五話
「依頼達成です。お疲れ様でした。」
俺は、薬草採取の依頼し、受付に持って行った。
「それにしても、結構取りましたね。」
今回の薬草採取は通常依頼で、ずっと出ている依頼だ。高ランク冒険者なら、依頼の帰りに次いで感覚で採取するくらいで、内容も薬草10枚。報酬:銅貨3枚と安い依頼だ。新人はまず、こういった依頼を確実にこなしてランクを上げていく。今回、俺は薬草を30枚採取して帰ってきた。
「ああ、運が良かった。」
本当は鑑定ですぐに見分けられるため、そこまで時間はかからなかった。
「それでは報酬の銅貨9枚です。また、今回は依頼3回分とさせていただき、既定の2回以上の依頼達成を満たしました。よってレイさんは本日付けでEランク冒険者です。」
俺は、Fランクの冒険者証を渡しEランクの冒険者証を受け取った。
「Eランクからはモンスターの討伐が入ってきます。既定回数は5回の依頼達成で最低でも1回以上はモンスターの討伐依頼を受けてください。そして、最後には試験ではありませんが集団での依頼を受けてもらいます。これは、Dランクからは集団でも行動が入ってきますので、それに向けての訓練だと思ってください。よほどの問題児でなければ問題なく、この訓練は合格します。」
「(つまり、よほどの問題児は落ちることか・・・集団か・・・まあ、多分大丈夫だろう・・・)」
「わかった。ありがとう。」
俺はそう言って、ギルドを出た。
「薬草は通常依頼なのはポーションを作るために必要だと言っていたな・・・」
魔力持ちが少なく、中でも回復魔法を使える者が少ないこの世界では基本はポーションによる回復を行うことになる。そのため、常に薬草などが必要になってくるとの事。
「ギルドでもポーションが売ってあったけど、値段がバラバラだったな。」
ギルドに会ったポーションは安いのもで、銅貨5枚。高いもので銀貨3枚。ハイポーションに関しては金貨1枚から金貨5枚ときている。おそらく品質の問題だろう。
「俺もポーション作って売ろうかな・・・スキルポイント振れば簡単だが・・・」
冒険者よりポーション売った方が儲かりそうだ。薬草なら自分で取りに行けばいいし・・・
「そのために商会ギルドに登録するのもなぁ・・・」
ポーションを売るのであれば商会ギルド加入は必須。正直気が向かない・・・
「回復魔法で商売も出来そうだが、こっちはいろいろ問題になるだろう・・・」
ただでさえ、回復魔法を使える者が少ないのに問題にならないはずがない。
「普通に冒険者していくしかないか・・・」
俺は諦めて、このまま冒険者をしていこうと思った。今のところは・・・
「今日は、少し早いから、寄り道でもしようかな。」
昨日は、冒険者登録してすぐに宿に戻ってしまったため、町の観光をしていなかった。
「とは言っても、まずは俺の身体を取り返すことからだな。」
取りあえず当面の目標は俺の身体を取り返すことからだ。その後に、この世界を観光するのもいいかもしれない・・・
「そのためにはまず情報収集からだな、合わせて、この世界の脅威度を確りと確認する必要がある。」
自分の実力に見合わない依頼を受けて死んでしまうなんてことだけはあってはならない。そのためにも、この世界の生物の強さを確り把握するようもある。
「なら、まずは町を周って情報を集め、その後、冒険者ギルドでモンスターの情報をチェックする必要があるな。」
俺は今後の目的を確認し、先に情報を集めるために町の観光することにした。そして店が立ち並ぶ大通りに出たが・・・
「出ている店は多いけど、何だろう。活気に満ちているというより、少し暗い雰囲気が漂っているな・・・」
俺が最初に抱いたイメージがこんな感じだ。店は多く人も多い、だが、雰囲気が暗い感じがする。もしかして、この国ってあまりいい国じゃない?例えば貴族が腐っているとか・・・
「おじさん。ちょっといいかな?」
俺は近くで店を構えている人に声をかけた。
「いらっしゃい。何か買っていきますか?」
俺はそう言われ
「じゃあ、この焼き鳥を2本買うよ。」
「毎度、銅貨6枚だ。」
銅貨6枚少し高い気がしたが
「少し高くない?」
「仕方ないだろう。今、この国は帝国と戦争していて物資が少ないんだ。」
「戦争?」
「何だ?知らないでこの町に来たのか?」
「ごめん、知らなかった、もう少し詳しく教えてくれない?」
俺は情報量として、銀貨1枚渡した。そして、おじさんが言うにはこの国、ローベル国とサウス帝国との戦争をしているとの事。サウス帝国はこの大陸で一番の領土をもつ国らしく、現皇帝が即位してから大陸統一を宣言。周辺諸国に宣戦布告をしたのが5年前との事。
そして、勿論だが、各国も黙っているわけがなく、小国同士で連合を組んだりして抵抗を続けていた。しかし、いくら連合を組んでいても大国を相手に分が悪く少しずつ押されかけているとの事。
「で、ローベル国も連合に加盟しているが、少しずつ押されているってことさ。」
「なるほどね。」
「あとは、アイリス王女がお亡くなりになったってことかな。」
「え?」
俺はアイリスが死んだことに驚いた。