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3/3

応え

そして、俺にもついに彼女ができた…

おっと彼女の紹介が遅れたな!

その彼女ってのはちょっとツンデレ、でも可愛らしい一面もあって、スポーツも勉強もできる完璧な幼馴染の女の子だ!


んな訳あるかぁぁぁぁ!!

なんで?なんで俺が告白されてんの?

ちょっとラブコメの神様ァァ!主人公間違えてるよ!!

主人公は俺の友達の睦月なんだよ!

俺は脇役でいきたいんだよ!


司は夏祭りのあの日、蘭に告白された。

「またまたー、ら、蘭さんは冗談が過ぎるんですよー」

引きつった笑顔でそう言おうとした瞬間、蘭から拳が飛んできた。

「司のバカ!」

痛てぇ…


回想終了、その後司は真っ赤に腫れた頬を抑えながら穂波と帰った。穂波は俺の顔を見て爆笑していた。

穂波には適当に段差で転んだと説明しておいた。

マジで拳でくるとか、ツンデレ怖い。



翌日の学校に蘭は来なかった。

朝学校で睦月に話しかけた。

「なぁ睦月、蘭が今日学校来てないけど何かあった?」

理由は司が1番分かっている。

「うーん、わかんねぇよ…昨日祭りじゃ普通だったし」

そう言うと、睦月は司の目から視線を外した。

「わかった」


睦月は嘘をつく時は目線をずらすことを司は知っていた。

つまり何かを隠している、きっと夏祭りに睦月も何かがあったに違いない。


昼休み屋上で睦月と昼食を食べる。

「睦月、今日の作戦だが…」

作戦内容は、今日学校から明日までに提出の封筒が配られることになっている。もちろん学校を休んでいる、蘭は受け取ることができない、ここで睦月が蘭の家まで封筒を届ける、そこで元気になったらまた遊ぼうな的なことを言う。

完璧だ。

これで好きの対象が少しでも睦月に傾くかもしれない。

「いや、やめとくわ」

司が作戦内容を話し始めた時、睦月は立ち上がって、そういった。

「何を隠しているんだ?」

司が睦月に尋ねた。

「バレたか…さすが司だ、でも教えられない」

「なんで教えられないんだ?」

「そのうち教えてやる」

すると睦月はその場を立ち去った。


結局、家が近いという理由で司が蘭に封筒を届けに行くことになった。

「気まずいだろ…どんなテンションで行けば…」

そんなことを呟きながら、蘭の家の前まできた。

インターホンを押すと、蘭の母親の紗栄子さんがでた。

「あら、司くん?」

「今日、その学校で封筒が配られてて」

「届けに来てくれたの?」

「あ、はい」

よし、このまま紗栄子さんに預けて帰ろうと司は思った。

「よかったら、蘭の様子を見てきて欲しいんだけど…」

困り顔で紗栄子さんがそう言った。

「熱はないみたいだけど、朝から部屋から出てこなくて…」

「わ、分かりました様子見てみましょう」


ついに司は蘭の部屋の前まで来てしまった、RPGのボス戦の前の扉のような緊張感が漂っている。

「蘭?大丈夫か?」

そう言うと、扉越しに蘭から返事がきた。

「昨日の返事教えて」

「…」

そりゃ気になるに決まっている、でも司は何も答えることができなかった。

「入って」

そう言って蘭は司を部屋に入れた。

部屋の中は、ぬいぐるみが置かれていて、いかにも女の子の部屋という感じだった。

そして、蘭はアザラシのぬいぐるみを抱きしめ顔を隠し、もう一度司に返事を求めた。

「昨日の返事を教えて」

「付き合えない…」

司は小声だったが、ハッキリそう言った。

蘭はすると隠していた顔を出した。

「やっぱり、文芸部のあの子がいいの?私じゃダメなの?」

「違う、そうじゃない」

睦月が蘭のことが好きだからとは言えない。

「じゃあなに?私のことが嫌いなの?」

「嫌いじゃない」

「じゃあ付き合ってよ…」

蘭の小さな顔から大粒の涙が流れてくる。

「司、私と付き合ってよ」

「ごめん、蘭それはできないんだ」

司は目を逸らしてそう言った。

「ちゃんと目を見て!」

そういうと蘭は司を押し倒し馬乗りになり、無理やり顔を向かい合わせた。

司の目の前には、よく遊んだ頃の蘭とは違い高校生になり、司に恋をする蘭がいた。

司は蘭が乗っている上半身を無理やり上げ、蘭を抱きしめた。

「俺って最低だ…ごめんな…蘭」

司の胸の中で蘭は声を出しながら泣いた。

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