見えない気持ち。
崖を抜けると、しばらくして広大な草原へ入る。
「だーかーらー!空から行ってもし攻撃されたらどうすんの!!」
「もー、さっさと終わらせたいんだよ!クリアしたら元に戻れると思うぜ!?」
「そんな無茶してまた死んだらどうするんだよ!!」
「それは…あれだけと…こんなにちまちましてたら死ぬ危険だって高まるだろ?!」
「はぁ!?!そっちの方がよっぽど危ないって!!」
「お前声でかくてうるせーよ!!」
「あんたの方がうっさいわ!!」
「「なんなんだよ!!!」」
「…二人ともハモってます…。」
「…。」
そして、その草原の中で大声を上げて喧嘩しているのはライムとアゲハだった。
原因は数分前にのぼる。
…草原に突入しいっこうに近づいている気配がない遥かに遠くに見える城を見て、アゲハがマカの持っている絨毯で一気に城まで行こうと言ったのが原因だ。
「…はぁ。」
そんなとき険悪モードの二人の間て1つのため息が聞こえた。
睨み合っていた二人が目を向けるとマカがものすごくどす黒いオーラを出しながらまたもやため息を一つ吐く。
「ど、どうしたんですか?マカさん…さっきから元気無いですよ?」
「…あ、いや、何でもないの…気にしないでハハハ…ハァ。」
マカの様子を見てお互い目で今は喧嘩は中止と合図を送りマカに近づく。
「どうしたんだ?何かあったか?」
アゲハが心配そうに声を掛けるがそれが逆効果になったようだ。
「!!!…べ、…ベツニ…。」
ドヨーンとしたオーラが更に沈む。
「…マカ?何かあったの?」
心配そうに顔を見るライムには悪いが、今は正直誰とも話したくない気持ちだ。
「もう!…なんでも無いってば!早くいこうよ。」
「え…。」
思わず口から出た言葉はいつものマカより口調が強く、言った後で反省するが、謝るのも難しいものだ。
ライムも怒られたと思ったのか、何か自分が悪いことを言ったかと考えている。
結局はそのまま謝れず終いで、四人は無言で歩き出した。
静に歩くなか草を掻き分ける音しか聞こえないくらい四人は全くしゃべらなかった。
マカは遠い目で横にならんで歩く二人を見つめ、泣きそうな顔になりながらライトの後ろに隠れる。
「…?。」
ライトもどうしたのかと思い、聞こうとするがさっきのこともあるので何も言わない方がいいだろうと思い、そのままそっとしておくことにした。
だが、マカも内心反省していた。
(はー、さっきはライムに言い過ぎちゃった…どうしよう…でもこんな状況じゃ謝れないよ。)
目に涙を浮かべながらあれこれと考える中である一つのアイディアが浮かんだ。
(そ、そうだ!モンスターとの戦いが始まったら、私がライムを守ろう!それでさっきはごめんね…よし!この手でいこう!!)
頭の中でシュミレーションし、最後には握手を交わして、それでいつもの仲良しになろう!!と、右手で拳を作り、気合いを入れる。
一方ライムの方はというと、さっきの自分の言葉に悪いところがあったかとまだ考えているようだ。
(マカ…なんであんなに怒ったんだろう…私、悪いことしたかな…うーん、記憶にありすぎて覚えきれない…は!)
すると、物事はどんどん悪い方に考えられる。
(も、もしかして…今までの自己中な行為がいやになって…。)
思い出されるのは出会って間もないとき…二人で初めて外に出たときの事だ。
<うゎ!>
急に驚きマカにしがみつく。
<?どうしたの?>
<こ、子供がたくさんいる!あっちから行こう!>
<え?え!>
急に腕を引かれ戸惑いながらも一緒に走った記憶。
それ以外にも数々考えられる。
ケーキバイキングで食器が当たってマカのケーキを落としたり…あの時悲しそうだったし。
いっつもあたしの我が儘で…振り回されてたから…。
(もし…友達をやめるなんて言われたらどうしよう…初めて出来た唯一の友達なのに…。)
悪いことばかりが頭から離れない。
アゲハは下を向いて歩いているライムを見ると、どうも言えずに少し目をそらした。
(はー、この状況でどう慰めたら良いんだよ、これじゃ…前と…一緒じゃねぇか!)
目をそらした自分に苛立ちながらも掛ける言葉も出てこない。
ライムと二人少し距離をあけて歩くのも息がつまりそうになる。
シーンとしたそんな中だ。
ライムはふと、横の方を見る。
その時足に激痛が走り、思わず声が出る。
「いた!」
その声で三人はライムの方を向き、ライムの見ている足元に目をやるが草が長く伸びて、何があるのかよく見えない。
「ライム…どうしたんだ?」
「え、あ。」
何かを言おうとした瞬間ライムはバランスを崩しその場に座り込むと、だんだんと体が沈んでいく
「な!」
アゲハの足元も沈み始め、ライムに手を伸ばそうとするがそれは出来る状況じゃないと判断し後退りする。
「ライムさん!手を伸ばせますか!?」
ライトは手を必死に伸ばすが足の痛みでなかなか動けず、とりあえず地面に埋まっていく手を引っこ抜きライトに手を伸ばす。
がなかなか届かない…。
その間も体はどんどん地面に埋まっていき、その正体がついに顔を出した。
それは現実の世界で言えば蟻喰いに近いが頭の上に幾つもの角が生え、体毛も長い…簡単に言えば蟻喰いと毛虫が混ざったようなモンスターがライムの足に食いついていた。
「ライム!待ってて!シャイニング!」
「マカ、待ってくれ!」
魔法を放とうとしたマカにアゲハは待ったをかける。
「魔法を掛けたらライムも一緒にうけちまうぞ!」
「あ…。」
「もう…良いから…。」
そんな中か細い声がきこえる。
ライムは俯きながらもう半分まで土に埋もれた体にため息をつきながら三人を見る。
「三人は先に行ってて…あたしの事は良いから…。」
「でも!」
マカが手を伸ばしたその瞬間大きく開いた口は体ごと飛び上がり一気にライムを丸飲みし、そのまま地面に沈んでいく。
その光景をみた三人はその場で凍りついた。
砂のずれる音だけが鳴り響く。
「…行かなきゃ…。」
「え…。」
「あたし!行ってくる!」
マカはモンスターに向かって走り出すがそれをライトは止める。
「ま、待ってください!どうやって助けるんですか?!」
「分かんない!そんなの…だけど、助けたいの!」
「でも、そんなことしたらマカさんまで…。」
「ライムは、あたしの大切な友達なの!だから助ける、絶対に!!」
そういってライトの手を振りきるとマカはポカリと口を開けたモンスターの中に自ら入っていった。
口の向こうは蓋のようになっていて一回入ったらもう出てこられないと、確信するがそれでもマカは飛び込んだ。
「おい!マカ!」
アゲハはマカを引き止めに走るがそれも虚しくマカは飛び込み、それを助けにアゲハが走る。
「待って!」
だが、それをライトは止める。
「でも…ねぇちゃん…。」
「…お願い…一人にしないで…。」
「…。」
泣き崩れるライトを見て、何も言えずに戸惑っていると砂のずれる音は消え、やがてそこは何もなかったように大きな窪みができて、辺りは静けさを取り戻した。




