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八話

「盗賊だ!」


冒険者の叫び声に辺りが騒然とする。中には怯えだす人もいた。


「乗客の皆さんは馬車に移動してください。」


商会の責任者にそう言われ俺たちは馬車に移動した。俺たちが移動している間も、冒険者と商会の護衛が賊たちと戦っていた。


「(ほ~、みんな奮闘してるな。)」


俺は馬車の中から冒険者たちの戦いを見ていた。こんな状況なのに恐怖がわかない。おそらく固定スキルのおかげで恐怖と言った状態異常にならないのだろう。こういった状況では非常に便利だな。


「(今のところ、優勢かな。)」


少しずつ、冒険者たちが押し始めた。さすがに護衛依頼を受けるだけあって実力も確りとしている。


「(盗賊は劣勢なのに引かないか・・・なぜだ?)」


俺は疑問に思ったので探知スキルで辺りを確認した。


「(!!なるほど伏兵か。)」


探知スキルで複数の人の気配を確認した。しかも、直接この馬車を狙うつもりだ。


「(なるほど、俺たちを人質に取るつもりか。)」


俺は立ち上がり、馬車を出る。


「おい!どこへ行くんだ?」


乗客の1人が声をかけてきたので


「伏兵がいる。今こっちに向かってきてる。」


俺のその言葉に


「な!」


乗客が驚くが


「今からじゃ、冒険者たちは間に合わない。」


冒険者たちは、目の前の盗賊で手がいっぱいだ。なら俺が相手するしかない。俺は覚悟を決め刀を抜いた。


「(ふ~、初めての実践だが落ち着いているな。これも固定スキルのおかげか。)」


そんなことを考えていると、すでに盗賊たちが姿を現した。


「おいおい、お前一人でこの人数を相手できるのか?」


盗賊の1人がそんなことを言った。


「それはやってみないと分からないだろう?」


俺はチラリと冒険者たち護衛に目を向けた。冒険者たちは伏兵に気づくも、盗賊たちが邪魔して動けそうにない。


「(やっぱり、俺がやるしかないか。なら、初めから全力で行く!)」


俺は力強く地面を蹴った。


「な!」


先ほどの盗賊が声を上げるも


ザシュッッッ


一瞬で相手の懐に入り首を斬り飛ばす。そのまま俺は近くにいた盗賊に斬りかかる。剣術:10の効果が予想以上に大きいようで、盗賊を次々に斬り倒していく。


「(よし、このまま・・・)」


俺はこの調子で、盗賊を斬ろうとしたところ


「そこまでだ!」


馬車の方から声が聞こえた。


「(まさか、まだ盗賊がいた!?)」


俺は、馬車の方を見ると


「武器を捨てろ、さもないとこの女がどうなっても知らないぞ。」


予想外のことに馬車の乗客が女性を人質にしていた。


「(盗賊の仲間だったのか!)」


俺は鑑定スキルで確認すると、盗賊の仲間だった。


「(クッ、まさか、乗客に盗賊の仲間がいたなんて、これなら初めに全員鑑定しておけばよかった。)」


俺は、どうせ20日だけの付き合いだと思って、無関心になっていたことに今、後悔している。


「(正直、俺だけなら、難なく逃げ切れる自信があるが、こうなってしまったのは俺の責任だ。なら、責任は俺が取らないとな!)」


俺は魔法だけは使わないようにしていたが、こうなってしまっては仕方ない。


「(俺の油断が招いたことだ、今回は、勉強になったよ。)」


俺は、刀を捨てず、俺を縛ろうとした盗賊を斬り捨てた。


「な!お前、俺の声が聞こえてないのか、こうなったら!」


男は女性を斬ろうとしたが


「ホーリーチェーン!」


男の周りに光の鎖が現れ、男を拘束した。


「魔法だと!お前、魔力持ちだったのか!」


男が叫ぶが、俺は高速で男に近づき首を飛ばす。その後はホーリーランスを連発し、盗賊を一方的に殲滅する。もう魔法を隠す必要もないので、容赦なくぶっ放す。


「ひいい!何だ、ありゃ!」


どうやら俺の魔法をみて、冒険者たちが相手していた盗賊が逃げた。勿論、逃げ切れるわけもなく、全員お縄についてしまったのは言うまでもない。


「助かったよ。」


冒険者たち護衛が俺に言ってきた。


「いや、今回は運が良かっただけだ。」


俺はそっけなく答える。


「しかし、剣の腕だけでなく魔力持ちとは。良かったら仲間にならないか?」


冒険者の1人が勧誘してきた。それをきっかけに他の冒険者たちも俺を勧誘してきたが、俺は今のところ一人で活動することを伝え丁重に断った。まあ、中には諦めきれない人もいたが・・・


「大丈夫ですか?」


俺は人質に取られていた女性に声をかける。あの時、人質に取っていた盗賊の仲間を彼女の目の前で斬ったのだ。トラウマになっても仕方ない。


「だ、大丈夫です。助けていただいてありがとうございます。」


女性は怯えながらも俺にお礼を言ってきた。


「(まあ、仕方ないか・・・)」


俺はそう思い、テントに戻って、寝ることにした。


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