1/2
0:運命に抗う者
月がぼんやりと輝く薄暗い夜。ある廃れた建物の中に1人の黒髪の少年が床の上にうつ伏せのような形で倒れていた。
その少年は上下ジャージ姿という、とても身軽な格好をしている。
そして彼の近くにには、1人の銀髪の少女が倒れていた。
その少女は少年とは変わって、ドレスのような華やかな姿だった。しかしその綺麗なドレスも所々擦り切れていたりと汚れていて、元のような色は失っている。
少年は、少女に腕を伸ばし、呟く。
――今回も、だめだったか。
少年の小さな呟きは夜風に呑まれて消えていった。