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GORIRA*年収3億の俺が起きたらゴリラになってた件  作者: 新月 望


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第24話『ゴリラとマイエンジェル』

 無事新たな扉を開いた(ゴリラ)は現在、ファストパスを使い、ブーさんのラリーアットに乗る所だ。

 いやーしかし、長蛇の列を横目に、ファストパスを使ってスマートにアトラクションに乗る瞬間の凄まじい優越感はなんなのだろうか。


「楽しみね!」


 隣の席に座っている涼がワクワク顔で話しかけてくる。


「そうだな、ランドでもかなり人気のアトラクションだもんな」


 ブタのブーさんが仕掛けてくる、激しいラリアットを避けながら進む、超人気アトラクションだ。


「そうね、でもなんでブタなのかしら? ラリアットならゴリラの方がイメージに合うわよね?」


 不思議そうに首を傾げる涼。

 まったく、隙あらばゴリラだな……。


「涼は本当にゴリラが好きね〜」


 満里奈さんが後ろの席から茶々をいれる。


 このアトラクションは四人一組で乗れるアトラクションなので、前席に俺と涼、後ろの席に満里奈さんと葵ちゃん(君)が座っている。


「べ、別に好きとかうんぬんじゃないわよ、あたしは動物全般が好きなの!」


 顔を真っ赤に染めながら、ムツゴロウ宣言をする涼。


「僕はゴリラさんが特に好きかも」


 上目遣いでそっと呟く葵ちゃん(君)。

 JKみたいなDK(男子高校生)の甘い声が人間みたいなDK(ドン◯ーコング)な俺を誘惑する。

 同じDKでもえらい違いだね!


「葵ちゃんは本当に優しいね」


 いつもキツイ言葉をくらっているせいか、心にしみるね!


「え? 普通だよ?」


 そう言って、ふんわり首を傾げる葵ちゃん。

 その愛らしさ普通じゃないよ!!

 普通じゃない趣味に目覚めちゃうよ!!

 俺の心はエレクトリカルパレードだよ!!


「まぁ、葵は確かに優しいよな。なんたって私の自慢の彼氏だから!」


 そう言って嬉しそうに微笑む満里奈さん。

 やっべ、なんかジェラシー感じるぜ。朝起きたら隣に葵ちゃんがいるなんて、羨まし過ぎる! え? 誰もそこまでは言ってないって?


「恥ずかしいからやめてよ……」


 顔を赤らめながら、満里奈さんに抗議をする葵ちゃん。

 白い肌にうっすらとさす朱色が魅力的なコントラストを作り出している。


 そんな話を続けていると、遂にコースターが急加速し、進みはじめた。


 ブーさんのラリアットが俺たちの乗っているコースタースレスレを狙って襲いかかってくる。その度に涼が華奢な肩をこちら側に寄せてくる。意外にも、こう言うアトラクションは苦手なのかしら? さっきまで、あれだけワクワク顔をしていたのに。


「大丈夫か?」


 俺は隣に座っている不安そうなJKに声をかけた。


「だ、大丈夫よ!」


 大丈夫なら、俺の左モモを強く握るのやめてくれない? 毛、抜けちゃうよ?


「涼はこう見えて、怖がりなとこあるよね? それでも絶叫系が好きとか、ほんと、あまのじゃくだよね〜」


 満里奈さんが、笑いながら語る。


「得意不得意が必ずしも、好き嫌いに繋がるとは限らないでしょ?」


 ムキになって理論的に答えようとする涼。


「まぁ、下手の横好きって言葉がある位だしな」


 涼をフォローする意見を述べる俺。


「なんか、ゴリラにそれっぽいこと言われると腹立つわね」


 恩を仇で返すまでの時間早過ぎん?


「博識ゴリラの何が悪いんだよ?」


 俺は少しいじけた声音を意識して話す。


「僕も頭の良い人は好きだなぁ」

 

 葵ちゃんが小さく呟く。

 なんだ、俺たち両思いかよ。


「一生幸せにするよ!!」


 一世一代の言葉を口にする(ゴリラ)

 後悔はないぜ!!


「ちょっと、私の彼氏にプロポーズしないでよ〜」


 満里奈さんが爆笑しながらそう口にする。


「神崎さんって本当に面白い人ですね」


 そう言って優しく微笑む葵ちゃん。


「そんな他人行儀に呼ばないで、シュンでいいよ」


 俺はそれとなくファーストネームを所望する。


「じゃ、じゃあ、シュン君……」


 ほんのりと顔を赤らめながら、小さく呟く葵ちゃん。

 あぁ、なぜ、俺はゴリラなんだろうか? これでは愛する者を抱きしめることすら叶わない。いや、しかし、葵ちゃんはこのゴリラな俺を愛してくれているのだ。ならば、迷う必要などないな。必要なのはこの言葉のみ。


「毎朝、俺の味噌汁を作ってくれ!」


 エプロン姿の葵ちゃんが料理をする音で起床する俺。仕事終わりには、ご飯にする? お風呂にする? それとも、あ・お・い? 

 Fu〜〜!! 葵ちゃん一択ですね!!


「僕、朝はコーヒーとトースト派なんだよね」


 おっと失礼。洋食派でしたか〜。


「ちょっと、シュン! あたしの作る朝食じゃ不満なわけ!?」


 烈火の如く激しくお怒りになられた涼様。

 まさか、こんな角度で怒られるとは……。


「え? 二人って同棲してるの?」


 小さな首を愛らしく傾げながら、葵ちゃんが言った。


 ち、違うんだよ、葵ちゃん! そ、そんなつもりじゃ!!

 心の中は謎の言い訳で満たされていた。


「ち、違うわよ。たまたま、住んでるマンションが同じで、たまに朝食を作りに行ったりしてるだけ!」


 顔を真っ赤に染めて、事情を説明する涼。


 危なかったぜ。俺と葵ちゃんの幸せな未来が泡沫の夢となって消え去るところだった。

 俺がそんな幸せな未来に想いを馳せていると、アトラクションが終わりを迎えたようだ。


「楽しかった〜。ドキドキしたね」


 葵ちゃんが満足そうに呟く。


 俺もドキドキしっ放しだったぜ!!


 今の心境はまるで、ビックでサンダーなマウンテンゴリラだぜ!!


 あれ? だとしたら、これから、急降下しない??

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