(最終回)真実の向こう側
重苦しい空気を放っている扉が、音を立てて開き、四人は残された時間が少ない事を改めて思い知らされた。
中に入ると電光版に残りのタイムが書いてあり、そこには暗い部屋の中に蛍光色の液体が大きな機械の中を流れていたのだ。
その再度にもポンプや歯車や太いネジ等が備え付けられ、大きな機械の真ん中には赤く光る大きな三角の丸いボタンが設置されていた。
そして、その前にたたずむ影が扉を開けたのか、四人に気づくとゆっくりと振り返る。
四人が部屋に入ると勝手に扉は閉まり、周りが少し明るくなった。
「おやおや、皆でここまで来るとは……私もまだまだ腕が甘いなぁ」
影に包まれていたそいつの姿は薄暗く明かりが付いたことにより、その全貌が明らかになった。
「改めて今回は私の作ったゲームをプレイしてくれてありがとう、私がこのゲームの製作者兼閻魔だよ、でもダメだ、定員オーバーだよ、これは誰かに死んでもらわないとなぁ」
綺麗にお辞儀をするそいつの体は肌が一つも見えない、包帯で覆い尽くされていた、目だけはかろうじて見えてはいるものの、後は不気味なミイラ状態だ。
そんな異様な状態にそこにいた四人は少し気が引けた。
すると閻魔は攻撃をすると言うこともなくゆっくりと機械を眺めた。
「この機械……凄いだろぅ? 私が開発した新しいウィルスだよ、この液体みたいに見えるのはねぇ……全部ウィルスさ、これを作動したら……どうなると思うかい?」
そう言いながら閻魔は両手を広げて機械を見上げた。
しかしその異様な行動に誰一人答えるものはいない、刻一刻と時間は過ぎていく。
「ハズレだよ……これが作動したら……どうなるか……全てが終わるんだよ、でも阻止する方法もあるんだ、聞きたいかい?」
「いや、なんも答えてねーけどな」
ボソッと突っ込みをいれるアゲハに周りに居た三人は苦笑いをすると、ライムの表情が一変し前へ出た。
「どうやって止めるのか教えてもらおうか?」
ライムのその質問にニヤリと不気味な笑みを見せながら答えた。
「ルールは簡単だよ、君達の誰かがあの黄色いボタンを時間内に押したら君達の勝ち、押せなかったらウィルスが出て、君達の負け、さぁ、止めてみるがいいさ……このゲームと真実の世界を」
そう言うとそいつは手元にあるボタンを押し、またしても優雅に近くにある椅子へ座り込む、すると、数多くのモンスターが四人の目の前に表れた。
「完全に嘗めきってるなぁ……やってやろーじゃん!」
「よーっし! いっけぇえ!」
そう言うと二人はとっとと戦闘に入ろうとするが、それをライムが止めた。
「皆! 私……このゲームを終わる事が出来たら皆にちゃんと話したいことがあるんだけど……」
そう言葉にすると、マカが急にクスリと笑う。
「終わるよ、だって皆居るんだから♪」
「! うん、行こう!」
そう言うと四人はバラバラに戦闘を開始した。
残された時間は少なく、ライムは一直線にあのボタンに向かって走った。
残り時間はあと3分
普通なら緊迫するはずだがライムの表情は柔らかかった。
久しぶりにこんな楽しいと思えた、辛かったこと、喧嘩もしたし、大笑いもした。
そんなことをしたら思い出していると目の前に巨大なケンタロスが出てくる。
攻撃を仕掛けてくるケンタロスをライトが防ぐ。
「先に行ってください! 私がここを食い止めます」
「……ありがとう!」
ケンタロスを飛び越え土台にして高くジャンプする。
振るい払った拍子にバランスを崩し倒れたライトに攻撃が仕掛けられ、目を瞑ったそんなとき、目の前にはアゲハがライムを守っていた。
「アゲハ……」
「ねぇちゃんはいっつも俺を守ってくれてたからな」
「え……?」
そんなとき思い出される過去。
「なんで貴方はいつもそうなの!? なんでいつも完璧にできないの?! ガラクタよ! 」
「ごめんなさい、ごめんなさいお母さん!」
「お母さんなんて気安く言わないで! 貴方みたいなのが娘だと思いたくないわ! 愁だけで子供は十分だったのよ! あの子は完璧だわ!」
いっつも帰ったらねぇちゃんとお母さんがリビングで話してた
俺もその内容を少なからず聞いていた。
最初は訳のわからない事だったが次第に俺のせいでねぇちゃんが苦しんでるのが分かって、見て見ぬふりをしてた。
「ん? ねぇちゃん頬にアザ出来てるぞ?」
「え? あ、さっき廊下で転けちゃってね♪」
「ドジだなぁ」
でもねぇちゃんはそんな俺をま守ることすら出来なかった。
あの夜、月の綺麗だった時部屋に入ったらそこは真っ赤な部屋で力なくぐったり倒れてたねぇちゃんをみて、今まで恐れてたことが現実になったと思った。
「もういいからさ……無理しなくて」
「え……」
「ほんとはこのゲーム渡すときにほんとは言おうと思ってたんだけど……これからは自分を守ってやれよ」
「……ありがとう……」
微かに震えるねぇちゃんの声と少し後にマカが魔法で俺達を助けてくれた。
一方ライムはミイラに寸土目をされていた。
「これがカシファの望むことなんだな」
「そうだよ」
「……」
「あたしはこのゲームを終わらせる」
静まるミイラを追い越し一気にジャンプする
あと少し!
