十四話
「はあ~」
ついにこの日がやってきてしまった。
「主様。ここまで来てしまったら覚悟を決めるべきではないでしょうか?」
ドレス姿のアリサがそう言ってきた。
「それは、そうだが・・・・」
「ご主人様。頑張ってください。」
エイもそう言ってくる。
今の俺は、エイやアリサと同じドレスを着ている。正直、来たくないが、女が男物を着るのはおかしいと言われ、仕方なく着ることにしたが、何というか複雑な気分だ・・・
「さあ、主様。我々も入りますよ。」
アリサに手を引かれパーティー会場に入った。
「おお、これは・・・」
正直、見事なものだった・・・そして、たくさんの料理が並んでいる。
「主様。先に国王陛下の話があります。それを聞いてから食事にしましょう。」
アリサに言われ、しばらく待っていると・・・
「皆の者よく集まってくれた。」
会場の奥から王様らしき人が入ってきた。それからは王様の話を長々と聞いた。
その後、話が終わり俺たちは食事をすることにした。
「お偉いさん方は、あいさつ回りと忙しいそうだな。」
「仕方ありません。貴族同士のつながりは大切ですから。」
そう言うアリサ。
「あの、少しよろしいですか?」
「ん?」
声がした方を向くとそこには成人して間もない女性が立っていた。
「(誰?)」
俺は疑問に思っていると
「私は、レイア=トリシアンと言います。この度はレイモンドが皆様にご迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした。」
そう言い、頭を下げる。
「(レイモンド?ああ、あいつか・・・)」
「おやめください。貴族様が頭を下げるなんて・・・」
アリサが慌ててそう言った。
「しかし・・・」
「レイア様。別に我々は気にしていませんので、大丈夫です。」
俺がレイアにそう言った。
「それよりも、パーティーを楽しみましょう。」
俺はそう言った。
「ああ、こちらにいらしたんですね。」
声のする方を向くとレイチェルを連れてブラッドがやってきた。
「皆さんお美しいですね。」
ブラッドがそう言った。
「ありがとうごさいます。」
俺の代わりにレイアがそう言った。
「(中身が男の俺からすれば気持ち悪いだけなんだがな~)」
俺は複雑な気分になる。
「ブラッド様にも、ご迷惑をおかけしました。」
「ん?ああ、レイモンドの事か、気にしなくてもいいよ。」
そう言ってブラッドが片手を上げた。
「レイア様。彼の事よりも今はこのパーティーを楽しみましょう。」
そうブラッドが言う。その後、俺たちは雑談をした。
「さて、そろそろ、僕たちは行くよ。他の方々にも挨拶をしないといけないから。」
そう言ってブラッドたちは去って行った。
「では、私も。」
レイアもこの場を去った。
「さて、俺たちはどうするか・・・」
「そうですね。私たちは冒険者ですし、そろそろこの場を去ってもいいかもしれませんね。」
アリサがそう言った。
「そうなのか?なら、去ろう。」
俺はそう言った。
「ん?」
俺が帰ろうと思うと、一か所だけ女性が集まっている場所があった。
「何だ?」
俺が疑問に思っていると
「勇者ですね。」
後ろからレイチェルが声をかけてきた。
「勇者?」
「はい。どうやら他国で異世界人を召喚したようですね。」
「へ~(まあ、俺の様なパターンがあるから別に召喚があってもおかしくないか。)」
「しかし、勇者ね~」
「どうかしましたか?」
レイチェルが聞いてきた。
「いや、異世界から召喚したから勇者ってのは・・・」
「ああ、それは昔、異世界人が、世界の危機を救ってくれたことがあったようで。異世界人を勇者と呼んでいるようです。」
「そうなのか・・・」
どうやら異世界人=勇者らしい。
「でも、確か召喚された人は二人いたんですが・・・」
レイチェルがそう言った。
「二人?」
「ええ、もう一人は最初こそいい人だったようですが急に変貌したように周りの女性に危害を加えるようになったとか・・・それで最後には国外追放になったらしいです。」
レイチェルがそう言った。
「ふ~ん。」
俺は一瞬、勇者と言われる男が見えたので鑑定を使った。
「(へぇ~、面白いスキルを持っているな。)」
俺はそう思ったが、それ以上は興味が無かったので男から目を離す。
「ちなみに、その話は事実なのか?」
「え?いえ、あくまでも噂ですね。ただ、勇者の周りの女性が皆、口をそろえて言われるので・・・」
「そうですか・・・」
俺はそれ以上何も言わず、レイチェルに挨拶をして会場を後にした。




