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私が未来から来たって信じてもらえるんですか?

よし、言うぞっ、心を決めろ!

――どくっどくっどくっどくっ

心臓が音高く鼓動する、今を生きていると主張するかのように。

信長様をじっと見つめる。


「いえ、生まれも育ちも、そして今現在も名古屋の人間にござりまする。ただ…」


「ただ?」


すー、はー。すー、はー。


「名古屋は名古屋でも、この時代ではなく恐らく4〜500年先の未来から来たようです。」


と告げてこれ以上は目を合わせる事ができず、思わず頭を下げ床を見つめる。

どうなる?「たわけた事を言うな!」と斬られるか?

――ドクドクドクドクドクドクドクドク

場内はシンとしており、俺の心臓の鼓動だけがやけにうるさい。


「未来からとな。ふむ、わざわざ未来から何をしに来たのじゃ?」


ええっと、何をしにっていうか…えっ?

思わず信長様を見上げた。


「あの、その…未来からって…」


「ん、違うのか?まさか、嘘偽りを申したのか?」


「わ、私が未来から来たって信じてもらえるんですか?」


「突拍子もない事を言う奴だとは思ったが、嘘を言ってるようには感じられんかったな。そうなのかと思えば思い当たる節…というか納得できる部分もあるといったところか。

本当に未来から来たとしたらそんなのを捕まえる機会なんて滅多に無いだろうし、飯代分くらいは未来の面白い話をしていけ。」


「は、はぁ…。」


ぐったり、拍子抜けしてしまった。


ほうけてるようだが、どうした?

何を話していいのかわからんならこちらから聞くが。こういう風に未来から過去へ遊びに来るのはよくあるのか?それと、いつ帰るとか予定はあるのか?」


…ハッ!

――ブンブン

頭の回転をすっきりさせるために、左右に大きく一度首を振る。


「ええと、正直に話してはみたものの信長様が未来からの来訪について理解があるのが不思議過ぎて混乱してしまっておりました。戯けた事を申すな、と斬り捨てられてしまうのではないかと恐れていたので、ほっとして力が抜けてしまいました。」


「ふふふ、それこそ戯けた事を申すな…だな。斬ってしまってはおしまいだ。斬るときは斬る理由がある。斬った方が効果が高い場合だな。そちのような珍しい存在は斬ってしまったら二度と得られんだろうし、その辺は考慮するぞ。まぁ、わしに害が無い内は…というところだがの。」


「ありがとうございます。…まず、最初のご質問ですが、私が来たのは先程も申したとおりこの時代より恐らく4~500年位後の時代になります。技術力は現在と比べて格段に進歩しておりますが、それでもこのように過去に来る事は出来ません。神隠し的な物があって過去に来た人は、もしかしたら今までもいたのかもしれませんが確認はされておりません。

更にもっと後の時代…数百年・数千年後ならもしかしたらそういう時を越える技術もあるのかもしれませんが、私のいた時代では過去に行く技術の欠片すらあるとは思えませんでした。ここ100年であらゆる分野で劇的に進歩しましたが、それでも過去や未来といった時間をまたぐ技術はそのきざしすら見えておりません。

今、私がこの過去という時代に今正に来ているという事実とは反しますが、正直今後もそのような技術は出てこないと思われます。」


そこで一息つく。信長様は興味深そうに聞いてくれているようだ。続きを促してきた。


「私がこの時代に来たのも偶然というか、河原で昼寝していて起きたらこの時代にいた訳で…そもそもどうやって来たのか、どうやったら帰れるのか全く分かりません。

気付いたらいつもと違う場所にいて…まだ過去の時代に来ていたと気付いておらず、ここどこだろうと戸惑っていたところに、信長様御一行がお見えになったのです。」


「ふむ。未来からの来訪を信じたと言って話をさせておきながら、俄かには信じがたい話だの。

だが、そういう事ならそちは今後はどうする、どうしたいのだ?」


「今後…ですか、そうですね。」


少し考える。まだその辺は特に考えていなかったのだけれど、


「まずは見当もついていないのですが帰り方を探す事。それと同時に帰れる帰れないどちらにしろ、折角この戦国時代に来たのでこの時代を満喫…というと怒られてしまうかもしれませんが、十分にその空気を味わいたいと思っております。」


「その満喫とやらは、当家で力を奮う事は含まれるのか?」


おっと、信長様直々の人材勧誘ヘッドハンティングいただきました!

でもなぁ…


「そ、それは…。」

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