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第1話

連載版です。

天然素材のみで配合された王道ラブコメですよ~

スナック感覚で読めますよ~



本当なんです、信じてください‼

決して成分を偽装表示などしていません‼

これは運営の陰ry

 我は呪いの書。

 中世ヨーロッパにて、魔女狩りを逃れたモノホンの魔女が、迫害をした人間どもへの復讐のため、生涯をかけて編み出した、様々な呪法が記されている黒魔術書である。

 使用すれば相手はもちろん、術者本人も破滅する。

 まさに禁忌の書物。


「ふふふ……ようやく手に入れたわ。本物の呪いの書! この本があれば、あの女に痛い目を見せることも不可能じゃないわ……」


 そんな我は今、巡り巡って現代日本のオカルト研究部なる連中の下に辿り着いた。

 蠟燭で囲まれた魔法陣を前に、不気味に笑うこの娘こそ、我の現在の主・時田愛実ときたまなみである。

 彼女はこのオカルト研究部の部長であるが、ある日、この高校の生徒会長である高屋敷澄玲たかやしきすみれに部員不足と実績がないことを理由に廃部を宣告される。

 自身の城を壊された恨みに引き寄せられた我はこの愚かな主の下へ。

 呪う対象だけでなく、術師本人も破滅へ導くために……


「部長、やっぱり止めましょうよ。こういうのホラー映画だとロクな末路になりませんって」


 部長の暴挙を止めようと、副部長にして唯一の部員・芳野龍幸よしのたつゆきが説得するが、愛実は「黙りなさい!」と一喝。


「あのクソ女が私たちにした仕打ちを思えば、当然よ‼ むしろ天罰だわ‼」


 ヒステリックに身勝手な持論を振り回す。

 しかし、龍幸は怒れる部長に動じず、冷静に説得を続ける。


「でも人を呪わば穴二つって言うじゃないですか」

「うるさいわね‼ あんた、あの女の肩を持つつもり!?」

「普通のことを言っているだけですよ。大体、部長は生徒会長のことを目の敵にしているけど、なにが気に入らないんですか?」

「ふん、そんなの決まっているわよ‼ 顔面偏差値があたしとそんなに変わらない癖に、いい子ちゃんぶって、みんなからチヤホヤされているところよ‼」


「あぁ、思い出しても腹が立つ‼ うがー‼」と叫ぶ愛実。

 実際には高屋敷澄玲は普通に性格も良く、職務に誠実なために普通に人望があるだけである。

 対して愛実は若干陰気で根暗で趣味がオカルトと言う三重苦。

 ぶっちゃけ単純な僻みである。


(だからこそ、我を引き寄せたのだがな)


