9.ハウズ強制収容所解放戦(後)
長らく体調を崩しているため、更新が遅れました。短い話で本当に申し訳有りません
ハウズ強制収容所の中央部。この施設の管理責任者たちが待機するこの部屋は、蜂の巣を叩いたような大騒ぎだった。
部屋の中にいるのは、神聖ソビエト赤軍陸軍東方遠征軍の第一狙撃大隊長トロノフ・ヒューズ・トリュノヴ大佐と、神ソ連共産党政治将校のキルアコフ・ニシェル・ツァーノフと数名の兵士。
「司令、一般区画の脱走者が武器庫を襲撃し、警備兵と交戦しています」
「オイッ!どうするつもりだトロノフ大佐!」
兵士の報告に、政治将校のキルアコフが激怒する。それもそのはずだ、政治将校というのは共産党の党員からなる軍の監視職である。自分の監視する部隊の失敗や不都合な事実が明るみになれば、自分は用済みとして処理され、新たな政治将校が自分の後任となる。
そうなれば、否が応でも政治将校という権力に居座り続けなくてはならない。故に、自分の頭の中で描く最高の軍隊として、担当の部隊を指導する。大半が失敗するものであるが。
そんなキルアコフをなだめるかのように、第一狙撃大隊長のトロノフは口を開く。
「いっその事、日本の捕虜にでもなりますか?」
「貴様は何を言っている!」
「だってそうでしょう?市民が解放されるまで、我々は日本兵の侵入に気づいてなかったのですよ?おそらく、我が国のスペツナズ以上の実力を持つ特殊部隊の仕業でしょう。おそらく、ここも吹き飛ばされます」
「この敗北主義者め!」
キルアコフは腰のホルスターからマカロフを抜き取ると、トロノフに向けて構える。周りの兵士たちはどうしていいか分からずオロオロする。
「憲兵!こやつを捕らえよ!」
「上官殿、どうやらあなたは正しい判断をできなくなっているようです。軍規定により、上官の任を解きます」
トロノフの言葉に賛同したのか、ソ連兵達はAK-47をキルアコフへと向ける。キルアコフは発狂してマカロフの引き金を引こうとするが、とっさの判断で一人のソ連兵がキルアコフを射殺する。
「動くな!」
それと同時に扉が蹴破られ、風間たちTF151の隊員たちが突入してきた。
「撃つな、降伏する」
「我々は日米合同特殊作戦部隊だ。貴官とここにいる兵士諸君を連行する」
「日米?そうか、分かった。抵抗はしない、連れて行ってくれ」
「こい」
トロノフやソ連兵たちを武装解除したTF151は、脱出ポイントであるポイントチャーリー『中庭』へと到着する。
「ポイントチャーリー到着!」
『了解した。あと2分で到着する』
中庭に陣取る彼らに向けて、トロノフの指揮系統を外れたソ連兵による銃撃が行われる。中庭は軍用トラックや物資などの遮蔽物か多く、身を隠すには最適の場所であった。
「11時方向から敵!」
「リロードする!」
「頭を上げるなよ!」
激しい銃撃にさらされながらも、冷静さを失わず的確に応戦する。
「2時にRPGだ!」
「伏せろ!」
RPG-7を持つソ連兵が、建物の屋上から彼らを狙う。しかし、ソ連兵は頭を撃ち抜かれ、引き金が引かれたRPGの弾頭は、下に陣取る味方に向けて撃ち放たれた。
『グラディエーター1-1、これより支援を開始する』
低空から侵入してきた四機の米海兵隊のAH-1Zヴァイパーが、建物やMGバンカーなどに向けて機銃掃射やロケット攻撃を繰り返す。ヴァイパーに追従するように進入してきたV-22オスプレイが中庭へ着陸する。
「Hurry up(急げ)!」
整備隊員に急かされ、機体後部のハッチから飛び込んだTF151は、座席に座りシートベルトを締める。機体の両脇に設置された誘導ミサイルや40㎜機関砲、さらには後部ハッチからガナーが12.7㎜重機関銃で敵を牽制する。
「上昇しろ!」
TF151を乗せたオスプレイは急上昇する。グラディエーター隊はオスプレイの安全が確保されたと判断して撤退し始める。
『こちら攻撃隊、爆撃に備えよ』
未だに対空機銃が上がる収容所に向けて、F-2の四機編隊からJDAMが投下され、さらには上空のAC-130からフレシェット砲弾が撃ち出され、収容所は北半分が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
「すごい威力だな」
爆撃の様子を南の丘で眺めていたアイザック・フローラル大佐と市民たちは、その威力に圧巻されていた。
そんな彼らの上空に、事前に伝えていた輸送部隊が到着する。
「アイザック・フローラル大佐はいられますか?」
「私がアイザックです」
「我が国の前線基地にご案内いたします。どうぞこちらへ」
アイザックは自衛隊員に連れられ、自衛隊前線基地へと向かう。
診断の結果、軽いうつによる腸の病気と言われました。




