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繰り返しのゲーム  作者: 赤ずきん
繰り返された未来
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黒い過去


「どうする?…なぜこうなった…。」


暗い部屋で人影が蠢き、彼は困り果てたように頭を抱えていた。


「こんなことは…いつでもあり得る…次の案を考えよう。」


そうすると彼は部屋の奥の暗闇へとゆっくり足を進めていった。








その頃二人はまだ林をさ迷っていた。


お互いさっきの事があってか、口数が少なく、お互い違う方向を見て歩いていた。


「…。」


「…。」


頭の中では今までのいろんな事が整理のつかないまま頭の中をループしている。


でもたったひとつだけ共通に思っていること…それは、


早くこのゲームを終わりたい…。


それがいつも頭を過る。


「あのさ…。」


最初に話し出したのはアゲハだった。


「…何て言うか…その、ねぇちゃん。」


「?何?」


ライトも不思議そうにアゲハを見ると、俯いたまま服をギュっと握りしめていた。


「…え、えっと、さっきは…その、ごめん。」


「?」


ライトはさっきのことかと思うがにこりと笑い、アゲハから視線を反らし前を向きながら話す。


「アゲハは謝らなくて良いんだよ?私の方が…悪いから、ごめんね。」


「ねぇちゃんは悪くないって!」


アゲハは姉の言葉に反応し顔を上げると、そこにはいつもの姉の優しい笑顔があった。


「誰が悪いとかじゃ 無いんだよ…ね?」


「…お、おぅ。」


「ほら早くいきましょ。」


そういうとアゲハはあるきだす…。


いっつも優しいねぇちゃん…。


でも本当は弱虫なんだ。


いっつも人前では笑顔で優しくてしっかり者で、頭もよくてさ…。


でも!本当は泣きたいんだろ?


そりゃそうさ、誰でもそうだ。


俺には本当の顔を見せてくれよ…何で俺いっつもこうなんだ…。


足を引っ張ってばっかり…こんな自分…大っ嫌いだ!!

もっと俺がしっかりしないといけないのに…ねぇちゃんを守らないといけないのに…。


アゲハの頭の中はどんよりとしていた。


目の前も歪んで見える。


気づけば目に涙が貯まっていた。


アゲハはライトにばれないように拭うと前を見て、ライトの後ろ姿を見つめていた。


こんなこと…前にもあった…俺が家出したときに。



<母さんなんか大嫌いだ!!もう!こんな家にいたくない!!鼻デカバカ!!>


<こら!愁!!>


俺は貯めてたお金を持って隣町まで行って挙げ句の果てには迷子になって、辺りはもう、暗くなっていた。


周りの家からは家族団欒の楽しそうな話し声や笑い声が聞こえている。


俺は今晩の寝るところを探し、公園のドーム型の遊具の中で一晩を過ごすことにした。


でも外は真冬でなにも考えずとっさに家を出た俺は厚着をしてない。


凍えながらも、家には絶対に誰が言おうと帰りたくないって、そう思ってた。


でも、時間がたつにつれ寒さが増していく…。


小さく丸まっていると、いつのまにか疲れたのか眠っていた。


<う…愁?…起きて…。>


聞き覚えのある声で目が覚めて、声のした方を見るとねぇちゃんが遊具の入り口から顔を覗かせていた。


辺りは薄暗く、腕時計を見るともう5時近くだ。


俺はねぇちゃんに手招きされると遊具からでて、寒さに体を震わせた。


<はい、コート…大丈夫?手袋もあるよ>


<…>


無言でコートと手袋を着けるが、俺はそれでも寒くてどうしようもなかった。


<長い間外にいたから…風邪ひいたんじゃない?あたしのマフラー着ける?>


<いいよ!ねぇちゃんのバカ!そしたら、ねぇちゃんが寒いだろ!>


寒い体を震わせながら俺はねぇちゃんに怒るとそっぽを向く。


<フフ♪心配してくれてるんだ♪ありがとう♪>


<なに笑ってるんだ!?>


<ごめんね、それじゃ半分子にしよう?そしたら、ふたりとも寒くないでしょ>


<え!?や、やだよ!恥ずかしいよ!!>


<もう、ぐたぐた言わずに!はい。>


そう言うと俺の首もとにマフラーが巻かれた。


二人を繋いだマフラーはさっきまでしてたねぇちゃんの温もりがあって、暖かかった。


<さー、家に帰ろう?お母さんも待ってる。>


<あんな家に帰りたくない…もう嫌だ!!>


<…あのね、愁…お母さんはね、お仕事も大変だし、愁の面倒も見ないといけないんだよ?なのに、愁が我が儘言ったらお母さん困っちゃうよ?>


<困れば良いんだ!あんな奴!いっつもねぇちゃんのこと虐めてる癖に!!>


<…はぁ、愁ったら、あれはね、私が悪いの…だからお母さんが私にキツくするのは仕方ないのよ…>


<…でも、キツすぎだよ!>


公園の真ん中の遊具に寄っ掛かりながらあーだこうだと話をしてた。


そのうち朝日が登ってきて結局は明日も学校だし…帰ることになった。


電車の中で疲れきって眠たくなってきた俺にねぇちゃんは自分の着てたコートを体に被せて布団がわりにしてくれた。


気づいたら俺はねぇちゃんにおんぶされてて家の近くまで帰ってた。


あの時は小学生とは言え、駅から家までは大分距離がある。


そんな、俺にとってかけがえのない…優しいねぇちゃんだけど…怖い。


いつかねぇちゃんが壊れちゃうんじゃ無いかって…居なくなるんじゃ無いかと思うと…怖かった。







だから俺は全部…見てみぬ振りをしたんだ。





現実から目を背くために…自分勝手な都合で…



ねぇちゃんを










苦しめてたんだ。

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