九話
俺たちは受付に言われ、今、ギルドマスターの部屋にやってきた。
「よく来てくれた。そこにかけてくれ。」
ギルドマスターに言われ俺は席に着く。アリサとエイは立ったままだったので、二人にも座るよう俺が言った。
「まず、自己紹介をしよう。俺は、トールだ。元Aランクの冒険者だ。」
トールと名乗った男がそう言う。
「トール!まさかあの雷帝の!」
アリサが驚いたよう言う。
「ほ~、さすがエルフ。とはいっても昔の話だ。」
トールがそう言った。
「それで、話とは?」
まあ、雷帝って言われているのであれば、かなり強いのだろうが・・・正直、今はどうでもいい。
「ふむ、実は・・・」
トールが言うには、現在、帝国と戦争をしているローベル国に援軍としてエピロ共和国から兵を出すことになった。そこで、この町の領主は私兵300人をだすらしい。合わせて冒険者からも戦争に参加してくれそうな人材を募集しているとの事。
「なるほど、話は分かったけど、なぜ俺に?」
俺はトールに言った。
「領主様から、魔力持ちがいるなら参加させて欲しいと依頼があってな。」
魔力持ちがいるか、いないかでは戦争では大きく差が出る。
「(魔法があるか無いかでは威力に差が出るからな。)」
俺はそう思っていると
「それでどうだ?報酬は弾むつもりだが?」
「一応、俺はDランクだ。戦争にランク規制は無いのか?」
「一応、ランク規制は設けている。ルーキーを戦場に出すわけにはいかないからな。一応、Dランク以上は戦争に参加可能だ。という事でお前は条件クリアとなっている。」
ちなみにアリサとエイは奴隷のため、ランクによる規制は対象にならないようだ。まあ、主人が戦場に行くのに、奴隷が行かないってのは、おかしいか・・・
「ローベル国には英雄がいるはずだが?」
「良く知っているな。確かに英雄と呼ばれる人物はいる。だが、たった一人ですべてを覆すことはできない。」
「たしかに・・・」
俺も、トールの言葉に納得した。
「それと、今回は領主の私兵と一緒に行動することになる。現在、冒険者で参加するのは50人くらいだからな。」
つまり、合計で350人くらいか。多いのか少ないのかよくわからないが、この町の規模からすれば冒険者の参加者は多いかもしれない。確か、ぱっと見た感じでは200人くらいはいたと思う。
「ちなみに、今回はお前が言っていた英雄の部隊の後衛を担当することになっている。」
トールからそう言われた。
「断る!」
俺はそう言った。
「ん?何か癪に障ることをいったか?」
「すまないが、俺は英雄が嫌いなんだ。あいつと一緒なんて死んでも嫌だ。」
俺はそう言って、部屋を出た。
「主様?」
俺を追いかけてきたアリサが言った。
「すまん。少し感情的だったな。」
今になって、そう思った。
「いえ、主様の気持ちは理解しているつもりです。」
アリサがそう言い、エイが頷く。
「アリサたちはどうしたいんだ?」
俺は何を思ったのか、二人にそう聞いてしまった。
「私は戦争の事はよくわかりませんが、例え戦場でも、ご主人様がいるところが私の居場所です。」
エイはそう言った。
「・・・私は、正直わかりません。」
アリサは迷いながら言った。
「元ユグドラシル国、第一騎士団団長だったかな?」
「主様はご存じだったのですか?」
「ああ、初めに言ったと思うが俺は鑑定持ちだからな。」
「・・・そうでしたね。」
アリサが納得する。
「迷っているのは、俺たちに対してか?」
「・・・はい。」
アリサが頷く。
「そうか。なら命令だ。本音を話せ。」
俺はアリサに命令する。
「わかりました。」
命令されたため、奴隷のアリサには拒否は出来ない様で正直に話し出した。
「私は、皆の敵を討ちたいです。」
アリサがそう訴えてきた。
「敵討ちか。」
「はい、私の国はすでにありません。帝国に滅ぼされてしまいました。それも、ただ滅ぼすだけでは飽き足らず、国民を奴隷にしたり、女子は男の遊び道具にされたり。無抵抗な国民を帝国の兵士は笑いながら、殺していきました。」
アリサからは憎しみの感情が感じられた。
「そうか・・・」
俺はなんていえばいいのか分からなかった。初めて会った時のアリサは酷い状態だった。先ほどの話で、アリサが帝国との戦いでどうなったのか何となくわかった。
「すみません。感情的になってしまいました。」
俺はアリサの事を考えていたら、アリサから謝罪の言葉を言われた。
「いや、謝ることはない。聞いたのは俺だからな。」
その後、俺たちは無言のまま、宿に戻った。
「(アリサの事だ。本当は行きたいが、俺たちの事を考えれば、簡単に行動することはできないだろう。)」
俺はアリサを開放しようかと考えていたが
「もし、先ほどの話で私を開放しよとお考えなら、やめてもらえないでしょうか。」
「アリサ?」
「私は主様に忠誠を誓いました。私情で主様にご迷惑をかけたくありません。」
アリサからそう言われてしまった。
「そうか。」
気が付くとすでに日が暮れて夜になっていた。
「二人は下で夕食を取ってくると言い。俺は少し外で風に当たってくるよ。」
俺は二人にそれだけ言って部屋を出て行った。




