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第十二話 図書室が甘すぎた

「どうしよどうしよどうしよおぉおおおお!」

「いや、それもう十何回と聞いたから」


 わたしの必死な声をお母さんはスルーする。

 わたしは池木君に食べてもらうお弁当の具材を決めにスーパーにやってきた。

 最初は自分で考えようとしていたけど、どうしても決められなくてお母さんに来てもらった。

 お母さんは料理がとても上手なので、きっと良いアドバイスをくれるはず。


 お母さんはわたしの恋愛事情を知っているので、じっと野菜とにらめっこするわたしをニヤニヤしている。


「うう……池木くんは優しいから何でも美味しいって言ってくれると思うし……でも、せっかくなら、本気の声で喜んでほしいし……うう……」

「もう告白すればいいのに」

「こ、告白なんてできないよ!絶対無理だよ!だって池木くんは私の事なんか好きじゃないもん! だって、あんな台詞言うのも演技だし! 私の為の演技で言ってくれただけで……演技で……」


『ばーか、お前の事しか見えてねえよ』


 今日も大変かっこよかった!


 図書室最高だった!


 静かだから声が凄く良く聞こえた。

 わたしの心臓のどきどきが聞こえてないかがとても心配だけど。


「それにさあ、いちご? 今日はその池木くん、が、言って欲しい台詞を先に提案してきたんでしょ? 結構ノリノリじゃない」


 そうなのだ。今日は池木くんから台詞を提案してくれた。

 今までわたしが先に言って池木くんがそのあとリクエストって形だったのに、今日は池木くんから提案してくれた。


 これは人類にとってはたらぬ一歩でも、吹井田いちごにとっては偉大な一歩ではなかろうか。いちご・アームストロング。


「でも、声だけで求められてるという可能性も……」


 わたしは声は良いと思う。お母さんがすごいいい声で、遺伝だと思う。ありがとうお母さん。


「だったら、ソイツぶっとばすわ。いちごはかわいいわよ。お母さんに似て」


 この自信満々なところは似なかった。ネガティブなのはお父さん似だ。

 でも、最近のわたしはすごい頑張ってると思う。


 図書室で本を取り合うやつとかやってみたりした。

 すごいどきどきした。


 池木くんの顔は赤かった。多分、わたしの顔も赤かった。いちご・アームストロング。


 それに池木くんのお勧めの本も借りた。早く話のネタにするために読まなくちゃ。

 そして、池木くんにヒロインの台詞とか言ってあげるんだ。喜ぶかなあ。


 は!? でも、ヒロインとイメージ違うから言ってほしくなかったとか言われたらどうしよう!? ひ、ひとまず、読んで感想の言い合いっことかにしておこう。そうしよう。

 漫画の感想も聞きたい。

 池木くん、夢中になって読んでた。本借りて戻ってきたわたしに気付かないくらい。

 いや、いーんですよ。おすすめしたし、気に入ってくれてるのは、でも、わたしがかえってきたのに気づかないのはちょっと傷ついた。


 まあ、お陰様ですごく感情が乗って言えたけど。


『もっと、わたしも、見てよ』


 ほんとうに見て欲しい。すっごくうれしいし、はずかしいし、てれてるし、しあわせであることに、池木くんが好きだって思ってることに気付いてほしい。


 そして、いつか、


『ばーか、お前の事しか見えてねえよ』


 って、心から言って欲しい。

 かっこよかった……。

 もう一回おねだりするくらいかっこよかった。


 その後、池木くんがごにょごにょし始めて焦った。

 ヤバい、攻めすぎたと思った。

 好きな子とかいたら迷惑かなと思ったり、でも、言ってほしかったりがぐちゃぐちゃした。


 でも、池木くんは言ってくれた。私も思わず、


『わたしも、君のことしか見えてないよ』


 って、言っちゃった! 漫画の再現しちゃってた!

 ああ、あの動画欲しい! 撮っておけばよかった!


 帰り道は無言だったけど、途中で気付いた。これ一緒に帰ってるって。

 池木くんは前を歩いてたけど、結構背中大きくてびっくりした。

 抱きつきたい衝動にかられるのを押さえるのに必死だった。


 帰ってそのテンションのまま、借りた本を読んでたら、お弁当のシーンがあって閃いた。

 お弁当のシチュエーション最高じゃない!?


 胃袋から掴めと言うもんね。


 そして、ごはんの後、無理言って買い物に連れてきてもらった。


「大丈夫大丈夫。その池木くんがそんなに色んな台詞わざわざ言ってくれてるんだから……もうそれは脈ありでしょ。あんた、お母さんに似てかわいいし」

「だって! 全部嘘かもしれないじゃん! そもそも、池木くんが私の事を好きだっていう証拠がないよ! それに」

「はいストップ。いい加減にしなさい」


 お母さんは私の言葉を止めさせる。

 お母さんは怒ると怖い。いつも笑顔だから余計に怖い。

 私は黙り込んでしまった。

 すると、お母さんはため息を吐きながら言った。


「わかったわかった。じゃあ、とりあえず、美味しいもの頑張って作りましょ。話はそれから」

「え?あ、うん」

「ほら、行くわよ」

「あ、待って!お母さん!」


 結局、私が提案したものはほとんど却下され、お母さんが決めた。

 からあげってなんかかわいくない気がするけどいいのかなあ。


お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


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