意味分かんないっ! ~パンツ見せてあげるガバッざんねんハーフ“パンツ”でした~の逆に――めちゃくちゃキレられるんですけど!~
謎の美少女解説者さん「定番の逆バージョンをお楽しみ下さいませ」
※本編には出て来ない人です。
「パンツ見せてあげるね」
放課後の教室で、女子に言われた。
目の前にいるこの子は、あなたの友人だ。黒髪を三つ編みにした彼女は、あなたと同じ黒いブレザーの制服を真面目に着こなしている。
教室には、女子が二人しかいない。つまりはあなたと、この友人だけだ。
二人っきりという、特別な状況。特別な時間。緊張の流れる時間。春の空は、だんだんと暗くなりつつある時刻。
あなたが期待して見ていたら、彼女は本当に黒いスカートをたくし上げて、下着を見せてくれた。
ハーフパンツがじゅうぶん収まるぐらい、丈が長めのスカート。その下にはいつもの青色ハーフパンツはなく、露出した太ももと下着が存在している。
白地に薄い茶色の水玉模様が入った下着で、上部には黒に近い茶色のリボンがついていた。
落ち着きのある色彩ではあるが、女子高生らしい、かわいらしいものでもあった。
しかし、あなたは大変激怒した。
「ふざけやがってッ!」
あなたが大声で怒鳴り、女子は困惑する。
どうしてこうなったのか?
あなたはハーフパンツが大好きだからだ。
時々この友人がやってくれる、パンツ見せてあげる~、ガバッ、ざんねんハーフパンツでした~を期待していたのだ。
物凄く、期待をしていたのだ。
冬が終わりを告げて春が到来すること以上に、心待ちにしていたのだ!
「――そこは定番の残念ハーフパンツでした、だろーがッ! あんた私のことをバカにしてんのかっ!」
あなたは華の女子高生だ。それなのに、あまりの絶望から、言葉遣いが非常に荒れてしまっている。
友人は自ら下着を見せて、最初こそ恥ずかしげな表情をしていた。けれども、あなたの高圧的な態度から、そんな感情は吹き飛んでしまったらしい。すでにスカートから手を離し、抗議の表情を浮かべている。
「たまにはいいじゃない! むしろ男子なら喜ぶところでしょ!」
「私は男子じゃない! 男子扱いするなッ!」
「ハーパン見ていつも喜んでるくせに!」
「だったらハーパン見せろよ!」
「今日ハーパン持ってきてない!」
「あー使えねえ使えねえなぁお前は!」
「なんで私めちゃくちゃ責められてるのっ?」
「当然だろ! ハーパンぐらい私のためにカバンの中に常備しておけよッ!」
あなたと友人はどうでもいいことで口論になっていた。
彼女は泣き顔だ。
「この変態っ! 馬鹿っ!」
「いつもたくし上げしてくれる聖女に言われたくねぇっ! ああ、そうだった! アンタは私にとって最高の聖女様なんだ! たくし上げだけは、すっごく良かったんだよ! でもハーパンじゃなくてガッカリだったんだーッ!」
あなたは両手を天井に鋭く突き出して叫んだ。
「なら自分のでも見てればいいでしょーっ!」
「自分の見て興奮したら変態じゃねーかよ!」
「変態でしょアナタ! それも極度の! ハーパンじゃなくてパンツだからキレるって、おかしいよ!」
「黙れッ!」
あなたは自分のハーフパンツを脱いだ。
青いそれを、彼女の前に差し出す。
「はけ」
「なんでっ?」
「今日ハーパンをはいてないから」
「言ってることは正しいけどおかしい! そんなにハーパン見たいのっ?」
「いいから、はけ」
あなたの脅迫に彼女は折れて、あなたのそれを着用し始める。
「意味分かんない……意味分かんない……」
つぶやきながら。
三つ編みをのせた背筋を曲げてハーフパンツを穿き次第、背を正して三つ編みを垂らす。
スカートを再び両手でたくし上げた。
「なんでこんなことしてるの私。意味分かんない……っ」
彼女は正直に声に出すものの、無事にあなたの願いは叶えられている。
素晴らしい眺めだと、あなたは思った。
あなたのハーフパンツと、それを着用した素材扱いの友人との、究極の共同事業。
あなたは感動し、床へと膝をつけて、思わず彼女の下半身に抱き着いてしまう。彼女渾身のハーフパンツたくし上げにより、あなたは元の清らかな性格を取り戻すことが出来たのだ。
「ごめんね、散々ひどいことを言って。でもハーパン見せてくれて、ありがとう……。私、これからも頑張れるっ!」
あなたは自分のハーフパンツに顔を埋める。
「意味分かんない……」
対する彼女は、恥ずかしそうな声を出していた。それでも彼女は聖女のように優しい。感触が気になるだろうに、あなたの顔面を拒否することなく、ずっと受け止めてくれていた。
ハーフパンツへの密着のお陰で、あなたの気分もずいぶんと晴れやかになった。彼女の拘束を解いて立ち上がると、彼女もスカートを戻した。
そろそろ、学校から帰ろうという流れになった。
「じゃあハーパンを返してもらおうか」
あなたが右手を出すと、彼女は両手でスカートの上からハーフパンツを押しつつ、考えている様子を見せた。
「……せっかくだし、途中まで穿いて行っていい?」
「キモっ!」
「意味分かんないっ! アナタにだけはそーいうこと言われたくないッ!」
彼女とあなたは仲良しだ。
(終わり)
春のチャレンジという企画のテーマが学校だったので、それっぽい青春物語を書きました。……いつも通りの変態的な内容ですみません。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。このような作品はたくさん用意しています。他の作品で気になるものがあったら、どうぞご自由にお読み下さい。