5
4
3
2
1
それと同時に黄色いボタンを押した。
周りが白くなり体の力がどんどん抜けていく。
そしてまた思い出がスクロールする
《あの転校生さー、何にも話さないよー》
《口無しかよー!》
《ほっとこー》
《……》
いっつも教室の窓の席は私一人……
参観日には誰も来ない、お母さんも居ない……
私は必死に前のミイラへと勢いをつける
でもそんな私を救ったのが……ゲームでも何でもない、友達だから。
「ありがとうな」
ライムの耳元で父親の声が聞こえていた、それはとっても優しい声だった。
あれから意識が戻った私はゲーム機の中に居た。
今までの事が夢のように思えた。
現実を受け止めた私は少しふらつきながらも卵型のゲーム機から出て、今までの事を無い頭をフル回転させて、整理する。
「……終わったんだ……」
そのまま私は辺りを見回してその人を見つけた。
「お帰り、カシファ♪」
「!」
少し驚くがその笑みに私はつられて笑顔になる。
「……ただいま、那奈もお帰り」
「うん! ただいま!」
そう言うとお互い笑顔になった、ゲーム機からは自動的にソフトが出てきて、もう一度入れても作動しなくなっていた。
部屋からでると、日が高く今は昼のようだ、一体どれほどまであのゲームに閉じ込められて居たんだろう?
そう思いながらパソコンを開くとあれから一日しか経っていなかった。
あれだけの事が一日で終わったんだ……。
そう思うとなんだかあっという間な気がしてならない。
私が不思議そうな顔をしていると那奈は私の手を取り、走り出す。
「ほら! 約束だから行くよ!」
「……だね」
そう言うと二人は駆け出した。
電車にのって隣町を越えたところには季節外れの潮風が私達を歓迎してくれた。
そのビーチには夏のざわめきは無く、その代わり二つの人影が見えた。
マカはその影を確認するなり走り出した。
「おーい! 来ーたよー!」
那奈は大きく手を振りながらその二人へと近づき、なにやら話している。
カシファはそんな様子を見ながらビーチに続く階段で潮風を浴びていた。
(お父さん……ありがとう、でも心配しなくて良いから……私は)
カシファがなかなか来ないことに気づき後の三人もカシファ手を振っていた。
「おーい! おっせーぞ! 早く来いよー」
「皆で花火でもしませんかー?」
そんな二人の言葉に我に戻り、階段を降りようとしたとき、那奈が近くまで走ってきて満面な笑みでこう言った
「ほら、早く行こう! 皆待ってるよ♪」
「そうだね♪」
(私は幸せだよ)
今までありがとうございます!!
ライム「ここまでとてつもない長い時間をかけたなぁ」
マカ「でも楽しかったね♪」
ライト「でもなぜ私が男役なんでしょう、今でも疑問です」
アゲハ「あ、それは奴が《外見は男だけど中身は女って面白そーじゃね!?》ってことでしたらしいぜ?」
ライト「そ、それだけで……」
アゲハ「俺なんて女だぜ!? 外見が!」
ライム「ま、まぁまぁ、それじゃぁ最後はかっこよく締めよう、今までグダグダだったからさ!」
マカ「だね! せーの!」
皆「最後まで読んでくれてありがとう!!」
???「はーちゃん、私たちもそろそろかな?」
???「さーな、あいつ次第」
???「あたしも登場できるかな?(笑)」
???「できねぇだろ」
???「ぶっ飛ばす」




