宝物探し
そしてやっと探索に入る四人。
町は小さく、正しく冒険の最初の町という雰囲気だった。
あまり開発されてない町は小さいわりに人が沢山いた。
さて、綿菓子の叔父さんの所から真っ直ぐ西に逃げるとそこは住宅地だった。
どうやらこの町は全体的に四角になっているらしい。
「ここは普通の住宅地みたいだし、何か買い物が出来るところはないのかな?やっぱりさっきの所?」
マカが辺りを見回しながら不意に後ろを振り向く。
「うーん、でも一応ここら辺にいるひとにも話を聞いてみよう、さっきみたいに何か貰えるかもしれないしな。」
「おー!やっと探索に入れるのか!」
「あんたのせいでしょ。」
そう言いながらライトはアゲハの頭を軽く叩く。
「ー♪」
アゲハは、他人事の様に腕を頭で組みライムの隣に寄ってくる。
「ねーちゃん怖いだろ?」
耳元でライトに聞こえないように言ってるのだろうが…お見とうしのようだ。
ため息を吐いて、呆れ顔をしている。
ライムも、何も言えずただ苦笑いしか出来なかった。
その時マカが、不思議そうな顔をして立ち止まる。
「ねーねーあの光ってるのなに?」
三人はマカの指差す方へと顔を向ける。
確かにそこの家の木箱の上には、何か光るものが置いてあった。
「なんだ?あれ、アイテムとかじゃない?」
アゲハは、近づきながら慣れたように進む。
「そうかもね、この間したゲームより分かりやすい!!!」
マカも、アゲハの後ろを追って行く。
「わー、どんなのでしょう?楽しみですね!ライム さん!」
「あぁ。」
ライムとライトも二人を追いかける。
木箱の上にはキレイな白い布の袋が無造作に封をされずに置かれていた。
持ってみると正にお金が入ってますよという音がした。
マカが袋を開いて中身を出すと、そこには綺麗に輝く銀色のお金があった。
「これ、どこからどう見てもお金…だよね!!」
マカがお金を見ながら呟くとライトもそれを手に取り、まじまじと見る。
「はい、それにしても綺麗ですね♪」
ライトの言う通り、不思議なくらい綺麗に輝いている。
「まーでも何はともあれ、これで少しは買い物が出来るな、装備も買えるし良いじゃないか。」
ライムはホッとしたようにお金を見つめた。
アゲハも何も言わずそれを見つめていた。
「「「「綺麗」」」」
その輝きはお金に相応しく、そして不思議な輝きを放っていた。
「よし!!まだ落ちてないかここら辺も探そう!絶対まだ落ちてる気がする!」
マカが瞳を輝かせながら張り切っていると、アゲハが不意に木箱を開ける。
「…何してるんだ?」
ライムが不思議そうに中を覗き混む。
そこには何も無かった。
「いやさ、こういう所にもあるのかなーと思ってさ、よくあるじゃん?こういう所!」
ライトも納得したような表情をして、辺りを見回す。
「確かに中身も見ないとな、手分けして探すか?」
「そうですね、そっちの方が効率が良いと思います。」
「俺も賛成ーー!」
「あたしもーーー!」
「きまりだな(なんだ?この二人の妙に元気なこえは)」
こうしてライム達は二手に別れて作業をすることにした。
1つはライムとライト。
二つはマカとアゲハに別れた。
ライトとライムが真面目に探している最中あっちの方でははしゃぎ声が聞こえる。
「すっげーーー!マカ!やべーーじゃん!!」
「でしょでしょ!!それでさ!そのあとさ」
一方こちらは
「…見つかった?」
「うーん、ないですねー。」
「そっかー。」
(…)
(…やばい!!会話がはずまない!!!)
なんという静けさだろうか。
沈黙の嵐だ。
ライムは息が詰まりそうになり、ため息をつく。
(どうしようこの状況 、ほんとどうしよう)
心の中で呪文のようにいい続けながら、なんとも言えない気持ちに浸っていた時だった。
「ありましたよ!!お金です!」
(やったー!)
いろんな意味を含めて、ライムは心の中でそう叫んだ。
「やったな、こっちは2個も見つかったし、もうないかもな。」
「そうですね…合流しましょうか、あちらと。」
「そうだな。」
二人ならんで歩き出すと、なんだか照れくさい気持ちになる。
ライトは本当にお姉さんみたいで、一緒にいててなんだか心強い気持ちになれる。
(私は一体どう思われているんだろうか)
「あのー、マカさんとライムはお友だちですか?」
そう思っていると、ライトが思わぬ質問を投げ掛けてきた。
少し慌てたがライムは 冷静にこたえる。
「あ、あぁと言っても最近友達になったばかり、まだお互いの事あんまり知らないし…。」
「でも、良いですね、そんな人がいるなんて、羨ましいです。」
「?」
ライムが不思議そうな顔をしていると、ライトは「何でもありません♪」と、照れわらいをして、 足早にマカ達の所へと進む。
少しの間立ち止まっていたが、考えても仕方ないと思い、すぐに歩き始めた。
(そうだよな、私とライトさんは顔見知りでも何でもないし、相手の事情とかをむやみに探ろうとするのは良くない…よな。)
またしてもライムは複雑な気持ちになる。
友達でもない、知り合いでもない…そんな人達とこんなに近くにいるのは、前にもあった。
ライムは小学生の頃の記憶がふと甦り、立ち止まった。
周りには知らないひとばかり。
いつも一人だった。
そう思考を巡らせていると、ライトがライムの手をとって、呼び掛けた。
「ライムさん!向こうも見つかった見たいですよ♪行きましょう!」
その声でライムは我に戻ったかの様だった。
「あ、ああ。」
つないだ手と手を見て少し照れくさい気持ちにもなったが、何だかライムはそれが嬉しかった。
向こうの方ではマカとアゲハが手を振っている。
(…ま、いっか。)
ライムはモヤモヤとした気持ちが晴れたようにライトと一緒に歩き出した。