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侵入者? 否、私はトイレに用があるだけだ

「魔王様、久方ぶりにダンジョンに侵入者でございます」


 側近の魔族の報告に、世界最強の魔王はゆっくりとその面を上げた。


 美しい男だった。


 魔族らしく薄紫色の肌は傷どころかシミ一つなくつるりかで、顔の造形は神が創りたもうた芸術作品のよう。サラリと肩に流れる白髪は絹の手触り。限りなく人型に近い魔王の額には、彼が人外であることを示す立派な一本角がにょきりと伸びていた。


「・・・ふむ、侵入者は人間であるか?」


 聞きようによっては女性の声ともとれるような中性的響きを持つな魔王の声。その言葉に側近の魔族は深くうなずいた。


「ええ、見張りの魔物の言葉ではどうやら人間のようです」


「ほう・・・人間がここに来るとは本当に久しい・・・どこぞの冒険者がその蛮勇を誇りに来たのか・・・あるいは余の存在を嗅ぎつけた噂の勇者とやらかな?」


「・・・おそらく違うかと・・・見張りの魔物からの報告では、何故か侵入者は武装をしていないようすです」


 側近の魔族の言葉に魔王はその美しい顔に驚きの色を浮かべた。


「武装をしていない? ここは一般人が間違って入れるような場所では無いのだぞ?」


「はい・・・私も直接見たわけではありませんのでハッキリとはわかりませんが・・・報告によれば武器どころか防具すら身に着けていない様子でして」


「なるほど・・・もしかしたら武装せずともこのダンジョンを攻略できると踏んだ強者やもしれんな。おもしろい、適当に魔物を向かわせて侵入者の実力を測るのだ」


「御意」


 そして頭を下げた側近の魔族は部屋から出て行った。


 一人取り残された魔王はその王座に深く座りなおしてその美しい顔にうっすらと笑みを浮かべる。


「・・・退屈していたところだ。久方の侵入者よ、どうかすぐに潰れてくれるなよ?」





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