第十三話 お弁当が甘すぎる
今日、僕は朝食を作ってもらわず朝食抜きで登校しました。
何故ならば、何故ならば、吹井田さんがおおおおおおお弁当を作ってきてくれるから!
もし仮に、お腹いっぱいで食べれないなんてことがあったら僕はヘルヘイム行きだ。
教室に入ると吹井田さんはまだ来てなかった。
吹井田さんがいつ来るのかそわそわしていたけど、結局吹井田さんは遅刻ギリギリでやってきた。もしかして、僕のお弁当の為に……?
いや、期待したっていいだろ!これくらい! 手に絆創膏とかはなかったけど!
綺麗な手に怪我がなくてよかった!
そして、昼休み。
流石に、人目につくのは怖いので、選定しておいた出来るだけ目立たない場所で待ち合わせた。
「池木くん……!」
鞄を抱えた吹井田さんが小走りでこちらに向かってくる。
「ごめんね。遅くなって」
「いえ、全然大丈夫です」
「良かったぁ。じゃあ、さっそく食べよう」
「はい(美声)」
吹井田さんは鞄からランチバッグを取り出して、その中からお弁当箱を取り出す。
そして、その蓋を開けるとそこには……
「じゃーん」
卵焼きに唐揚げ、アスパラベーコン巻きにミニハンバーグなど定番のおかずが入っている。
しかも、一つ一つ丁寧に作られているのがわかる。とてもおいしそうだ。
「じゃあ、召し上がれ」
「あ、あの! その前に今日の分ここでよろしいでしょうか?」
「へ?」
今日も僕は言って欲しい準備を用意してきた。
僕は吹井田さんに台詞を伝える。すると、吹井田さんはちょっと笑って、
「おっけー」
なんだかいつもより簡単にオッケーをくれた。
「じゃあ、言うね」
そう言って、吹井田さんは大きく深呼吸をする。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「池木君の為に、お弁当作ってきたよ」
まだしんじゃだめだ。
吹井田さんのお弁当を食べるまで死ねない。
最高か。
神様ありがとうございます。
前世で僕はどんな徳を積んだのか知りませんが、現世でも目についたゴミを拾うとかがんばりたいと思います。
「じゃ、じゃあ、改めて、いただきます!」
「ど、どうぞ!」
俺は吹井田さんの手作りの料理を口に運ぶ。
最初に手をつけたのは、卵焼き。いただきます。
「…………」
ふむ。これは。
「池木君?」
吹井田さんが心配そうな顔をする。
「あ、すみません。すごく美味しくて」
「ほんとう!?」
「はい」
本当に美味しかった。ウチの味付けとは違い、甘い。だが、うまい。
今まで食べたどの卵焼きよりも美味しい。きっと、一生忘れない味になるだろう。
だって、吹井田さんの卵焼きだぞ。
その卵焼きが美味しくないはずがあろうか、いや、ない(反語)
こんなの毎日食べられたら幸せすぎる。まあ、ないだろうけど。
「良かったぁ」
安心したように胸を撫で下ろす。
その吹井田さんを見て、気付いたことがある。
「あの……吹井田さん、吹井田さんのお弁当、は……?」
吹井田さんは慌てて自分のお弁当を取り出そうとするが、なかなか見つからないらしい。
吹井田さんは少し慌てた様子で辺りを見渡す。
もしかして、この場に無いということは……
「あ……あー! やっちゃった! 池木くんのお弁当持ってくるのに夢中で忘れてた!」
マジか!?
「あ、あの、じゃあ、これ、半分こします……?」
「で、でも!これ、池木くんの為に……」
「いやほら! でも、何も食べない人の前では流石に!」
「う、うん、じゃあ、ごめんね……じゃあ、わたしも卵焼きをお願いします」
そう言って、吹井田さんは目を閉じて口を空ける。
は?
は?
は?
その瞬間、僕は考えることをやめた。
頭は真っ白。ただ、吹井田さんの口の中に甘い卵焼きを放り込む。
それだけを考えた。
そして、吹井田さんの口に卵焼きが消える。
「うん!おいしい!」
「そ、それはよかったです」
僕はもう限界だった。って言うか、正気に戻った。普通に、お箸渡せばよかったじゃん!
いや、でも、そうすると、吹井田さんが恥ずかしい目に。
そんなことを考えてると、吹井田さんも気づいたようで、
「ご! ごめん!自分で食べればよかったね!」
「い、いえ!」
「あ、じゃ、じゃあ!」
そんな僕に、吹井田さんが追い打ちをかける。
「ははははい、あーん」
吹井田さんは自分の箸でからあげを掴むと僕の方に差し出す。
は?
僕は考えることをやめた。
頭は真っ白。ただ、吹井田さんにからあげを放り込んでもらう。
それだけを考えた。
おいしかった。からあげはそれはそれはおいしかった。
「ああああの、こっちだけあーんしてもらったら不平等だから」
不平等とは? 平等ばんざい!
そうして、ようやくイーブン?になった僕達はお弁当を半分こして食べた。
「本当に美味しかった。もう毎日食べたいくらい」
「あ……」
吹井田さんがそう声を漏らすと固まっていた。
「え?」
「あ、いや、その今日お願いしようと思ってた台詞が『本当に美味しかったよ。毎日食べたいくらい』だったから」
「あ、ご、ごめん! ちゃんと言い直すね!」
「いや! 大丈夫!」
「え?」
吹井田さんは真っ赤な顔でこっちを見ている。
「あの、リアルだったから。も、十分です」
「そ、そっか」
まあ、マジでしたから。
そうして、顔を真っ赤にした二人のお弁当はこうして終わった。
そして、授業が終わってすぐ購買部で売れ残りのパンを二人とも買いに来てて笑った。
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