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糠壁市奇譚

糠壁市奇譚:奇妙な手紙

作者: 桜桃露雨

ミセステリー、ミスターテリーを差し置いたミステリー





に見せかけたギャグです。


 夏の朝、俺は久しぶりに糠壁駅に降り立った。糠壁大学を卒業して何年たったのだろう?


 在学中は、この駅に迷惑を大分かけたものだ。糠大生の定番肝試しスポットで、遊ぶ場所の限られた糠壁市で暇を持て余した学生(バカ)たちが毎年のように駅に忍び込み騒ぎを起こしている。


 卒業と共に、糠壁を離れ足を向けなかった俺がこの地を再び訪れたのは奇妙な手紙が届いたからだ。

 俺も大学に通うためにこの町に引っ越してきた部外者だったし、つるんでいた連中も同じような境遇の連中だった。

 同窓会は卒業生の集まりやすい東京で行われているし、この地を訪れる理由すらなかった俺が…たった1通の手紙でのこのこやってきたわけだ。

 蘇芳ゼミ。文学部史学科郷土史研究室…俺が所属していたゼミの教授である、石坂信一郎先生から卒業生である俺になぜ手紙が来たんだろう?


 電話で問い合わせた結果、消印の日付と同じ日から所在が不明になったと事務局がめんどくさそうに答えた。

 仮にも教授が行方不明で、学校が対応していない不自然さが俺をこの地に導いたのだ。


 卒業生であっても部外者である俺は、大学に入ることすらできない。


 石坂教授の行方をまず探すべきだろう、あのころゼミでよく集まった場所に行ってみよう。何か手掛かりがきっとあるはずだ!

 駅前別館、糠壁湖、太刀原地区、糠壁宿歴史資料館…歴史資料館の館長は教授の友人だし職員も元ゼミ生が多い。歴史資料館に何か手掛かりがあるのかもしれない。


 駅前別館では、在校生なんて俺と顔を合わせたことがあるはずもなく空振りに終わった。糠壁湖は誰もいない。歴史資料館で手掛かりと言えるのか微妙な手掛かりがあった。

 石坂教授は近年、糠壁の隠し金山伝説を調べていたらしい。となると、糠壁湖方面が次の目標になるが先に行って手掛かりはなかった。太刀原地区の権現社か明神社に手掛かりがあるのだろうか?


 旧太宗寺、今は市の財産として市が重要文化財として限定公開している。当然管理の職員がいるわけでこの職員が蘇芳ゼミの関係者なら手がかりがあるかもしれない。




 「Eureka~(エウレカ)」…道理で大学側が冷たいわけだ。この一連の騒動は、老いらくの恋というには若すぎる気がするが、50に手が届きそうな教授が、二十歳(はたち)そこそこのお嬢さんと恋に落ちた駆け落ち騒動だったとはな。

 俺に手紙を出した時点ではまだそこまで行っていなく、金山があったと思われる場所の調査依頼をするつもりだったと。その日の夕方にお嬢さんが無理やり結婚させられると泣きついてきて駆け落ち騒動になった。


 まぁ…ミステリーが好きな俺にはちょうどいい休暇になったな。



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