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繰り返しのゲーム  作者: 赤ずきん
繰り返された未来
5/74

最初の武器

その後、冷静に戻った四人は…


「とりあえずどれくらい広いのか、適当に探索して、そこから気になる所とかを行って見たら良いんじゃない?」


マカがいろんな店先を見ながら言うと、アゲハは真っ先に綿菓子のお爺さんの方へと走り出す。



「叔父さーん!」


「ちょ!アゲハ!どこいくの?」


ライトも呼び止めるが聞かずに、アゲハはおじさんの所に向かい話し出す。


私達も急いでアゲハの方へ向かう。


「ねーねー叔父さん!綿菓子ちょうだい!!」



「ズルズル………はぁー。」



「綿菓子ちょうだい!!」




「ズルズル………はぁー。」



「…。」



アゲハの顔が少し歪み、大きく息を吸う。


ライトは止めようと声を掛けたが遅かった。


「アゲハ、迷惑で 「綿菓子!!!!ちょうだい!!」」




キーン


どうにもこうにも素晴らしく煩い声だった。



同じゲームをしている人も、耳を塞いで遠ざかって行った。


「う、煩い…。」


私も間近で聞き、耳が壊れるかと思った。


いや、壊れたかも。


「ズルズル………はぁー。」



「チェッおもろくねーの!綿菓子くれないのかよ!」


少しふて顔のアゲハに対して、今まで目を瞑っていた叔父さんが、立ち上がる。


「…ん?」


「 うるさいんじゃ!!バカどもが!!!」





キーーン


(耳が壊れた。)



そう言うと叔父さんは座り込み、またお茶を啜り始めた。


「ズルズル………はぁー。」


アゲハも叔父さんに睨みをきかせて、後退りした。


どうやら負けたと認めたらしい。


すると、叔父さんは飲み終った湯飲みを前の小さな机に置き、険しい顔をし黙りこんでしまった。


「ちょっと怒ってるよ?謝っといたら?」


マカも少し慌て気味でアゲハの右肩の方へ隠れる。



「え?えー?怒ってるの??マジで!?…。」


アゲハも慌て顔で、目が泳いでいた。


「…はーとにかく、さっさと謝っておくんだな。」


私も腕を組んで、叔父さんの方へと視線を移す。


すると、叔父さんが不意に立ち上がり、仁王立ちをする。


「ヒ!ちょ、ちょっと襲ってきたらどうするの?早く謝った方が良いって。」


ライトはアゲハの右肩にやはり隠れこみ、額から冷や汗が出ていた。


「お、おい!俺の後ろに隠れるなよ!…あ、あの~スンマセーン。」


「「「棒読み!?」」」


あまりにも酷いアゲハの謝り方に、その場にいた三人は呆然としていた。


「…ソナタ…でかした、吾はあんな大きな声を聞くのは初めてじゃよ、フォッフォッフォ!記念にこれをやろう、お主達の力になるであろう。」


そう言うとお爺さんは、さっきまで座っていた長いイスの下から箱を取り出し、目の前にいたアゲハに渡した。


「え?あ、どうも、…ありがとなじーちゃん!」


開き直ったのかアゲハは叔父さんの頭をこれでもかと言うほどにグシャグシャにして、私達もあまりの発展に驚きを隠せなかった。


「なんだろうなー箱の中は♪開けるぜー!」


「こら!ちゃんとお礼を言いなさい!せっかくくれたんだから。」


ライトはアゲハの頭を押さえ込み、無理やりお辞儀をさせると、叔父さんは最後のお茶を飲み干し、奥へと上がって行った。


「よーっし!気合いいれて開けるぞ!」


アゲハがそう言うとマカは右手を大きく挙げてガッツポーズをとった。


「よしきたー!」


「でわ諸君良いかね?開けるぞぃ?それー!」


アゲハは声と共に箱の蓋を勢い良く開ける。


そして皆で顔を除きこむ。


それは今の私たちに欠かせない武器だった。


外見は弱々しそうに見えるが、お金も持っていない私達には嬉しいプレゼントだった。


「やったね!武器だぜ?剣!剣!剣ー♪」


アゲハは早速その剣を取り出し、眺める。


「結構シンプルだし、ロングソードって言ったところかな?誰が持つ?」


私が腕を組ながら三人に話しかけると、勢い良く手を挙げたのはアゲハだった。


「はい、はーい!俺持ちたーい!!いいだろー?なー。」


目を輝かせながらねだるアゲハに、誰も反論はなく私たちはコクりと頷く。


「そうよね、見つけたのはアゲハちゃんのお陰だし、良いと思うよ♪」


マカがそう言うと私も頷く。


「そうだな、それがいい。(あー剣使いたかったー)」


心の中でそう叫びながら、内申渋々と諦める。


(そうだな…見つけたのはアゲハだもんな…うん、そうだ)


「たまには良いことするじゃない。」


ライトがアゲハの頭を撫でると、アゲハは照れ隠しなのかそっぽを向き、「はん!べーつに。」などと腕を組む。


(いいなー、)


なんだかこの二人を見てたら心和む気がした。


私は小さい頃からお父さん1人で育てられてきたから、兄弟もいなければ母親もいない。






…ま、今はどちらもいないけど。



「ん?どーしたの? ライム??ボーッとしちゃってさ!」


二人を見ていると、いきなりマカが顔を覗き込んできた。


「うわ!…べ、別に何もないよ、ほら、行くぞ!」


私はマカの顔を避けて、歩き出した。


「そーしよー!」


マカも私の右隣に並んで歩き出し、二人に手を振った。

なんだか擽ったい気持ちになった。


「あ!待ってくださいよー二人とも!ほら!アゲハも行くわよ!!」


ライトは先にいく私達に気づき、小走りでついて来るとアゲハも小走りで剣を鞘に納めながら三人の元にたどり着く。




こんなにウキウキした気持ちは、ほんとに久しぶりだ。




不思議とライムの顔には笑顔が溢れていた。



そして四人は進んでいった。


まだ見ぬ世界に向けて、一歩づつ。




ほひょ?おかしい

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