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適応力さんの仕事

第一話はどこにも何も告知/宣伝せずの22時の予約投稿でしたが、結構読んでもらえるんですね。

(PV数0とか1とかなのかと思ってました)

なので、2〜4話を今日の14時、18時、22時の予約投稿にそれぞれ変えて今日は3話アップにしてみました。

騎乗したままの若者を見る。


見た目は日本人っぽいし…その出で立ちは時代劇で特に偉い訳ではない武士とか浪人が着てそうな古い着物…木綿っていうのかな?を身につけて腰に刀を差している。

周りの人も似たような服装だな。

そう言えばこの人、日本語喋ってたな。

そして、周囲を見回すと、ちょっと…いや、だいぶ田舎っぽけど、日本の風土に感じる。

そして川自体はちょっと見覚えがある。うーん?


え、いや、そんな、まさか、本当に?


河原で寝てる間に、いつの時代か分からないけど、数百年単位で過去の日本に来ちゃった?


そんなラノベの展開みたいな事が自分に起きた?


え、ウソ、マジで?


とか思ってると、周囲の下っ端っぽい人が各々の腰の刀に手を掛けたまま、ジリジリとにじり寄って来ていた。

…腰の刀に手を掛けて?


えっ!?


自分の服装を見てみる。

うん、今日家を出た時のまんまだな。ジーパンにポロシャツに薄いセーター。

そしてまた相手方を見る。着物だ。

自分を見る。洋服だ。化繊だ。現代服だ。

みんな腰の刀に手を掛けてこちらを睨んでいる。

え、あれ?これ、ひょっとするとマズい?

ひょっとしなくてもマズい?

とりあえず、何か答えないと!


「自分、あやしい者ではござらん」


いや、ウソだろ。バリバリ怪しいじゃん。

っていうか見た目からして怪しい以外の何者でもないし。

しかも、「ござらん」とかなんでいきなりござる口調になってんの?

これ以上ないくらいに動揺してるくせに、なんでおれの脳は中途半端に過去世界に適応しようとしてんの?


もちろん、結果的にこの回答で彼らが場の緊張を緩める事は欠片も無かった。

当たり前だ!

えーと、えーと、次は何を言えば…そうだ!


「拙者、とりあえずこのとおり武器は持って無いでござるので、落ち着くでござる。」


と両手の平を見せてみた。

笑う。ござるの次は拙者かよ。俺の脳はどういう方向に適応しようとしてるんだ?

つか、昔の日本の雰囲気は出てるかもしれないけど、

本当にござるとか拙者とかが昔の日本で状態的に喋られてたと思ってんの?


ただ、雰囲気(テイスト)の選択はともかく単語の選択は間違っていなかったのか、

一触即発だった場の空気は、お供の人達は最初に話しかけてきた騎馬の若者の方をちらちらと窺うような「確かに武器持ってないし、どうする?」みたいな空気に少しだけ落ち着いた。


「他国の間者(スパイ)…という訳ではなさそうだが、どこから来た?」

馬上の若者が再度話しかけてきた。


どこから…?それは全く持って俺が知りたいくらいなんだが、

それをそのままそう答えるとちょっと良くなった空気が台無しだな。

どう答えるか…どうしよう?未来からとかあかんよね?


「ちょっと名古屋の方から。」


いやいや、俺の口は何を勝手に答えちゃってるの?

まだ脳内全俺会議の結論出てなかったよね?

というか、脳内全俺会議で名古屋のなの字も出てなかったよね?

しかも〜の方からとか、何その消防署の方から来ました的な回答してんの?


「ほう…那古野なごやとな?南蛮からならともかく、那古野にそのようなけったいな服装をした者がいるとは聞き覚えが無いな。」


ん、南蛮…?


南蛮というと大まかにいうと鉄砲伝来以降にヨーロッパって意味で使われてた気がするけど…南蛮貿易とか南蛮寺(教会の事)とか?

でも、江戸時代はもうヨーロッパの国々の詳細…イスパニアとかポルトガルとかオランダとかの国名が伝わって南蛮っていう表現は使ってなかったイメージ。

と、するとここは戦国時代か?

しかし、話変わるけど、南蛮って表現すごいよな。南の蛮族だろ?

その時代のヨーロッパなんて、ヨーロッパ以外をかなり見下してたきがするし、そんな風に呼ばれてたなんて知ったら激怒するんじゃ無いのか?

本当のところどうなんだろ?ちょっと調べてみたいな。

あっ、携帯は使えるのかな…というか電波入るのかな?

っとと、やば、みんな睨んでる。脱線してる場合じゃなかった。そんな事より早く回答しないと。

えーと、どうせだから話に挙がった南蛮使うか、南蛮だったら堺でいいかな。


「いやぁ、堺の南蛮商人から珍しい服だって買ったんですよね。そこでちょっと見せびらかせよう着て外出しようとしたんですけど、天気が良かったせいか河原でついうとうととしてそのまま寝てしまった訳でして、ハイ。」


「まぁ、確かに珍しい服ではあるな。だが、そんな珍しい服を来てそこらで居眠りできるのか。追い剥ぎ、物盗りの(たぐい)が出ないとも限らんだろうに。」


ーーしかし、那古野だと…林のところか?だが聞き覚えが無いな


などとぶつぶつ言っているのが聞こえる。

なんか名古屋に反応してる?

ここでまさかの適当に言った名古屋が足を引っ張る案件が発生するの?

周囲の取り巻きはともかく代表者っぽい人の印象は珍し物好きなのか自分の印象悪くなさそうだから、この人を攻めてみるか。一気に行こう。


「南蛮商人から、この日本(ひのもと)の外の国の話も色々と聞けたのですが、非常に興味深い話ばかりでしたよ。よろしければ、どこか落ち着いて話の出来る場所ででもお話しましょうか?」


ーーぐ〜。


「おお、腹の虫が。ついでにその場にお膳があったりすると話がより弾むかもしれませんね。」


おお、こいつ言いやがったぞ。

確かに腹は減ってきたけど、この状況で飯を食わせろなんてやるなぁ(最早、他人事)

しれっと言い放ったせいか、取り巻きの人も一瞬毒気を抜かれたようだ。

…うん、一瞬だけだったけど。

何言ってんだコイツみたいなあんまりよろしくない空気が再燃(あれ?

だが決めたのだ。

下っ端の評価なんていらない、トップを落とすのだ。

すると…


「ハハハ、飯をよこせときたか。こやついいおる。

面白い、気に入った。お主の話とやらもその服装も興味がある。

良かろう。飯くらい食わせてやる。ついて来るが良い。」

主人公がたまに間違った事を言っていますが(年号が間違っていたり、歴史的事象が事実と間違っていたり)、それは主人公がうろ覚えだったり、間違って覚えているのをそのまま喋っているだけなので、作者が間違っている訳ではありません!(断言)

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