ、マリちゃん・・・。」


「ヒ・・・ヒナちゃん・・・。」


 引き攣った笑顔でマリがあたしから一歩だけ後退る。


「もう、着てるんでしょ?」


「・・・。」


「じゃあ、その邪魔な服を脱ぎましょう。」


 あたしが悪い笑顔でマリに一歩だけ詰め寄る。


「なんなら、お手伝いしましょうか?マリーベル様?」


「・・・。」


 マリの顔が見る見る内に赤くなる。




「じゃあ・・・お願い。」




 ・・・。


 ・・・?


 え?


 お願い・・・?って何を?


 って・・・ええ!?




 脱がしてって事!?


 ホントに!?


 いいの!?


 オジサン、ホントニヤッチャウヨ?




「い・・・いいの?」


 あたしが戸惑いながら尋ねるとマリは真っ赤な顔で頷いた。




 脱がすって言っても、マリもあたしも今日着ているのは手軽なカジュアルのワンピースだ。脱がすのに面倒臭さは無い。それこそ一瞬で・・・いやいや。


 冗談だったんだけどな・・・なんて今更言えない。




 腹を括れ。『漢』として女性に恥を掻かすもんじゃない。女だけど。




 あたしは少し震える手で、マリのドレスに手を伸ばした。マリのエメラルドグリーンの瞳が揺らめきながら、あたしを見つめている。




 腰のリボンに手を掛けて引っ張るとシュルリとリボンが解けてワンピースはフワリとAラインドレスの様に広がった。次に胸のボタンに手を掛け、ゆっくりと1個ずつ外していく。全部外すと、若草色のワンピースがストンと地面に落ちた。




 途端に現れた真っ白な素肌と同じく真っ白なワンピースの水着。湖の水面に反射する陽光に照らされて、三つ編みに結わえられた長い銀髪が幻想的に光輝いた。


 2つの膨らみはきつ目に身体にフィットした水着のせいで、寧ろビキニスタイルよりも強調されている。




「・・・!」


 あたしは思わず屈み込む。


「ヒ・・・ヒナちゃん、どうしたの!?」


 あたしに向かって屈み込もうとするマリを手で止めて言った。


「は・・・」


「は?」


「・・・鼻血出そう・・・。」


「・・・。」




 エロい。エロすぎる。なんだコレ。メチャクチャ触りたい。




「ヒナちゃんも脱いでよ・・・。」


 マリが言う。




 解った、解った。あ、そうだ。




「じゃあ、マリが脱がしてよ。」


「!」


 マリは心底驚愕した様な表情を見せたあと・・・コクリと頷いた。




 マリの手が伸びてきて、ワンピースのリボンをシュルリと解く。胸がドキリと震えた。自分から言っといて何だけど、コレ、ヤバいわ。すんごいドキドキする。クセになりそう。




 彼女の繊やかな指がクルリと動いてあたしのボタンを外していく。顔がドンドン熱を持っていく。




 やがて着ていた水色のワンピースは『ファサッ』と音を立てて、あたしの身体から離れて行った。




「・・・。」


 マジマジとあたしの姿を見たマリの顔が真っ赤になる。




 う・・・お・・・。なんか・・・なんか恥ずかしい!




「マ・・・マリ!行くよ!」


 堪えられなくなったあたしはマリの手を掴むと湖に突入した。




「ヒ・・・ヒナちゃん、私、泳げない!」


 腰の辺りまで水に浸かった時、マリが悲鳴の様な声を上げてあたしに訴える。




 あ、そうか。そりゃそうだ。




 あたしは足を止めるとマリを振り返った。彼女は不安そうな表情であたしを見ていた。


「ゴメンゴメン。そりゃそうだよね。」




 ならやる事は決まった様なもんだ。


「じゃあ、あたしが泳ぎを教えてあげようか?」


「え、ヒナちゃん泳げるの?」


「まあね。コレでも小学生の時にスイミングスクールに通ってたから、4泳法は全部できるよ。」


「凄い・・・。」


 マリがキラキラした視線をあたしに向けてくる。


「ヒナちゃんって、ホントに何でも出来るんだね・・・。」




 おぅふ・・・眩しい。




 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆




「よし。じゃあ、特訓を始めよっか。」


「うん。」


 さっきまでの不安顔は何処へやら。マリはニコニコ笑顔で頷いた。




 とは言っても、誰かに泳ぎを教えた事は無いんだよな。どうしようか?


 取り敢えず彼女が出来る事を1つずつ確認していこう。




「マリは・・・顔に水が浸けられる?」


「出来るよ。」


「じゃあ、潜れる?」


「潜れるよ。」


「・・・浮ける?」


「浮けるよ。」


「・・・水の中で目は開けられる?」


「開けられるよ。」




 ・・・何だコレ。泳ぐための難関を全部クリアしてるじゃんか。




「何で出来るの?」


 拍子抜けしてあたしはマリに訊いてみた。


「前世の時、プールで遊ぶのが夢だったからお風呂場で練習してたんだ。・・・結局プールに行くことは無かったけど。」


 マリは後半ちょっとだけ寂しげにそう言った。


「・・・だから今、凄く楽しいの。」


「・・・そっか。」


 マリの笑顔を見てあたしは微笑んだ。


 喜んでくれてるなら良かったよ。




「まあ、マリは直ぐに泳げる様になると思うよ。」


「ホント?」


「うん。」


「頑張る。」




 銀髪少女の気合いを込めた表情を見て、あたしは思う。




 もっとイチャイチャしたいなぁ。









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― 新着の感想 ―
[一言] >胸の部分と股の部分を下着の様な形状の薄い生地でガード ひとつぶでにどおいしい(ぉ
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