一話
「人がいっぱいです。」
エイがそう言った。
「そうだな。これから戦場に向けて出発するからな。」
俺たちの目の前に冒険者、募って集まった義勇兵。最後に領主兵が集まっていた。
「知り合いの人もたくさんいますね。」
「そうだな。」
アリサの声にそう答えた。とはいってもほとんどが冒険者仲間であって、義勇兵に関してはちらほら知ってる人がいるくらいだ。領主兵に関してはほぼ知らない。
「(とはいっても、これから向かう戦場ではこの数が多いのか少ないのか・・・いや、おそらく少ないだろうな・・・)」
実際に人数を数えたわけではないが、500人くらいか・・・
「(今回は、後方支援という事だから、おそらく他の軍と共同になるのだろう。)」
トールの話では援軍という形で兵を出すと言っていたからな。
「(まあ、考えても仕方ない事か・・・)」
俺はこれ以上の事を考えることをやめ、時間が来るのを待っていた。
「皆の者。良く集まってくれた。」
そう言ったのは、おそらく領主兵のお偉いさんだろう。
「我々は、これより盟友であるローベル国の要請により、兵を出す。」
そう、お偉いさんが言った。彼の説明によるとエピロ共和国からは他に3つの街、都市から兵を出すそうだ。最終的には3000前後になるとの事。
「(思ったより人数が多いようだな。)」
俺はそう思った。
「では説明は以上である。出発まで、まだ時間がある。それまで各々準備を怠らぬよう。」
それだけ言って、お偉いさんは去って行った。
「・・・なんだよ。あの態度。」
「本当ね。私たちを見下したみたいに。」
確かに、彼が説明しているときは俺たちの事を見下したように言っていたな。俺はそう思っていると
「主様。あの者はおそらく、冒険者を嫌っている分類でしょう。」
アリサがそう言った。
「嫌っている?」
「ええ。冒険者はお金で働く薄汚い者と言った感じで見下す者がいます。実際、私の所属していた騎士団にもそう言った考えの者がいました。」
「(まあ、ラノベでよくある話か。)・・・そうか。」
俺はそれだけ言った。別に、あのお偉いさんにどう思われよと俺には関係ないな。
「よお、お前たちも来ていたか?」
「トール?」
俺はギルマスが来ていたことに驚いた。
「ん?初めて見る顔だな。」
「あ~、俺だ。レイだ。」
「んん?お前がレイ?ああ、やっぱりお前、女だったのか?」
「・・・」
まあ、性別は言ってないから分からなかったかもしれないが。気づいていた?俺はアリサたちの方を見ると、二人とも目をそらした。
「まあ、いろいろあったんだ。」
取りあえずそう言っておこう。
「そうか。」
トールもこれ以上は何も言ってこなかった。その後、他の冒険者にも「ああ、やっぱり」って顔をされてしまったが、深く追求してくる者はいなかった。そこまで分かりやすかったか・・・
「今回は、冒険者と義勇兵の指示は俺がすることになった。」
「そうなのか?」
トールの話によれば、領主兵は先ほどの、お偉いさんがするようで、その他の指示をギルマスである、トールに任せるとの事だ。
「まあ、そう言う事だから。よろしく頼むわ。」
そうトールが言う。
「俺たち冒険者はいいとして、義勇兵は大乗なのか?」
俺の問いに
「ああ、問題ない。義勇兵には俺の知り合いもたくさんいるからな。」
そうトールが言った。
「そんなことより、領主兵の・・・え~、なんて言ったかな・・・」
トールが頭を掻いてそう言った。
「お偉いさん?」
「ああ、それでいい。」
俺の適当な答えにトールがそう言った。
「お偉いさんが、魔法使いを領主兵に加えるって勝手に言いだしてな。また回復魔法を使える者は強制らしい。」
トールがそんなことを言い出した。
「・・・嫌だけど。」
「ああ、お前もそう言うと思ったから、俺の方で断っておいたぞ。」
「トールさん。よろしいのでしょうか?」
アリサがそう言った。
「ああ、構わん。あのバカにうちの者を渡すつもりはない。」
どうやら、トールとあのお偉いさんとは仲がよくないようだ。
「まあ、そう言う事だから。よほどの事がない限り、あいつの指示に従う事はない。」
トールがそう言って締めくくり、俺たちは頷いた。




