ライムパート
「なー、いつまでそうやってんだよー?」
「だ、駄目だ…。」
「…はー。」
何故アゲハがここまで困ってるかというと…。
「なーなんでそんなに子供が嫌いなんだよ…。」
「嫌いなものは嫌いなんだ!!!」
「は…はぁ。」
そう、アゲハの悩みの種は ライムだった。
二人の目の前には子供がわんさかと店の前にたまっている。
二人はそこを通過出来ずにいた。
そのせいで、 ライムは壁に隠れているという状況だ。
「もー!どーすんだよー?」
しびれを切らしたのかアゲハはライムに顔を近づけて、物凄い顔で怒っていた。
「…。」
無言で無理と威圧する目に、アゲハはまた頭を抱える。
「…他のところを探すか。」
ボソッとアゲハが口にすると、 ライムは待ってましたかのように壁から出てくる。
「そうするか。」
「おいおい。」
アゲハも呆れたようになるが、二人は小さい路地に入った。
その路地を抜けると、さっきの綿菓子のおじさんの所へ抜け、二人はそこら辺を探すことにした。
「といってもさ、どーやって探せばいいんだ!?どんなひとかも分からねーだろ?」
「…しまったな…。」
アゲハの言葉にライムは頭を抱えだし 、辺りを見回しながらあるところを指差す。
「あそこに行ってみるか?」
ライムの指差す方には黒と茶色の綺麗な塔があり、上に町全体が見渡せるようになっている。
「おー!良いじゃん!!」
アゲハはそれを見ると早速あるきだした。
二人はさっき来た道とは逆のほうに進みまた路地裏に入った。
二人が歩いていると路地裏だったためか、 ライムは人とぶつかり転けてしまう。
どん!
「わ!」
ドサ!!
「す、すみません!」
そう言うと、その男の人は ライムに手を差しのべ、立たせてくれた。
その男の人は優しそうな顔をしていた。
「あ、ありがとう、ございます。」
「いえいえ、こちらこそこの道は狭いですからね…以後気をつけます。」
そう優しく微笑むと男性は手を振って反対方向へと歩いていった。
「だーいじょうぶかー?」
少し間の抜けた様にアゲハは ライムに話しかける。
「今の人…。」
「んーーーー(棒読み」
「ルーシェ君に似てたような…。」
「男は似てるやつなんていくらでもいるさ!ほら!早く行くぞー!」
「お、おぅ。」
ライムはその男性の事が気に掛かったが、アゲハも気がついて無いようだし、気のせいだと思い振り返って進み始めた。
路地を抜けると大通りに出て、町は市場や音楽とよく賑わっていた。
ラッパを吹く人や市場で買い物を楽しむ人々。
皆が皆とても楽しそうにしていた。
「お!あそこから上がれるみたいだぜ!いっくぞー!オーウ!」
何故かその場の雰囲気で、気分も明るくなってテンションマックスなアゲハは先先に塔の入り口へと近づいていった。
(んー、やっぱりさっきの人…気になるなぁー。)
一方の ライムはさっきの事が気にかかり、周りに気を付けながらゆっくりと歩いていった。
「おーい!ここだ!ここだ!早くこいよー! ライムーー!!」
大声で呼ばれ先を見ると、アゲハは手を振りながら思いっきり笑顔で列の最後列に並んでいた。
ライムも流石に急がないと、と思い小走りに人を避けながらアゲハの元へと急ぐ。
ライムもアゲハと一緒に並び、辺りを少し見回していた。
「まるでお祭り騒ぎだな!こんなに人も多いいし。」
「そうだなー、これは迷子にもなるさ。」
「俺もあったなー迷子になったとき!!」
アゲハは頭で腕を組ながら懐かしそうに話し出し、 ライムの方を見てニコッと笑う
「どうしたんだ?」
「いやさ!俺んち父親いないだろ?」
(いや、知らないし!)
内心突っ込みを入れるが心にしまっておく。
「それでさ!たまには男の冒険をしたくなるんだよ!」
「なんだよ、男の冒険って(笑)」
少し笑う ライムにアゲハは笑い返し話を続ける。
「んでさ!隣町まで、ねーちゃんに内緒で一人で行ったんだよ!そしたら帰るお金も無くて、道も分からないから、途方に暮れてたんだ。」
「自業自得だな。」
「うっせーよ!んでな!一日野宿して。」
「どこで!?」
ライムが少し驚くようにいうと、アゲハはにやっとしながら話を続ける。
「ロボットの管理が届かない小さい公園でさ!」
「へー、よくしたなー。」
[まーな!男だし!そんで目が覚めたら姉ちゃんが抱っこして帰ってる途中だったんだよ。」
「よくもまー、迷惑掛けるなー。」
「いやいやそこなまで。」
「誉めてない!」
「あはは 、んでさ!家に帰ったらねーちゃんどーしたと思う?」
「え!?いきなり質問!?んー、そりゃ大怒りされただろう。」
ライムがそう言うとアゲハは目の前で手を×にして「ブーッブー!」といながら少し列が前進したため、 ライム達も前進し、一番最初の階段を登りきる。
「それがさ!ねーちゃん前の晩から探してた見たいで、謝ったらさ!」
<無事で帰ってこれたからよし!これに懲りたらもう、男の冒険だなんてしないこと!そういうのは大人になってからね!>
「だってさ!なんかかっこいーと思って!」
「いや、それ普通は優しいっていうだろ!」
「俺ねーちゃんの男強さに圧倒されたぜ!」
「ライトさんが可愛そうだ…。」
「お!進むか!」
「そうだな。」
今度は降りる人がたくさんいたのか一気に中央の階段の方まで上がった。
屋上まであと半分だった。
「 ライムは?ねーの?そういうの。」
「んー、私はあんまり外で遊ばなかったからな。」
「へー、かごいり娘だな☆」
「違うわ!」
そう言いながらアゲハの頭に軽くチョップを入れ、また前進する。
屋上まであとわずか。
「私の家はお父さんしか居なくて、お父さんはゲームを造る仕事してたからなかなか遊べなかったし、アニメみるとかくらいかな?本屋には時々行ってたけど。」
ライムがそう言うとアゲハは大きな声で「スッゲーーー!」と言いながら目をキラキラさせる。
「 ライムのとーちゃんすげーな!!!ゲーム作ってたのか!?すっげー!!!!製作者!?」
「うん、まー、下請けのな…あんまり有名では無いし、楽しくもないし、会社に残るので精一杯だったんだろう。」
「それでもスゲーーよ!!うわー!!あってみたいなー!な!ゲームが終わったら会わせてくれよ!な!な!」
「あ、あぁいいけど、期待はずれだぞ!?」
「それでもいいって!全然!!」
二人がそう話しているうちに屋上に着き、端に寄りながら、町全体を見渡した。
「それっぽい人いないなー、」
「マカ達いるかなー?」
「いや、目標違うだろ!」
「ははは、分かってるって!」
(…なんか、一緒にいて楽しいな。)
ライムは秘かに思いながらそれらしい人がいるか探してみた。
「いないなー。」
「もー、夕方だし待ち合わせの所に行くか。」
「そうだな…。」
結局一時間くらい探したが見つからず、夕暮れになってきたため、中断することにした。
帰りはスムーズに降りることができ、ちょうど近くには目的の集合場所もあった。
既にマカ達は来ており、二人で何やら話している。
だが、ルーシェ君の姿がない。
親が見つかったようだ。
「おーい!お待たせー!」
「お待たせ。」
アゲハと ライムは二人して走っていった。




