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詩になりたかった何か。

雨はいつやむのでしょうか

作者: amago.T/

窓の外の雨が僕の不安を掻き立てた。

そうしてこれを書かしめた。

 雨は僕を不安にさせる。

 重力に従う多くの水滴そのものが、ではなくて。

 それらが沁みて鼻に届けるにおいや、打ち付けて耳に届ける音が。


 その振動たちが、僕の躯を揺さぶるのだ。

 内包された継ぎ接ぎだらけの心を軋ませるのだ。

 かつて砕けて拾い集められた欠片が、再び散ろうとするのだ。


 とうに原形は失われて久しく、本当の形を知る者はなく。

 かろうじて体裁を保っているそれが、再び散るようなことがあれば。

 もう復元は難しい。


 軋み擦れる度に欠片の角は丸くなり綻びが広がる。

 落ちた砂粒は流れに浚われ回収すること叶わず。

 隙間を埋める何かを求めて、僕の意識はさまよう。


 薄暗い世界は色褪せ温もりを失った空気が隙間へ流れ込む。

 雲の切れ間から差す一条の白い光はただ影を明らかにするだけ。

 世界はこんなにも停滞した空気に包まれていただろうか。



 この心のはたしてどれだけがかねてより僕の心であったものたちなのだろう。

 継ぎ接ぎだらけの心が悲鳴をあげる。

 既に隙間を埋めるために寄せ集めたものたちのほうが多いのかもしれない。


 この憂鬱の終わりはいつになるのか。

 雨はまだやみそうにない。

 残された欠片たちはいつまで体裁を保つことができよう。


 願わくばあたたかな陽光がこの躯を包み砕きますように。

 その欠片は残された心の欠片たちを接ぐ素材にでもなればいい。

お読みくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] テーセウスの船……みたいな感覚でしょうか。 本質はなんだ……なにも残っていないのではないか…… そんな……。
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