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凡人には死んでも思いつかない天才的発想

 私は考えた。


 考えたのだ。


 何故だか家のトイレのドアを開けると異世界のダンジョンへと通じてしまう。これがまた可笑しなことに便意を感じていない時にトイレのドアを開けてもいつものトイレがそこにあるだけだった。


 毎回便意を我慢しながら異世界を走り回るのは辛い。


 あまりにも辛すぎて道中の記憶が少し曖昧になっているほどだ(道中で自分の邪魔をしてきた人間を何人かシバいたような気がしないでもないが気のせいだろう。とても紳士的なこの私が見ず知らずの人間をシバくなんてそんな野蛮なことをする筈がないので気のせいったら気のせいなのである)。



 それに何故だか回を重ねるごとに迷い込んだダンジョン内のトイレまでの距離が遠くなっていっている気がする・・・これは早いところ手を打たなければいずれ間に合わなくて漏らしてしまう羽目になってしまうだろう。


 それだけは避けなくてはならない・・・私ほどの紳士的な人間が便意を我慢できずに漏らすなんてことをした日には恥ずかしくて会社に行けなくなってしまう。


 このトイレのドアがダンジョンに通じているという珍現象は何故か会社では起こらない。起こるのは決まって家のトイレだけだ。


 つまるところおかしいのは私自身では無くてこの家のトイレだという事が考察できる(流石私は賢い)。


 そこで導き出した天才的発想。


 家のトイレがおかしいのならば家以外のトイレで用を足せばいいのだ。


 そして私は今意気揚々と家から徒歩5分のところにある公園のトイレの前にやってきた。


 便意はそこそこ。


 この試みに成功したのなら今後トイレのことで頭を悩ませなくても済むだろう。そして私はトイレのドアを勢いよく開いたのだった。











「・・・・・・何という事だ・・・」


 目の前に広がる暗褐色の岩肌。ところどころにシックな色の燭台が設置されており蝋燭の炎が怪しく揺れている・・・。


 振り返ると当たり前のように今通り抜けてきたドアは跡形もなく消え去っていた。


「・・・また、ダンジョンだというのか・・・・・・」


 どうやら私の受難は続きそうだ。





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