八話
俺たちがエピロ共和国に来て、一カ月が過ぎようとしていた。
「エピロ共和国に来て、もうじき一カ月か。意外と早かったな。」
俺たちは、今も冒険者として活動している。依頼などはDランクでも受けられる簡単な依頼を主に受け、空いた時間を使い、訓練や、趣味など自由時間に使って日々、毎日を過ごしていた。
「王国にいたときより強くはなった自覚はあるが、それでもまだ、足りない・・・」
今の俺はおそらく、あの時、戦った、騎士団長くらいだろう。アリサとエイを加えれば、おそらく、アイリスの護衛くらいなら何とかなるが、アイリス本人には勝てる気がしない。
「(アイリスに勝つには、俺も同じくらいに強くならないといけない、だが・・・)」
元の身体は正直チートクラスの力が付与されているため、今のアイリスの身体じゃあ、どう頑張っても不可能だ。
「(いっそう、俺と同じ異世界人を探して協力してもらおうか・・・)」
俺はそう思ったが
「(仮に協力してくれたとしても、アイリスの言い方では一度限りの固有スキルの可能性がある、もしそうなら・・・)」
もしそうなら俺は、一生、この身体のままだ。
「(・・・やめよう。今はまず、強くなることを第一に考えるとしよう。)」
俺はそう思い、考えを中断した。
「主様。本日はどういたしましょう。」
アリサが聞いてきた。
「そうだな。いつも通り、冒険者ギルドで依頼を受けようと思う。」
「わかりました。」
アリサがそう言った。俺は二人を連れ冒険者ギルドに向かう。
「アリサさん。おはようございます。」
何人かの冒険者はアリサに挨拶をする。
「(そう言えば、アリサは自由時間にはよく冒険者ギルドの訓練所を借りていたな。)」
俺やエイもよく訓練所をよく利用していたが、アリサは俺たちの訓練だけでなく、他の冒険者たちの訓練もしているところを見たことがある。勿論、俺はそれを止める気はないし、ギルド側も特に何かをいう事もない。あくまでアリサがやりたくてやっている様な感じだ。とはいっても、無理やりとかでなく、あくまでも希望者のみ無料で教えているようだ。
「(まあ、剣術9だしな。戦闘経験も豊富だし、分からなくはない。)」
この国では特に奴隷だからと言った考えは無いようだな。まあ、無料で強くなるのなら、それに越したことはないか・・・
「アリサさん人気ですね。」
「そうだな。」
エイが俺にそう言ってきたので、俺はそう答えた。中にはアリサをパーティに加えたいと言ってきた冒険者もいたし、奴隷から解放はしないのかと聞かれた時もある。奴隷から解放したら自分たちのパーティに入れたいだけだろうと俺はそう思った。しかし
「私は今のままで満足です。奴隷から解放を望んでいませんし、主様から離れるつもりもありません。」
はっきりと冒険者たちに言った。それからは、勧誘の話は無くなった。
「(本当に二人は忠誠心が高いな。)」
俺は以前、二人に奴隷開放の話をした。まあ、冒険者が必要以上にうるさかったのもあるが・・・
「私は、主様のおかげで今、生きています。主様と会わなければ今の私はありません。私の身体、この命は主様の物です。この命、尽きるまでお供いたします。なので、奴隷解放は必要ありません。」
「私も、アリサさんと同じです。」
アリサとエイにそう言われたしまった。
「(はあ、俺としては裏切らない仲間として二人を買ったのだが、今になって罪悪感が。)」
これからは確りと二人と向き合っていこう。俺はそう思った。
「ご主人様?」
「ん?ああ、少し考え事をしていた。」
エイが不思議そうにこちらを見ていたので、俺はついそう言ってしまった。その後、俺たちは何かいい依頼が無いか確認するのだった。
「今日はこれにするか。」
俺は受付に依頼をもって行くと
「レイ様。少しお時間をいただけないでしょうか?」
受付にそう言われてしまった。あまりいい予感がしない・・・
「拒否は可能か?」
「可能ですが、出来れば話だけでも聞いていただきたいです。」
ずっと拒否ばかりだと評価にかかわるか・・・まあ、正直、評価などどうでもいいが。
「・・・わかった。話だけなら。」
俺はそう言った。




