勝利の祝杯
崩壊した屋敷には静けさが辺りを包み込み、嵐が過ぎ去った後のようだ。
町の人々も外の明るさに驚き一人一人と外に出ている。
「呪いが解かれたんだ!」
「明るい!明るいぞ!」
「これで怯えなくて済むわ!!」
皆それぞれに喜びを露にする中、一人の男性が屋敷の方へと向かう。
その男性は宿の亭主だった。
そこは誰もいない屋敷が無惨にも残骸と化していた。
「……ありがとうございます……せめて、お礼だけしたかった」
亭主もその残骸を見て、もしかしたらと目に涙を浮かべていた。
すると、町の人々も続々と亭主の周りに集まり、話を聞くと祈りを捧げた。
「神よ……あの勇者たちに……祝杯を……」
亭主が瓦礫を見ていたその時、瓦礫が微かに動く。
バキ!
「!?」
バキバキ!!
周りがざわつき始め、木陰へと非難し始めた時、瓦礫が一斉に巻き上げられる。
「ひゃぁぁあ!!」
「あー、もうどうなるかと思った」
「きゃ!飛んでます!飛んでます!」
「大勝利ー!」
四人が次々に空へ舞い上がると、マカの出した魔法の絨毯で無事地面へと着地する。
「いやー、まさかあんなところでアゲハが役に立つとは」
「なんだよ、その言いぐさ、俺がいっつも役に立ってないみてーじゃねぇか」
そう、あの時暴風のため、晴れて自由の身になったが天井やらいろんなものが四人の頭上めがけて落ちてきた、そんなときアゲハが動き出す。
「皆! 俺の近くに!」
慌てながらもアゲハの近くに寄る三人を確認すると、アゲハは渾身の力を振り絞り呪文を唱える
「リンパルス!!」
その呪文を唱えると、先程まで固かった床が急に柔らかくなり、弾みだす。
もはや生き埋め状態になりかけたとき、その床は一気に膨らみ上がり、四人を外へと一気に押し出し無事外へと出ることに成功したのだ。
「でも、いろんなものが当たったりしてちょっと痛かったかも……」
マカが服についた埃を払いながら立ち上がると、アゲハは怪我をさせたかと挙動不審になる。
「え!?で、でも生き埋めよりはましだろ?」
「うん!全然大丈夫だよ」
「本当、最初はビックリしましたが、無事に出られて良かったです」
と、一安心しているが、町の人々は一斉に四人に歓声を上げながら近づく。
「ありがとうございます!!」
「貴方達が呪いを解いてくれたのですね」
「これで怯えなくて暮らせます!!」
茫然と立ち尽くす四人は訳もわからず、なんの話だと頭を傾げる。
「皆!やっとこの町に光が差した!!それもこれもこの方々のおかげなのだ!!祝杯をお出ししよう!!」
「今日はおまつりだぁぁあ!!!」
「さぁさぁ、こちらへどうぞ!!」
なすがままに四人は村人に祝杯を記念し、お祭りへと連れていかれる。
食べ物の準備まではいろんなダンスやステージが披露され、町の人々も楽しんでいるようだ。
次第に出来上がった料理、酒などが振る舞われる。
ついには打ち上げ花火まで準備されているではないか。
そして、ノリノリなのはこの二人だ。
「うっわぁぁぁあ!!アゲハ!!見てみて!花火だってーー!」
「おぉ!ありゃでかいなぁ!!もっと近くで見ようぜ♪」
「うんうん!行こ!!」
周りの住人が危ないですよと止めるも二人は気にせず一番よく見える前の位置に立ち、花火が打ち上がる瞬間を今かと待ち構えていた。
「……」
「おぉ!やべー!!」
傍らではしゃぐアゲハの横顔を見ながら、何故かマカは不意にこんなことを考える。
(……このゲームが終わったら、もしかしたらアゲハ君とはもう……会えないかもしれない)
そう思っている間に火薬玉は三人の男たちによって砲弾へ入れられる。
(……もしも会えなかったら……この気持ちはそのままなのかなぁ……)
(……そんなの
嫌だ!!!)
マカは意を決してアゲハに向き直る。
「アゲハ君」
「!?ど、どうした?!急に」
いきなりの君付けで暫し驚きながらマカに向き直るアゲハ。
その間に火が付けられ村人はすぐさま避難し、辺りが少し静かになる。
「あたしね、前からずっと言いたかった事があったんだけど」
「?」
火薬玉に火が移り、一気に大きな玉が飛び上がり、夜空に大きな音と共に満開の煌めく花びらが咲き乱れた。
パァン!!
「あたし!アゲハ君の事が好きです!!もしもよかったら付き合ってください!!」