 こう言う短慮かつ闇が深い人間に我は引き寄せられる。

 おそらくは我の中に封印されている魔女の魂が、そうしているのだろう。

 元より邪悪な心根の持ち主。他者が破滅するとことを見て悦に浸りたいのだろう。

 創造主とは言え、趣味の悪いことこの上ない。


 まぁ、なんにせよ、我が呪いの書である事実に変わりはない。

 このまま儀式を行えば、辺り一帯に呪詛を振りまくことも可能だ。

 そうして再び、他の人間の手に渡るまで眠りにつく。


 なので、さっさと話しを切り上げて、儀式を強行してほしいのだが……

 言い合う二人にうんざりしていると、ふと龍幸が真剣な顔でこんなことを言い始めた。


「じゃあ、高屋敷先輩を慕う連中の100倍、僕が部長を想いますから、それじゃダメですか?」

『……………………』


 ……話の流れが変わってきたな。

 我の存在しない心臓がトゥンクとトキめく。

 これはもしや……


「な、ななな、なに言ってんのよ⁉ バカじゃないの⁉ バッカじゃないの⁉」


 突然の宣言に顔を真っ赤にして、あたふたし出す愛実。しかし、龍幸は止まらない。


「じゃあ、ハッキリ言います。部長、いや時田先輩、好きです‼ つき合ってください‼」

「にゃ!?」

『………………』


 あらやだ、ときめいちゃう。うん、これは呪いの儀式とかしてる場合じゃないな。

 行く末を見届けなければなるまい。


 我は呪いの魔術書。すべてを破滅に導く存在。

 だが、それはそれとして、こういう甘酸っぱいイチャラブ大好き侍で候。

 さぁ、いけ! 龍幸‼ このままたたみかけろ‼ 龍幸‼ 押せば落ちるぞ‼ 龍幸‼



『餓鬼どもがふざけんじゃないわよ‼ なにイチャついてんの!? さっさと儀式して相手を呪い殺しなさいよ‼』



 ……などと、我が最深部に封印されし魔女の魂が騒ぎ始めるが、知ったこっちゃない。

 我は確かにこの魔女の手に作られし存在だが、だからと言って敬愛してるかと言えば、答えはNO。

 と言うのも、この魔女「結婚するなら高学歴・高収入・高身長で年収1000万(現代換算)じゃないと~」とか抜かすような輩で、その性格の所為で生涯独身。

 それで妬んで悪事を繰り返したのが魔女狩りに会った原因であった。

 因果応報の自業自得と言う奴である。


 そのため我は、創造主への忠誠心は基本ゼロである。むしろ、縁を切りたいレベルだ。


 ……話を元に戻そう。

 突然の告白に当然、愛実はテンパる。

 しかし、従来の芯の強さから、慌てながらもなんとか、話を逸らそうとしている。


「いや、だから、なんで⁉ む、ムードとか考えなさいよ⁉」

「たしかに、いきなりかもしれませんが、なんでかな? 今言わないと、先輩が取り返しのつかないことしでかすんじゃないかと思って……」


 ほう、こいつ、勘が鋭いな。

 たしかに、この儀式が成功すれば、代価として愛実の寿命がごっそり持っていかれる。

 ついでにその後の人生もロクなものにならないだろう。

 ナイスだ青年。もっと押せ!


「もう一度言います。時田先輩、僕と付き合ってください!」

「あ、あう……」


 ずいっと壁ドンされ逃げ場を失った愛実。

 我は知っている。この女、顔面偏差値は高い割に恋愛偏差値は哀れなことになっているのを。

 むしろ、彼氏いない歴=年齢の方程式を証明している。

 このままでは将来は会社の嫌味なお局ルート一択だ。


(どうする? ここで断れば、こいつのようなもの好きは二度と現れんぞ?)


 事の成り行きを手に汗握り(まぁ本だから、手はないのだが)見守る我。

 愛実は顔を赤らめながら「ど、どうして私なのよ……?」と龍幸に問う。


「先輩、覚えてますか? 僕の前にいた映画研究部が、廃部になった時のこと」

「え? えぇ……」


 そう言えば、とふと思い出した。

 一年前、 龍幸が以前所属していた映画研究部は質の悪い不良生徒に乗っ取られた。

 不良たちを追い出そうと毅然とした態度で反抗した龍幸は返り討ちにされ、重症を負い、結果たまり場にされてしまい、最終的にタバコの不始末が原因でボヤ騒ぎが起き、廃部とされてしまったのだ。


