第2話『踊る収穫祭!!』
私が桜美学院に入学してから、初めての夏がやって来ました。
初日に色んな事が一度に沢山起きて、ビックリくしたけど、私は元気です!
何やら商店街ではお祭りの準備をしてるみたい、賑やかで、いつもと違うそんな雰囲気、何かが起こる予感がするんです。
「お前ら明日から夏休みだが、気を抜くんじゃないよ、学院生らしい振る舞いを心掛ける様に!。」
「逢坂号令。」
「起立!、、礼!、、お疲れ様でした。」
♪キンコンカーコン キンコンカーコン
ガヤガヤ ガヤガヤ
2年F組の教室では、響子達が夏休みの相談をしていた。
「やっと1学期終わったわね、、響子は夏休み何かする予定あるの?。」
「私は、特に無いかな、、地元では、プールしか行ったこと無いから、、あ!、、でもお祭りならあるよ!。」
「私はぁ~、海に行きたいですぅ~、、お魚さんと遊びたあぃ~。」
「萌歌それ、どちらかというと、、水族館よね?。」
「玲子ちゃん、そういえば商店街で、お祭りの準備をしてたよ!。」
「そうそう、毎年やっていてね、『夏祝収穫祭』っていって、今年の野菜の豊富を祈願するお祭りなのよ。」
「沢山お野菜がぁ~、貰えたりするんですよぉ~。」
「私、野菜好きですよ、人参、ピーマン、ほうれん草とか、嫌いな食べ物無いです。」
「私はぁ~、、トマトが苦手ですぅ~。」
「響子は凄いな、、私は茄子とピーマンが嫌いなのよ。」
「玲子ちゃん好き嫌いは駄目ですよぉ。」
「あんたが、言うなあんたが。」
「夏祝収穫祭か、、浴衣とか着ようかな~。おかぁちゃん入れてくれたかな?。」
「浴衣!、、良いわね、新しいの買わなきゃ。」
(可愛い浴衣着て、管理者さんを悩殺するわよ)
「浴衣ですかぁ~、私はぁ~、、にゃんこの付いた、ピンクの可愛い浴衣が良いですぅ。」
ピシャ
教室の扉が勢いよく開いた。
そこには、担任の麻布が、凄い形相で睨めていた。
「お前達!、、いつまで教室にいるんだい?、
もう、終業のチャイムは鳴ってるんだよ!、、早く寮に帰りなさい!。」
はーい!
麻布の一言で、響子達は慌てて、教室から出て行った。
管理人室内
俺が管理人をしてから、数ヶ月が経った。
あの騒動で学院長に任されて、女子寮を管理する事になったが、最初は慣れないことをして大変だった。
先輩の三鷹好美さんは、面接の時の厳しいイメージは払拭され、話すと意外にフランクな人だった。
管理人業務とは、女子寮から出たゴミを各自ゴミ庫に捨てもらい、それを管理人がまとめて決められた曜日に出す。
缶、瓶、ペットボトル、紙、燃えるゴミ、燃えないゴミ等だ。
俺の住んでるマンションとは違い、ここの学生は徹底されている、分別が完璧な為に殆んどゴミを出すだけで良い。
それが終わると今度は、フロア内の清掃だ。
一年、二年、三年と順番に掃除していく、
掃き掃除、モップ掛け、トイレ掃除は流石にあれなので、三鷹さんが担当だ。
三鷹さんは、男子寮を管理している訳だが、
男子トイレは俺が担当することになっている。
そして、校門前、校舎裏、等も対象だ。
「清掃おわりました!」
「渋谷君早いわね。」
「どう?あれから数ヶ月慣れた?」
「はい、一時はどうなるかと思いましたよ、
三鷹さんに喝を入れられて、なんとか出来るようになりました。」
「感謝してますよ好美さん。」
「はいはい、ちゃっかりしてるわね、あんなにどうしようかな?、辞めようかなって言ってた癖に、、しかし学院長も思い切ったことするわね、女子寮に、男の管理人なんて、前代未聞よ。」
「そりゃ辞めようと思いますよ、好美さんスパルタなんだから、俺も未だに信じられませんよ、、男子寮の面接受けに来て、今女子寮で働いてるんですから。」
「確かにそうよね、私も信じられないわ。」
「ところで、生徒さん達とは上手くやれてるの?。」
「はい、あの一件以来、どうも好かれてしまって、、まぁ嫌われるよりは良いんですけどね。」
