ばいばい……もう永遠に……
ピッピッ……
機械の音で私は目を覚ました。
口には酸素マスクが付けられ、そこら辺には駐車で繋がれた管が入り交じっていた。
頭がボーッとする……、なぜ私はここにいるのか……。
働かない頭をフル回転させようとするが故障寸前だ。
そんな中、今置かれている状況だけはなんとか理解した。
私は今病院のベッドに寝ている。
どうしてこの状況になったのかは分からない……けれど、それだけは確かだ。
私は目で辺りを見回し、手を少し動かすと何かに当たった。
触って何かを確かめると、どうやらナースコールらしい。
それを押すとものの数秒で先生とナースが慌てて私の元へと走ってきた。
私が目を開けているのを見ると、目を丸くして驚きその中の一人の先生が私に優しく声を駆けた。
「どこも痛くないかい?」
「はい……」
それから、すぐにマスクもしなくなり二日後には私は病院を自由に行き来できるようになった。
先生の説明もよく理解ができず、私はいつも空を見てボーッとしていることが多かった。
やがて私は退院し、先生の車で家まで送ってもらった。
だが家の周りにはカメラマンやアナウンサー達が集まり、挙げ句の果てには警備員が門を越えないようにと張り詰めていて、入りたくてもとても入れる状況ではなかった。
「先生……これは……」
「あぁ、また取材班達がたまっているんだね……ちょっと無理矢理たが通らせてもらおう」
先生がそう言うと警備員に合図を出し、門までの道を開けてくれた。
カシファはカメラのフラッシュや人のざわめきに怯えながらも、ゆっくりと車は門に近づいていた。
その時警察官の間から一人のカメラマンが這い出てきて、カシファのいる窓にノックする。
「カシファさん! 今回の事件について何か言いたいことは!?」
すると次々に警察官の間から出てきて車はあっという間に人に埋め尽くされた。
「お父さんの事どう思いますか!?」
「犯罪者の娘としての感想は!?」
「どうしてカシファちゃんだけ無事なのかな?!」
「友達に言いたいことは!?」
「一言お願いします!」
フラッシュが先程よりも早くなり、カシファは助手席に縮こまる。
そこを警察が再び取り押さえ、門が開かれると車は勢いよく敷地に入っていった。
それと同時に門は閉まり、玄関の前でカシファは下ろされた。
玄関前にいた警備員はカシファの頭を優しく撫でると、中腰になり、「よく頑張ったな」と家の中へ向かい入れてくれた。
訳もわからずカシファは部屋へと急いで走り出した。
分からない! 何でこうなってるのかが分からない!
恐い……皆、なんで……
片言な言葉を頭の中で並べて、部屋にはいるとすぐに布団にこもった。
その夜は寝付けず、寝てもまた人に囲まれてフラッシュをたかれる夢を見ては目を覚ました。
水を飲もうと下に降りようとしたとき、隣の扉に立ち入り禁止と書かれたテープが貼られていた。
カシファは特に気にせず恐る恐る階段を下りて水をのみまた急いで部屋へと戻った。
うっすらと空が明るくなりかけた頃、モニターが開き、電話がなる。
出てみると、そこには叔母ぁちゃんがいた。
「叔母ちゃん……私……」
「良いんだよ、カシファは何も悪くないから……叔母ちゃんのところに来なさい、タクシーを近くの公園に待たせてあるから」
「うん……」
それから身支度をし、少しのお金を持ち、記者達が寝静まっているのを確認するとゆっくりの裏口から気づかれないようにその家を後にした。
そこからはタクシーで道中休憩を挟みながら、二日かけてたどり着いた。
綺麗な海が見えてきた所で、タクシーは止まり、「長い間お疲れさまでした」と言い残すと地上へと降りた。
お礼をし、潮風がカシファの長い髪を揺らすと、カシファは振り向き、近くまで行き海を眺めた。
そのすぐ横は立派な門と広い土地に洋風のお屋敷が建てられていた。
インターホンを押すまでもなく出てきたのはカシファの父の母。
「カシファ! あんたよく頑張ったね!」
「おばあちゃん……」
優しくも力強く抱かれた腕に安心し、一気に今までの疲れが出たのか眠たくなる。
その日はぐっすりと休んだ。
この四、五日ちゃんとした睡眠をしていなかったカシファは、ぐっすりと眠っていた。
次の日、何があったのかを知るため、もう一度事件の事を含めて先生に電話をかけた。
「……一過性の記憶喪失だよ、脳に何らかの障害が生じたんだ……ただし記憶を呼び覚ますことは難しいだろう……言いにくいが君のお父さんの配信したゲームにウィルスが、仕組まれていてね、君も危うく亡くなっていた所だったんだ……君と一緒にいた友達は……もう……」
そこで、カシファは礼を言うと、電話を切った。
庭に出て、フェンスから身を乗り出すと、広大な海に言葉を失った。
何も覚えてない自分に腹がたった、悔しくって嫌になったけれど、何一つ思い出せない。
下を見ると真っ青な海がまるでカシファを読んでいるようにゆっくりとフェンスから体を倒していく。
「ダメ!」
そんなときに脳内に誰かの声が走った。
パッと割れに戻ると急いで体制を戻し、その場に座り込んだ。
「私……どうしたらいいの!?」
そう訪ねるが誰も返事はない。
「もう、分からない! あなたが誰なのかも!」
そう言うとその場で泣き出してしまった。
そんな様子を見ていたおばあちゃんはゆっくりと後ろからカシファを抱きしめこう言った。
「……カシファ……私はカシファに生きてほしいんだよ……友達の分まで」
おばあちゃんのその言葉に、吸い上げられたような感覚になり、またしても涙が溢れていた。
──────
海は夕焼け色に染まり、昼間まで賑やかだった海沿いも盆過ぎたせいかほとんど居ない。
そんな浜辺の前の展望台の麓で一台の車が地上へと降り立った。
そこから最初に出てきたのは3際くらいのかわいい娘だった。
「早く! 早く」
降りてきた男性のズボンを引っ張り早くいこうとせがむ。
「じゃ、先いってるな」
「分かった」
父親であろうその男性と子供は近くにあった小さな砂浜へ続く階段を下りていった。
そこからゆっくりと車から降りてきた彼女は手すりに手を駆け海を眺めた。
すると、片方の手に持っていた紙を目に通した。
『名前も顔も知らない友達へ
あれからもう10年が経ちました。
私も何度も病院へ行って、治療を受けたけれどなかなか難しいようです。
私の事怒ってますか? それとも恨んでるかもしれない……
もしもそうだったら私は皆の事を少しでも早く思い出して謝りたい。
だからそれまで長いかもしれないけれど待っててほしい
それではまた来年に来ます。』
女性はその紙を折り始め、紙飛行機にするとそれを風に任せて投げた。
紙飛行機は、彼女の思いを汲み取ったかのようにまっすぐ空へ上がって行った。
紙飛行機が、見えなくなると彼女は空に向かって声を出した。
「ばいばい……また来るね」
そういい残すと、優しく笑顔を空に向かって見せた。
もしもあのときに戻れたらもっと違う未来だったかもしれないし、同じだったかもしれないし
でも、もしも戻れるのなら
友達の顔が見れるのなら
私はもう一度
───あの時に戻りたい
繰り返しのゲームへと……
御閲覧、感想など誠にありがとうございました。
お陰様でここまで来ることができてとても嬉しいです(^-^)
これからもよろしくお願いします。
▲コンティニュー?
▶はい
 ̄ ̄
いいえ
また貴方達に会いに行こう。
そして、この未来を変えて見せよう……