「自分は悪くないのに、居場所を奪われ失い、途方に暮れていた僕を、先輩はオカルト研究部に誘ってくれましたよね」

「あ、あれは、部員がいなくなくて、このままだと廃部になっちゃうから、その……人数合わせで……」

「それでも僕は、新しい居場所をくれた先輩に感謝してるんです。そして、一緒にいるうちに、あなたのことが好きになったんです……」


 ストレートに好意を伝えてくる龍幸に愛実は押される一方だ。

 愛実はツンデレ属性であると同時に、チョロイン属性を併せ持つ。故に、龍幸の真っ直ぐな告白はこうかはばつぐんだ。

 タイプ一致ダメージ倍率4倍。おまけにきゅうしょにあたっている。

 これは落ちる。間違いない。

 あと一歩だ‼ トドメをさせ‼


「わ……私でいいの? 私、重い女だよ?」


 愛実は少し恥じらいながらも龍幸に尋ねる。

 ふむ……せめてもの抵抗に、男子が躊躇しそうなセリフをセレクトしたか。

 しかし、そのような者で止まる漢と思うたか⁉

 龍幸は愛実の白魚のような手をぎゅっと握りしめ、はにかみながら応える。


「軽い方が困ります。それに、僕も重い方だからお相子です」


 よっしゃあああああ‼ カウンターが決まったぁぁぁぁぁ‼

 これは堕ちた‼ 完全に墜ちた‼ 流石我が見込んだ益荒男よ‼

 我が心の中で歓喜の声を上げる中、月光に照らされる部室で二人は抱きしめ合う。

 ここから二人の男女の愛の物語が始まるのだろう。




 ……さて、いい物を見せてもらったついでに余談を語ろうか。


 結論から言って、愛実は呪術を行わなかった。

 龍幸と言う彼氏を得て、どうでもよくなったのだろう。

 代わりにではあるが、龍幸が企画したホラー映画を作成することに。

 学校の宣伝も行えば実績にもなると、愛実を説得して制作に乗り出した。

 そうして撮影も終わり、動画サイトに上げると、それなりにバズって高評価を会得。

 結果、高屋敷生徒会長は廃部を撤回。

 撮影に協力してくれた生徒を部員に引き入れ、晴れて部は存続を果たされた。

 この男、できる。流石は我が見込んだ益荒男よッ‼



『むきぃぃぃぃぃ‼ おのれぇぇぇぇぇ‼ いちゃいちゃしやがってぇぇぇぇぇ‼ 見てなさい‼ 絶対、あんたたちを破滅に追いやってやるんだから‼』


 そんなハッピーエンドの中、唯一割を喰らった魔女の魂が、我の中でヒスっている。

 正直マジうるさい。いい加減、この女とも縁を切りたいものだ。

 そんなことを考えつつ、今日も我は本棚から、オカルト研究部の活動を眺めるのであった。



◆登場人物◆

・時田愛実 B99W56H100

 オカルト研究部部長。普段は快活で面倒見がいいが、追い詰められると迷走するタイプ。ツンデレでチョロインで重い女。

 ヒト〇ゲを選んで、2番目のジムで詰んでギャン泣きしたことがある。

 その後、ピカチュ〇がスタメン入り。

 龍幸曰く「高火力ばっかの技構成じゃなくて、補助とサブウェポンも入れてください」と言われるくらいには、火力でゴリ押すスタイル。


・芳野龍幸

 オカルト研究部副部長(元映研)

 不良たちのやらかしで大けがをして入院し一年留年、その間、廃部になりふてくされたところを天音に拾われ、彼女にホレる。で、今回晴れて願いが成就した。

 一応、愛実とは同い年だが、普段は敬語。

 ゼニガ〇派で600族中心のガチパ。ピンチになるとベトベ〇ンのだいばくはつが炸裂するぞ☆


・高屋敷澄玲 B92W61H92

 名前しか登場しない生徒会長。

 オカルト研究部を廃部しようとしたが、実績を上げたら撤回する程度には話が分かるお方。

 伝説パーティー(バグミュ〇・けつ〇ん込)で勝負を挑んだら、バグが感染し、彼氏にフラれた過去を持つ。

 オカルト研究部の作った自主制作映画を見て、失禁・嘔吐・失神して、またフラれた。

 もう泣きたい。




 面白いと思っていただければ、お手数ですが「いいね!」もしくは、下の☆☆☆☆☆から評価ポイントを入れて下されると幸いです。

 むしろ、両方やってください!



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― 新着の感想 ―
魔女の魂さん、妖狐の親戚いませんか? だらしない体型で陰陽師の元でブラック労働してる…
自らの創造者に対してはっきり物申し、そして与えられた使命・自らの存在意義を真っ向から否定して、初々しいカップルの成立を応援する 呪いの書さんの在り方、尊敬してしまうなと。
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