「高校生の彼女、、良いわね~、せいぜい辞めさせられないように、気を付けなさいよ。」
「からかわないで下さいよ三鷹さん、肝に命じておきます。」
♪キンコンカーコン
「そろそろ生徒達が帰る頃ね、見廻りに行くわよ!。」
「はい!分かりました。」
管理人の仕事は、清掃業務の他に、校内の見廻りもある。
居残りの生徒が居ないか、この前みたいに不審者は居ないか等を見廻る。
校内
「それでさぁ、四ッ谷先生がさ、そうした訳よ。」
「え、嘘!、幻滅。」
「あ!私も知ってる。」
「こら!、下校の時刻過ぎてるわよ、さっさと帰りなさい。」
やば!、はーい
「全くしょうがないなあの子達は、何回注意すればいいんだ。」
「通算10回目よ。」
「三鷹さん、数えていたんですか。」
「メモを取ってあるだけよ、もう10冊は書いてるわ。」
「それだけ言うことをきかない生徒が多いんだな~。」
「次行くわよ。」
「はい!」
二人は隈無く居残りの生徒を探したが、他に見付からなかった。
「他には居なそうね、まぁ毎回言われたら学習するでしょ。」
「きっと三鷹さんが怖かったんですよ。」
「何よ、その言い方。」
「じゃあ私は帰るから、渋谷君あとお願いね、っていうか、今日から当分会わないわね、夏休みだから。」
「そうでしたね好美さん、では二学期
に!。」
三鷹と別れた宗一郎は、校門の方へ向かった。
門を閉めようとしてるところに、逢坂玲子が駆け寄ってきた。
「今日もこれで終いだな、さぁて明日から夏休み、、何をしようかな。」
タッタッ
「管理人さーん!」
「君は確か、逢坂さんだね。」
「はい!そうです、、玲子って呼んで下さい。」
「待ってくださぁい、、玲子ちゃん速すぎますぅ~。」
「逢坂さん、、置いていかないでよ~。」
「響子と、萌歌遅いわよ。」
「君達今帰りかい?。」
「はい!そうです。」
「管理人さんは、夏休み何するんですか?、私達お祭りに行こうかなって皆で話してたんですよ。」
「お祭りか、、懐かしいなアイツと行ったっきりだな、、。」
「よ、良かったら一緒に行きませんか?」
(本当は管理人さんと二人っきりで行きたいけど。)
「うーん、、少し考えさせてくれないか?、、予定確認しないといけないから。」
「分かりました、、予定わかったら教えて下さいね!。」
「ああ、わかったよ、寄り道せずに帰るんだよ。」
宗一郎は響子達に背中越しから手を振った。
響子達は宗一郎と別れ、商店街の方に向かう。
商店街では、祭りの準備が着々と進み、綺麗な装飾で彩られており、あちらこちらに、ちょうちんがあった。
「お祭りの準備進んでますね~。」
「そうですねぇ~、、姫ちゃんは初めてですもんね。」
「私らは2回目かな、、去年は萌歌がはしゃいで、疲れた想い出しかない。」
「そぉ~でしたっけ?。」
「そうよ、私がどれだけ苦労した事か、、。」
「あっはっは、目に浮かびますよ。」
三人が談笑していると、ひとりの髭を生やした恰幅の良い男性が声を掛けてきた。
「おや、君達は去年確か、うちの店を手伝ってくれた子達だね?」
「あ!八百屋のおじさん。」
「そうですよぉ~、あの時は大変でしたね~。」
「本当にあの時は助かったよ。」
「いえ、いえ、どういたしまして。」
「何があったの?」
「去年お店の人が倒れて私達が代わりにお祭りの準備をして、お店を出展させたんですよぉ~。」
「いや~、盲腸で入院してね、この子達に出てもらったんだよ。」
「なるほど、そんな事があったんですね。」
「あ!そうそう、大事な話があったんだ、去年に続き悪いんだが、代役を君達に頼みたいんだ。」
「!」
「実はね、収穫祭に出場する、ダンサーの人達が、予定が合わなくて来れなくなってしまってね、代役を探していたんだよ、それで去年の事を町長に話したら、是非とも君達に代役を任せたいと言われてね。」
えー!
