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六話

「そこまでだ!」


俺たちの間にブラッドが入ってきた。


「ブラッド殿!」


お偉いさんがそう言った。


「貴殿はレイモンド殿であったな。確かトリシアンの領主に仕えている・・・」


「はは。その通りです。」


レイモンドが頭を下げる。


「(あのお偉いさん。レイモンドって言うのか?初めて知ったわ!)」


ちなみにトリシアンは俺が今、冒険者をやっている町の名前だ。


「それで、これは一体どういう状況だ?」


ブラッドの問いに


「その者たちが私の勧誘を蹴り、あまつさえ剣を向けてこようとしたため、応戦しようとしたところです。」


「ふむふむ。レイ殿はどうなのだ?」


「ブラッド殿!どうしてそのような者の話を聞こうとしているのですか?」


「私は双方の意見を聞いて、判断しようとしているまでだ。」


ブラッドはそう言って俺の方を向く。


「レイモンド殿が必要以上に勧誘をしてき、それを断った事によって相手が剣を抜こうとしたため、こちらも応戦せざるえない状況になってしまいました。」


俺はブラッドにそう言った。


「貴様!何を出鱈目な!」


レイモンドは俺を指さし大声を上げた。


「ブラッド殿!このような者の言葉など聞く必要はありません。」


「レイモンド殿。少し静かにしていただけるかな?」


そう言ってブラッドがレイモンドを威圧する。


「確かレイモンド殿は以前から冒険者たちに必要以上の勧誘を持ちかけていると報告が上がっていたな。冒険者の必要以上の勧誘は禁止されているはずだが?」


「ブラッド殿!私はただ良かれと思い彼らを勧誘しているにしかすぎません。」


レイモンドはそう言うも


「しかし、報告では必要以上に・・・いや半ば権力を使って無理やり従わせようとしていると報告が上がってきているが。」


「その様なことはありません。」


「そうか、ではこれから私は貴殿が勧誘した者たちに話を聞いてくるとしよう。」


「そ、それは・・・」


ここでレイモンドが動揺し始めた。まあ、立場的にブラッドが上なのだから、無理やり勧誘された者たちも正直に話すだろう。


「ああ、脅している場合なども考慮して、真実の水晶も持参するとしよう。」


ブラッドがそう言った。

「(真実の水晶?)」


「(主様。真実の水晶は嘘を見抜くことが出来る魔道具です。)」


分かっていない俺にアリサがこっそりと教えてくれた。


「し、しかし、ブラッド殿。何もそこまでしなくても・・・」


レイモンドの問いに


「そうか?私は必要だと思うけれどな。」


すました顔でブラッドはそう言った。その後、レイモンドを連れて去って行った。去り際に「あとで話がある。」とブラッドにそう言われた。


「(話か?何だろうな・・・)」


俺は気になったがとりあえず、二人に振り向いた。


「すまなかった。もう少しで二人に迷惑をかけるところだった。」


俺は二人に頭を下げた。


「主様。どうか頭を上げてください。」


「そうです。私たちは奴隷なんですから。」


二人にそう言われた。


「それに、主様が謝る必要はありません。正直、私があの男を斬ろうかと思っていました。」


「ご主人様に剣を向けようとしたのですから当然だと思います。」


どうやら二人とも俺より早くレイモンドを斬ると考えていたようだ。


「そうなのか?でも、もしレイモンドを斬っていたら・・・」


「そのときは、そのときです。」


「私たちはずっとご主人様についていきます。」


「二人とも・・・ありがとう。」


どうやら、要らない心配だったようだ。


「(二人とも信頼してくれているんだな・・・)」


俺は思わずそう思った。


「(俺が本当に二人を信頼できるようになったら、奴隷から解放しよう。)」


今はまだ、二人を完全に信頼できないが、いつの日か信頼できる日が来るかもしれないとそう思った。その後、俺たちは空いた時間を使い、アリサに訓練をしてもらい、時間を見計らってブラッドの元を訪ねるのであった。



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