十話
「どういうことだ?」
俺は自分が大通りで手振っている姿に動揺する。
「(普通に考えれば、俺がアイリスになっていることを考えれば、あっちの中身がアイリスか・・・)」
始めこそ動揺したが、固定スキルのおかげですぐに冷静になれた。
「とりあえず様子見をするか・・・念のために」
俺はこのまま大通りに出るわけにはいかないと考え、しばらく様子を見ることにした。それと合わせて、相手の能力を鑑定することにしたが・・・
「(目が合った!まさかこの距離から分かった?)」
鑑定スキルを発動使用とした瞬間、相手が俺の方を見てきた。
「(不味いな。まさか気づかれるとは。)」
予想外のことが起こってしまったため、俺は急いでその場を離れることにした。意外なことに、どうやら相手は気が付いただけで、追いかけては来なかった。
「(ひとまずは安心かな・・・)」
追手は来なかったものの、このまま外にいるのは危険と考え俺は宿に戻り男装を解いて長袖長ズボンを履いてローブを身に着け刀を腰に差した。
「(おそらく、あちらは俺の事に気づいているはず、ならアイリスの姿の方がいいだろう。)」
俺はそう考えそのまま宿で待機することにした。
その夜
「(来た!)」
俺の探知スキルに反応があった。宿に戻る途中からずっと探知スキルを発動していた。
「(この宿を囲む感じで配置しているな・・・さてどうするか・・・)」
流石に無関係な人間を巻き込みたくない俺は、おとなしく宿を出ることにした。そして、宿から離れて人目のつかないところに移動したところで
「そろそろ出てきたらどうだ。」
俺の声に4人の人影が現れる。その中にはアリシアと俺の姿をしたアイリスがいた。
「お前は何者だ!」
アリシアが剣を抜いて俺に向けた。
「ほ~、俺たちの気配に気づいたのか。なかなか・・・」
騎士風の中年男が腕を組んでそう言った。
「昼間、お主を追っていなかったのはすでに、わしの魔法でマークしたからじゃよ。」
ローブをまとった、おじいちゃんがそう言って
「さて、昼間こちらを観察していたね。君は一体誰だい?」
俺の身体のアイリスが言う。
「・・・」
「だんまりかい。僕は忙しいのだけど・・・」
アイリスがそう言う。
「ジン様。このものは我々だけで十分です。貴方はお下がりください。」
アリシアがそう言った。
「・・・なるほど。今はジンと名乗っているのか。」
「今は?どこかでお会いしましたか?」
アイリスがそう言ってきた
「本当に分からないか?アイリス。」
俺がそう言った途端、四人全員の目が見開く。
「少し、声を落としただけで分からないか・・・」
俺はそう言ってフードを脱ぎ顔を出す。
「貴方は!」
アイリスが驚くが
「俺がここにいる理由・・・いちいち説明がいるか?」
俺はアイリスを睨みそう言った。アイリスは目を閉じ
「・・・いいえ、不要です。」
「なら、話は早い。俺の身体を返せ。」
俺はそう言ったが
「ごめんさない。それは無理です。」
アイリスがそう言った。
「な!ふざけるな!」
俺はアイリスにそう言ったが
「私の固有スキルは一度だけしか使えません。なので、二度と元に戻ることはできません。」
そうはっきりとアイリスに言われてしまった。俺は余りにも勝手な言葉に
「ふざけるなーー!!」
俺は刀を抜いた。
「それ以上は我々も黙ってみていられぬ。貴殿には悪いが、引いてもらおう。」
騎士風の男が剣を抜く。
「団長!」
アリシアがそう言った。
「心配するな。手加減はする。しかしアイリス様に剣を向けている気がしてあまりいい気分ではないな。」
団長と言われた男が剣を構える。
「なめるな!」
俺は高速で男の懐に潜り刀を振るも
「お!意外とはないな。」
あっさりと剣で防がれる。それと同時に冷静になった。今回は固定スキルの発動が少し遅かった。感情によっては差が出るのかもしれない。
「(固定スキルで冷静になったが、今のはあまりにも単純な動きだったか。)」
速度自体は早かったが、一直線に走っただけだった。団長と言われるだけあって実力は本物のはずだ。こんな単純な攻撃が通じることはない。
「(鑑定)」
俺は鑑定スキルで、相手の情報を確認した。
「(剣術:9!なるほど。道理で今のを、防げるはずだ。)」
俺は再度構えを取る。
「(まずは目の前の男を倒すことを考えなければ。)」
俺は目の前の男に集中し
「(卑怯だが、魔法と体術。持てるスキルをすべて使って倒す。)」
俺は、そう考え目の前の男に向かって走り出す。




