二話
「はあ・・・」
「ご主人様。大丈夫ですか?」
心配そうにエイが聞いてきた。
「ああ、大丈夫だ。」
俺はそう答えた。アリサに関しては、特に疲れた様子は見られない。
「しかし、アリサはすごいな。」
俺はそう思った。
数時間前
「そこの者。」
例のお偉いさんが声をかけてきた。
「何ですか?」
「言葉遣いがなっていないな・・・まあ、今回は不問にしよう。」
「・・・」
一体何なのだ?
「単刀直入に言う。我々の配下になれ。お前とエルフの奴隷は魔法が使えるのだろう。特別にそこのハーフエルフも配下になることを認めよう。」
いきなり訳の分からなことを言ってきた。
「二人とも行こうか。」
俺はお偉いさんの話を無視した。
「私の話を無視するとは無礼な奴らだな!」
お偉いさんが怒り出したので仕方なく。
「興味が無いからです。」
はっきりと言ってやった。
「な!何だと!私が自ら勧誘してやっているのに!」
どうやら、このお偉いさんはダメな人らしい。
「(はあ・・・)」
俺はどうしようかと考えた。勿論、このお偉いさんは鑑定結果。大したことない人なので、このような態度を取っている。
「うちのメンバーを勝手に勧誘するのはやめてもらおうか。」
振り返るとそこにはトールが立っていた。
「また貴様か!トール!」
「それはこちらのセリフだ。勝手にうちのメンバーを勧誘するな。」
「うるさい。この私に指図するのか!」
トールとお偉いさんがいがみ合っていたので、俺たちはそのまま立ち去ることにした。そして今に至る。
「はぁ・・・」
どうやら、あのお偉いさんは魔力持ちを積極的に勧誘(強制)しているようだ。まあ、今のところ誰も頷いていないようだが・・・
「しかし、なぜあそこまで、しつこいんだろうな・・・」
「魔力持ち自体、少ないですからね。一人でも多ければそれだけ戦力アップになるからでは?」
アリサがそう言ったが
「別に冒険者として参加しているのだから、いいのでは?」
「主様。あのとこが冒険者嫌いなのをお忘れですか?」
「ああ、そうだったな・・・」
冒険者でなく自分の兵にしてしまいたいと。そう言う事か・・・
「随分と大きい溜息だな。」
「トールか?」
俺は知った声の方を向いてそう言った。
「ああ、俺だ。それよりも大丈夫か?かなり参っているようだが・・・」
「まあ、ああいう人間は苦手でね。」
「ああ、分からなくはない。」
俺の言葉にトールも頷く。
「そもそも、どうしてあれほど偉そうなんだ?あんな態度じゃあ、主の人間性を疑うぞ。」
俺はそうトールに言うと
「ああ、それは実際にあいつが一番偉い事になっているからな。」
トールの話によると、今の領主は成人したばかりの女性だそうだ。先代は彼女が幼い時になくなり、彼女が成人するまで、あの男が仕切っていたらしく、そのせいで今もかなりの権限を持っているようだ。
「始めはもっと、まともだったんだが、権力を手にした事で人が変わってしまった。」
そうトールが言う。確かに権力を持つと人は変わると言うが、あの男がいい例のようだ。
「まあ、あいつにはかかわあらない方がいいぞ。」
トールはそれだけ言って去って行った。その後は、特に何事もなく、他の領地の兵と合流を果たすことが出来た。
「結構な数になってきたな。」
俺は、集まった人数に対してそう思った。
「そうですね。これから本格的な戦争がはじまります。気を引き締めていきましょう。」
アリサがそう言ったので俺たちは頷いた。戦争の経験があるのはアリサだけだ。こういったときはすごく頼りになると俺は思ったのである。
「(ここからが本当の戦いだ。油断すればそれは死を意味する。全員で生きて帰る。)」
俺はそうひそかに決意した。




