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異世界系乙女ゲームに転生した攻略対象男子の話  作者: 卵かけごはん
第一章・異世界から転生編
4/7

ヒロイン攻防戦~従者を添えて~

※徹夜テンションです。

「アレン様、奇遇ですね!」


(奇遇って1日に何度も起きるもんだっけ?)


『青薔薇の奇跡』集団との不本意な接触の翌日からアレンはカレンの怒涛の猛アタックを受けていた。

偶然を装い、休憩時間や移動の合間を見計らったかのようにカレンはアレンに会いに来たのだ。


(あ~~…モテ期じゃねって喜んでた俺をぶん殴りたい)


中身は一般男子高校生のアキラ君もといアレン君。

恋愛脳のカレンやその周りに比べて、まだまだ恋愛なんて分からない。

どちらかというと本来なら校庭や体育館で友達とふざけて遊んでいるのが楽しいお年頃である。

今は、カレンから逃げ回り庭園の一角でクリスと落ち着いたところである。


「クリス、運動しよ」

「良いですが…何をされますか?」


唯一、事情を知る従者のクリスに「じゃん!」とボールを取り出して見せる。


「ルールは簡単。このボールをバウンドさせながらあの籠に入れた方の勝ち。ボールを奪い取ったり奪われないようにね」

「新しいお遊びですか」

「良いから良いから」


なんちゃってバスケを提案しクリスにこうやってバウンドさせてねーと説明をする。

最近では、言葉使いを注意されることはなくなった。

クリスの前とその他の前で言葉使いを臨機応変に使い分けることが自然と出来るようになってきたのだ。

そろそろボールと戯れたかったんだよねーと豪華な刺繍が施された制服の上着を脱ぎシャツの腕を捲る。


じゃ、いくよーとクリスに声を掛けた瞬間"彼女"は現れた。


「ここにいらっしゃったんですね!」

「ひっ」


カレンは攻略対象4人組を引き連れてやって来たのだ。

恋愛脳に疲れていた一時の癒し時間。

アレンに休まる時間はない。


「どうしたんだい?」


ささっと手慣れた手つきでクリスがアレンの制服を戻してやる。

アレンは焦る気持ちを落ち着かせながら冷静を取り繕う。

カレンの後ろの攻略対象からは冷たい目線。


(さっさとどっか行けってマジで)


完全に油断しきって通常運転だったアレンからしたらカレンを早くどこかに追い出したい。

そんなアレンの気持ちもどこ吹く風でカレンはどうでも良い話をつらつらと話してくる。


「今度の聖女祭に是非、ご一緒したくてお誘いに来ました!」

「聖女祭は王族として参列することになっているから一緒には行けないんだ。」

「それでしたら来月の学園祭ではご一緒いたしませんか?」

「学園祭の日は大事な執務があってね。どうしても外せないんだ。」

「学園祭の後夜祭はどうでしょう?星祭りがあるんです。」

「後夜祭はアイリーンと過ごす約束をしているんだ。」


あの手この手と何かしらの約束を取り付けようとしてくるカレン。

絶対イベントと関係あると踏んでいたものはすべて予定をいれるようにしているアレン。

二人の攻防戦がしばらく続いた後、予鈴がなった。


「時間ですので、私は行きますね!それではまた後で!」

「ハハ」


去っていくカレン一行。

乾いた笑いしか出なかったアレンはやっと解放されたとばかりにクリスに泣きついた。


「もうや~~だ~~」

「まぁまぁ」

「今日はもう帰ろう~~」

「それは駄目です。」


最近のアレンといえばクリスに甘えることが日常となっていた。

クリスもまた、慣れたようにアレンに僕たちも行きますよと窘める。



主が記憶の病に掛かってから当初、クリスは人格ごと変わったようなアレンに最初は戸惑っていたもののこれも今だけだと言い聞かせていた。

しかし、現在ではもういいやと諦め半分楽しんでる節も出てきた。

弱音を吐くことは一切しない、ひたすら高みを歩む第一皇太子アレン様。

それが今ではどうだろう。

尊敬の念を抱いて止まなかった主が今では、自分の前だけ年相応な姿を見せてくれる。

以前では考えられなかったことだ。

従者にあるまじき言い知れない感情が出てくるのも時間の問題だった。


(なんでしょうか…これは…)


駄々をこねるアレンを引きずりながらクリスは形容しがたい感情を持て余していたのだ。




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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして(^^) いや〜面白いです(^^) なかなか無い話です 主役が王子はありますが、王子は、少しヘタレ 従者の方に泣きつく ヒロインがグイグイくるのを必死になって 逃げ回る‼︎ またの…
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