第八話 体育が甘すぎた
「はあ~」
「どした? いちご、ため息ついて」
ようちゃんがバーガーセットを持ってきながら苦笑している。
私は、どう言うべきか悩んで言葉に詰まる。
「どうせ、池木のことでしょ」
「ぐぬ!」
図星である。
ようちゃんには何でもお見通しなのだ。
ようちゃんは、ポテトを食べながらも話を真剣に聞いてくれている。
「だからね、今日、池木君のファンが増えたのではないかと」
「あー、まあ、池木の声かっこよかったよね。ゴールも決めたし」
「そうなの! でも、なんか、嫌なんだもん!」
「ふーん。それはどうして?」
うっ、ようちゃんが意地悪だ。
わかってる癖に、絶対分かってる癖に!
「…………」
「まあ、いいけどね。いちごの気持ちはわかるし」
「私の何がわかる!」
「自分がモタモタしてる間に、池木君が他にとられたらどうしよー」
「……正解」
ようちゃんはやっぱりすごい。全部当たっているのだ。
私が何も言わなくても、いつも私をわかってくれる。
こういう所が大好きで憧れているんだと思う。
それにしても、池木くんは、かっこよかったなぁ。
あのゴールを見てからずっと考えてしまう。
ああ! あんな台詞言わせなければ。
あんなかっこいいシーンみんなに見られずにすんだかもしれないのに!
でも、
「かっこよかったなあ……」
「そんなに好きなら告白しなよ」
「こっ……! むりむりむり!」
あんな流れで始まった関係だ。今更告白だなんて……。
でも、あの時の、初めて池木くんを意識した時の、声が忘れられない。
優しい声だった。
だから、私は池木くんのことをずっと……
でも、きっと池木くんは優しいから、わたしとのこの関係に付き合ってくれてる。
それだけなんだろうけど、それでは私的には駄目なのだ。
もっと、池木くんを夢中にさせたい。
「はあ。あんたくらいなら池木落とせると思うけど」
「告白する勇気がありません……」
「まあ、頑張りなさい。応援はしてるわ」
「ありがとう、ようちゃん!」
やっぱり、ようちゃんは頼りになるなあ。
私は、心の底から感謝した。
「じゃあ、作戦会議開始ね、アイディア下さい!」
「あんたのそういう所、ある意味尊敬するわ」
その日はようちゃんにデザートを対価に作戦考えてもらった。
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