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第9話『GORIRAとGYARUとGOKIBURIと』

「Gyaaaa〜!!!!」


「うるさいわよ! 急にどうしたのよ!」


 ソファーに座ったまま、ノートパソコン片手に動画の編集作業をしている涼が舌打ちまじりにそう言った。


「Gがいる!」


「そうね、私の目の前で騒いでいるGORIRAが一匹いるわね」


 作業に集中したいのか、そっけない態度の涼。それはそれでゴリラ心をくすぐるのだが、今はそんな場合ではない。


「そのGじゃねーよ! いるんだよGOKIBURIが!」


「何ゴリラがゴキブリに怯えてんのよ、バカじゃないの?」


 ノーパソから視線すら外さずに、涼がそっけなく言った。それはそれでゴリラ心を以下略。


「いや、ここ24階だぞ? 24階にGOKIはおかしいだろ?」


 どうやって侵入するんだよ!


「は? 24階にゴリラがいる方がおかしいでしょ」


 あれ? 確かにそうだ!


「いや……、でも……」


 GOKIBURIに怯えるGORIRAの姿がそこにはあった。


「エレベーターに乗るときにゴリラの体臭に誘われて、ついてきたんじゃない?」


 くそ、この部屋にはいま、GORIRA、GYARU、GOKIBURIのトリプルGが揃っちまったわけか……。


 俺がワタワタしていると、涼がティッシュのKARABAKOを放り投げてきた。

 What? これで仕留めろと? Really?


 くそ! やるしかねー! エリートゴリラを舐めるなよ!

 俺はティッシュの空箱を手に全力のスマッシュを叩きこむ!


 バゴーン! フローリングの床を傷つける盛大なSMASH音が広い室内に鳴り響く。やつは見事に攻撃を掻い潜り、ゴリラを嘲笑うかのごとく、磨き抜かれた広大な床を縦横無尽に駆け回る。その後も、G対Gの激闘が繰り広げられたが、残念ながら、戦果をあげられずにいた。


「うるさい! もう私がやるわ!」


 そう言って涼が素早い動きで立ち上がり、ピンクのふかふかファンシーなスリッパを右手に持ち、その白く美しいおみ足でやつを潰した。


「Gyaaaa〜!!!」


「うっさいわね! 今度は何よ?」


 こ、このGYARU、信じられねー。素足でやつを踏み抜きやがった……。


「な、なんでスリッパ使わねーんだよ!」


「いや、最初はスリッパ使おうと思ったんだけど、これ可愛いからもったいなくて」


 照れ笑いを浮かべながら、足を洗いにバスルームへと向かう涼。

 自分の足は可愛くないのか? 何にせよ照れ笑いを浮かべる場面でないことは確かだった。


 鼻歌まじりに足を洗う姿からは誰も、この金髪碧眼のギャルがGOKIを素足で潰したから足を洗っているとは、想像もつかないだろう。

 ギャップ萌えどころの騒ぎではない。心臓が弱い方なら命に関わる衝撃映像だった。

 GORIRAにはいささか、GYARUの刺激は強過ぎたようだ。

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