「私達が!」
「その人達の代わりに?」
「踊るんですか~?」
八百屋のおじさんの突然言われ、響子、玲子、萌歌は驚いて目を丸くした。
「詳しい話は町長から聞いて欲しい、町長は今、設営テントに居るから、行ってごらん。」
三人は事態が飲み込めないまま、町長の待つ設営テントに向かった。
設営テントの周りでは、工事現場の人達が
急ピッチで作業をしていた。
沢山の足場に、ペンキの匂い等辺りにたちこめていた
ガンガン
ゴンゴン
「大変な事になりましたね。」
「ダンスなんてやったこと無いわよ。」
「私だって日本舞踊しかぁ、踊ったことないですぅ~。」
「お祭りは何時なんですか?」
「来月よ。来月の第二土曜日。」
「1ヶ月もないですよぉ~。」
「…」
「取り敢えず町長の所に行くわよ。」
三人は困惑しながらも、町長の待つテントに着いた。
「あのう、八百屋のおじさんに言われて来たのですが、誰か居ませんか?」
玲子は三人の代表として、声を掛けた。
すると奥の方から、町長らしき人物が現れた。
「すまないね、今取り込んでいてね、君達がダンスを代わりに踊ってくれる子達だね?。」
三人 「はい!」
「ありがとう助かるよ、流石桜美学院の子は違うね~。」
「当日の衣装の手配はきちんとしておくからね、他に必要な物があったら遠慮なく言ってくれて構わんよ。」
「期限は少ないが、期待しているよ。、、それではワシは忙しいのでな、失礼するよ。」
町長は満面の笑みを浮かべながら、奥へと消えていった。
「行っちゃいましたぁ~。」
「詳しい打ち合わせとか色々聞きたかったのに。」
「大丈夫でしょうか?」
「な、なんとかなるわよ!、頑張りましょう!。」
一方響子達と別れた宗一郎は、自分の部屋に帰っていた。
「また、、夏がやってきたか。」
宗一郎は天井を見上げながらふと呟く。
「……夏祭りか。」
「アイツとよく行ったっけな、金魚すくいが大好きで、子供みたいにはしゃいでいたな。」
「笑った顔が好きだった…、優しい声も。」
「でも、、そのアイツはもういない…。」
「─────」
宗一郎はふと彼女の名前を呼んだが、当然のように返事は無く。
静けさだけが辺りを包み込んでいた。
その頃、響子達は町長に頼まれた収穫祭の催し物である、ダンスの練習の為振付けをバックダンサーに教わっていた。
三人は本格的なダンスは素人なので
基礎の2ステップから、始めることにした。
「こうですかぁ~?」
違います、こうですよ
「ぶつかるー!」
「もう!響子なにしてるのよ!危ないじゃない。」
「収穫祭までに間に合うんでしょうか。」
「間に合わせるのよ!」
「ふぇ~、目が回りますぅ~」
果たして響子達は収穫祭に間に合うのだろうか
続く
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え~第二話 如何だったでしょうか?
響子達のダンスや、宗一郎の秘密が少し明らかになりましたね。
いつの間にか、年が明けてしまいました。
なるべく更新しますので、アカデミアをよろしくお願いします。
さぁ、収穫祭にダンスは間に合うのか!
宗一郎は管理人として、これからやっていけるのか?
前途多難の第三話をお楽しみに。




