表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第5話 選択次第

「コーヒーを飲むんだね」

「飲んじゃダメかい? こう見えても君より年上だよ?」

「そんなまさか! 嘘を言っちゃだめだよ!」

「いえ、事実です。 この方は」


女性がそう男の子の名前を言おうとした瞬間、私から言うよと言葉を遮った。


「私はアトスとでも呼んでもらおうかな。 こっちにいる女性はイリスと言う。 改めてよろしく」


アトスと名前を名乗った男の子は、側にいる女性の名前も伊織に伝えた。伊織は日本人風な見た目なのに、変な名前だなと感じていた。


「私たちの名前がおかしいかな? これでも結構な年月を生きてて変だとは言われたことないんだけどな」


コーヒーを飲みながら伊織にアトスが言うと、イリスがそろそろお時間ですとアトスに耳打ちをした。その言葉を聞いたアトスは、伊織に話しかけた。


「君の運命はこれから回り始める。 それは希望の未来か絶望の未来か分からないが、そのどちらに転ぶかは君の選択次第になる」


伊織は自身の選択次第と言われて、重い重圧を感じた。自身の未来が希望か絶望の未来があると聞き、絶望ってなんだと不安に駆られていた。


「どうして俺なの!? なんで!」


伊織が不安な顔をしながらアトスに聞くと、アトスが君が事故に遭遇をした時に、意識がこの世界と繋がったからだと言う。


「意識が繋がったから!? それだけで!?」

「それが重要だ。 意識がたまたま繋がったのが君の不運で、未来が分岐したんだ」

「未来が分岐!? どういう意味なの!?」

「少しは自分で考えるといいよ。 君の輝かしい未来が分岐し、希望の未来と絶望どちらかに進むこととなる。 それだけさ」

「それだけって無責任な!」


伊織が男の子に詰め寄ろうとすると、イリスが伊織を静止した。


「そこまでです。 それ以上近づいてはいけません」


イリスに静止された伊織は、止めないでくださいと叫んだ。すると、イリスが伊織の右腕を掴んで地面に組み伏せた。


「痛い!? 何するんですか!」

「止まらないからです。 アトス様はそのままで」


イリスがアトス様と言ったことから伊織はやはり主従関係にあるのかと察した。イリスはいおりの腕を離すと、アトスの横に移動をした。


「少しは落ち着くといい。 最近の狂人化現象を知っているか?」

「知ってます。 そのせいで俺の両親が……」


伊織が知っていると言うと、アトスはそれを解決してほしいと伊織に言う。伊織はその言葉を聞いて、どうして俺がと返答した。


「希望の未来に進みたいんじゃないの?」

「進みたいよ」

「なら狂人化現象を解決していけばいいだけだ。 負のエネルギーによって起こる狂人化現象を解決すれば、君の未来が切り開かれる」

「どうやって解決すればいいの!? そこを教えて!」


伊織が解決方法を教えてと言うが、アトスとイリスがそれは既に知っているはずですと伊織に言う。


「前にこの世界に来た時に手渡したモノがヒントだよ。 もう時間だね、次にこの世界に来る際には狂人化現象を抑えてくれていると嬉しいね」

「では、ここで失礼いたします。 伊織様のご無事をお祈りしています」

「待って! まだ聞きたいことがあるんだ!」


伊織が手を伸ばすと、意識が引っ張られる感覚を感じて元の世界にある身体に意識が戻った。


「待って! まだ!」


伊織は眼を開けて叫ぶと、目の前に愛奈と哲雄がいた。伊織はベットに寝かされていたようで、伊織は何が起きていたのか理解出来ていなかった。


「あっ! 目を開けた! 突然大きな音がして部屋に行ったら床に倒れてたから心配したよ!」

「そうだぞ。 新しい生活で精神的に疲れてたのか? 明日から高校生活が始まるんだから、今日はゆっくりしてまた今度散策するといいよ」


哲雄が伊織にコップに注いである水を手渡して飲ませる。伊織はありがとうございますと言って水を飲むと、不思議な夢を見ていましたと言った。


「黒い空間にいて、昔事故に遭った時に見た子供と女性がいました」

「何かその夢には意味があるのかな? 啓示とか?」


哲雄が伊織に言うも、伊織は分かりませんと答えた。愛奈は伊織に二時間も倒れていたんだから、今日はゆっくりしてよねと言う。


「そんなに倒れていたんだ……心配かけてごめんね……」


伊織は水を全て飲み干すと、愛奈の頭を撫でた。撫でられた愛奈は頬を紅く染めた。


「あ、ごめん! いきなり過ぎたかな!」

「いや、大丈夫……おじさん以外に撫でられたの初めてだったから、びっくりしちゃって!」

「急に撫でてごめんな。 妹が出来たみたいでつい……」

「私もお兄ちゃんに撫でられて嬉しいわ! てか、妹みたいじゃなくてちゃんとした妹だよ!」


愛奈も伊織の頭を撫でると、伊織はありがとうと微笑しながら言う。その二人を見ていた哲雄は、良い兄妹になりそうじゃないかと微笑んでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