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第3話 とある戦姫にまつわる話
その国では。
たくさんの争いがありました。
わくさんの犠牲がでました。
いくつもの戦火が生まれて、消えていきました。
その戦いのさなか、決して消えない明かりを灯した戦姫が存在しました。
戦姫は、多くの戦場を駆け巡りながら、ただひたすら戦い続けながら、戦争に終わりをもたらそうと頑張っていました。
けれど、何をしても途切れぬ争いを前にして、戦姫の心は折れてしまいます。
膝を屈した戦姫は、自分が作り出したなきがらを前にして、涙を流し続けます。
なぜ世界には、こんなにも争いが満ちているのか。
なぜ人々は、憎悪と悲しみを生み出し続けなければならないのか。
答えはありません。
誰も答えを知りませんでした。