十一章
あれからどれだけ経っただろう
「はぁぁぁぁぁ!」
俺は、剣だけでなく体術を用いた戦いをしていた。しかし、いまだに決定打には届いていない。俺は距離を取った
「(スキルだけでは俺が上だが、やはり・・・)」
「ふむ、惜しいな。スキルはおそらく俺より上だろうが・・・その表情は気づいているな。」
「・・・」
俺は無言になる。言われなくても分かっていた。それは経験だ。スキルはあくまでスキル。いかに良いスキルでも使いこなせなければ何も意味がない。そう、俺はスキルを使いこなすためだけの経験が圧倒的に足りていない。
「(まあ、わかっていたが、ここまでとはな・・・)」
俺はそう思っていたところに
「どうする?降参するか。」
団長がそういってきたが
「は!そんな訳あるか。」
俺はそう言い返した。
「(とは、言ったものの、どうするか。)」
今の状態では勝てない。なら魔法を使うしかない。
「(ホーリーチェーンで動きを止めれば)」
ホーリーチェーンはオリジナル魔法。おそらく相手も知らない魔法であり相手の動きを止めることも出来る。そのためにも必要なのは・・・
「(出来るだけ相手と接近している状況から発動するのがベストだな。)」
俺はそう思い、もう一度、相手の懐に飛び込む。
「また同じ手か。俺には通じないと分かっているだろう。」
予想通り相手は俺の刀を受け止めた。
「(いまだ!)」
「ホーリーチェン!」
光の鎖が団長を襲う。
「なに!」
いきなりの事で団長は対処できずに拘束される。
「これでトドメだ!」
動きが止まった団長に向かって、俺は刀を振り抜こうとしたとき
「チッ」
横から魔法が飛んできたため俺は回避することにした。
「すまん。助かった。」
団長がそう言い
「なに、仕方ない。まさか魔力持ちだったとは。それも聖属性とは珍しい。」
ローブを着たおじいちゃんが団長に話をかける。
「・・・邪魔しやがって。」
俺はそう言った。
「邪魔をするさ。彼はこの国の騎士団長だからな。」
おじいちゃんがそう言ってきた。
「(騎士団長?)」
なるほど、確かに強い。だが・・・
「(元の身体なら全く問題ないレベルの強さだ。)」
強いが、ドラゴンを倒せるかというと、おそらく無理だろう。何か切り札でもない限り。
「何か不満そうだな。」
おじいちゃんが聞いてきたので
「確かに強いが、それでも人の域を超えていないと思ってな。」
俺は素直に答えたら
「おぬしの身体が異常なだけじゃ。」
そうはっきり言われた。
「(やはり、俺の身体は規格外だったか、まあ予想はしていた。)」
この世界に来るときに肉体を強化してもらったからな。まあそのせいで、こんな事になってしまったのだが。俺はそう思い
「(もし、強化していなかったら・・・いや、その話はよそう・・・)」
ここで、もしの話をしたところで意味はない。過去には戻れないのだから・・・それよりも
「まあ、正直お前たちに用はない。俺はアイリスに用があるんだ。」
俺は用があるのはアイリスであって、この二人ではない。俺はそう言って、ホーリーランスを展開する。
「お前、ここでそれを使うのか?」
騎士団長がそう言ってきたが、俺には関係ない事だ。俺がホーリーランスを放とうとしたとき
「さすがに、これは見逃せませんね。」
そう言ったのはアイリスであった。
「だったら・・・」
だったら何だ?と俺は言おうとしたところに
「ぐおッ」
アイリスから強力な腹パンを食らい、腹を抑え蹲った。
「(見えなかった!そんな、まさか俺の身体を使いこなしている?)」
動きを捕らえられなかったこともそうだが、明らかに手加減されている。本気の一撃なら俺はもう死んでいてもおかしくはない。つまりは力加減が出来るくらいに身体を使いこなしているってことだ。
「私に当たるのは構いません。罵倒も受け入れましょう。ですが、町に被害をだすというのであれば黙ってはいられません。」
アイリスは俺にそう言った。
「お、おま・・・」
俺はアイリスに言おうとしたが
「今回は初めてなので見逃しますが、次、同じことをした場合は、容赦はしません。」
そう俺に言ってきて
「帰りますよ。」
「「「はっ!」」」
三人は声をそろえた。
「恨んでいただいて構いません。」
最後に立ち去る前にアイリスがそれだけ言った。アリシアも何か言いたそうだったがそのまま無言で立ち去った。
「(くそ、くそ、くそ!ちくしょうーーーー!)」
俺は涙を流した。




