星が輝いた日①
視界一面の輝きが、淡く、鼓動のように脈打っていた。
星の瞬きにも似た無数の光が生まれては消え、空でもなく地でもない〝ここ〟を満たしている。
耳を澄ませば、かすかな鈴のような音が揺らめく。下にも上にも空間が続き、果て無く漂い続ける。
光よりもたらされるわずかな温もりが、確かにそこに在ることを感じさせる。
――だれか……
ふいに女性の声が空間に響き、溶けていく。
声は微かで、それでいて必死だった。
本来であれば凛とした声であろうそれは、
今は不安に押しつぶされそうなほど揺れていた。
――このままだと……
その幻想の海に、ぽつりと〝穢れ〟が生まれた。
墨を垂らしたような黒い染みが噴き出し、音もなく広がり、膨れ上がった。
星々の光を遮り、まるで何かを企むようにゆっくりと揺れていた。
光の粒がそれの中へと吸い込まれ、消えていく。まるで人々の祈りを喰らうかのように。
――させ…ないっ……
その女性が穢れに向けて手をかざそうとする。
しかしその動作はひどく緩慢だった。
痛みか、疲労か、あるいは、その両方に蝕まれているのか。
それでも必死に手を伸ばし、穢れを追い払う。
――この世界を……
そして穢れは消えていった。
穢れは消えたが、少しずつ、だが確かに空間を濁し始めていた。
空間に沈殿した濁りを払う余裕は無い。
そしてまた新しく穢れが空間に噴き出した。
――私と…共に……
この空間を侵す悪意にひとりで抗う事は、もう叶わない。
いつまでこの均衡を保てるかも分からない。
できることは時間を稼ぐことだけ。
それでもいつかは破綻することが分かってしまう。
ゆえにこの事態を感じ、見つけ、そして共に立ち向かってくれる存在を、ただ乞い願う。




