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第53話(ギルドからの依頼4/賞金首)

[五十三]


 途中で1回、野営をし。昼に短めの休憩を入れ、その日の夜も遅くなったころに、目的としていたウラガーン村に到着する。

 赤道に添って在る村なので、村としては規模が大きく。冒険者ギルドもあれば宿屋も数は少ないが複数あるということであった。

 そのため、村に入る少し前で盗賊を下ろし、エルンストに馬車をしまってもらい、村に入ったところで、エルンストとミュケースとレイスに宿屋の確保を頼み、残りの4人で冒険者ギルドに向かう。

 アスピスは知らなかったことだが、冒険者の上位クラスの者たちや護衛団に属する者たち、騎士学校へ入った者たちの左目には、男性限定らしいのだが、犯罪者リストが刻み込まれているらしい。冒険者ギルドや騎士学校にある訓練場などで定期的に更新するそうだ。賞金首の盗賊たちについても、そこから情報を得たとのことだった。

 そして、賞金首の盗賊たちを引き連れて、どの地にあろうと必ず24時間運営している冒険者ギルドに入って行くと、受付窓口にまずは向かった。

「温泉村……って、違った。ハイセクヴェレの村の方に連絡を入れておいた者なんだけど。賞金首の盗賊を3名捕まえたので、その処理をお願いしたくて」

「ちょっとお待ちください。冒険者カードの提出もお願いします」

「あー。はい。これが、俺の。他のもいります?」

「いえ。ルーキス様のお名前で連絡されているのでしたら、現在はこれで大丈夫です。功績に関しましては――」

「今、別の依頼の遂行中なんで、そっちにプラスしておいてください。最後にまとめて分配するので」

「分かりました、それでは賞金首の方を連れて、奥の部屋へどうぞお入りください」

 案内されるままに入った部屋は、がらんとしていて、なにも無かった。そして、しばらくしたら女性2人と男性2人の4人組が室内に入ってきて、賞金首の盗賊たちを値踏みし始めた。そして、賞金首であることを確認し終えると、今度は女性たちがどんな精霊術を使ったのか、盗賊たちが急に従順になり、アイテムボックスを開くと、男たち2人が使用する許可を出させた。

「このアイテムボックスだが、どうする? そのまま持ってくか? それとも換金するか? つっても、換金分の金は町にある冒険者ギルドで行ってもらって、そこで払ってもらうようだが」

 中身を覗くと、『S』サイズのアイテムボックスを持っている者が1人と、『B』サイズのアイテムボックスを持っている者が2人で、中にはかなり色々と貯め込んでいるようであった。

「んー。そうですねぇ。アイテムボックスは貰うとして。中身はSランク以上の武器やアイテムがあったら、それを残して他は全部換金してください。換金分は、現在遂行中の依頼が終了したときに、一緒に受け取りますので」

「了解した。それじゃあ、明日の朝までには処理を行っておくから、朝になったら寄ってくれ」

「分かりました。お願いします」

「いや。こちらこそ、賞金首を捕まえてもらって助かったよ。しかも3人いっぺんなんて。また、よろしく頼むぜ」

「運が良かっただけですよ。また、運が良ければ捕まえますんで。それじゃあ」

 愛想よく、すべての対応をルーキスが行ってくれたおかげで、アスピスにはやり取りの内容はさっぱりだったが、話は済んだようである。

 とにかく、アスピスに分かったことは、明日また来いということであった。

「じゃあ、レイスが迎えに来てくれてるはずだから、ギルドのイートインスペースに行こうか」

 すでに部屋の出口へ向かっている2人と異なり、呆然としていたアスピスを促すようにして、ルーキスはこの部屋を後にする。

 冒険者ギルドとはいっても、サイズは王都にあるものよりもかなり小さく。イートインスペースもさほど広くなく、飲み物などを売っているらしい店はあるが品数は少なく、どちらかと言うと持ち込み式といった感じであった。

 そこに、レイスがひとり座っているのが確認できた。

「よう。待たせたな」

「いえ。思ったより早かったくらいですよ。どうでしたか?」

「まぁ、なかなかなんじゃね。カロエなんて、喜んでるぜ。『S』サイズひとつに『B』サイズふたつだからな。それだけでも、かなりのプラスだ。その上、中身もそうとうため込んでいるようだったからな。Sランク以上の武器やアイテムはそのまま受け取るようにしておいたけど、それ以外は換金してもらうよう頼んでおいたから、うまくすれば、借金を返せるかもしれねぇぞ」

「それはすごかったですね。まぁ3人でしたしね。かなりの幸運ってところでしょうか」

「あぁ、功績もそれなりにもらえそうだし。ラッキーでいいんじゃね。馬車から落ちちまったアスピスは災難だったけどさ」

 なぁ。と、アスピスの頭を撫でるルーキスをみて、レイスが慌ててアスピスに近づいてきた。

「そうでした。肩を打ったんでしたよね。大丈夫ですか?」

 心配そうに語り掛けてくるレイスを、アスピスはまじまじと見てしまう。

 王都を出てから、もしかしたら、声を掛けてくれたのは初めてのことかもしれない。

 やはり、口を聞けないでいた理由は、ここにいないミュケースにあるようだと、アスピスは確信に近い感情を抱いていた。

「どうしました? アスピス」

「急に口をきいてくれなくなるし、接触を避けられるし。混乱してるんだろ」

「あぁ、そうでしたね。すみません。もう少しだけ、がまんしてください」

 レイスはそう告げると、アスピスをそっと抱きしめてくる。

 瞬間、アスピスはレイスの首に腕を回す様にして、抱きついた。

「あーぁ、こりゃ。しばらくここで休んでから、宿に行くようだな」

「すみません」

「まぁ、仕方ねぇさ。これも仕事だ」

 ルーキスはそう言うと、飲み物を買いに店の方へ向かい、シェリスとカロエが、空いている席に座って、アスピスが落ち着くのをしばらく待っていてくれた。



「ミュケースさんが、エルンストと離れたくないそうで。ちょうど大部屋が空いていたので、その部屋を確保しました」

「何人部屋なの?」

「6人部屋なので、だれか、アスピスと寝てもらうようですかね。ベッドは大きめなので、問題ないと思われます。それと、アネモスも入室を許可されて、中で待っています。それから、入浴用の温泉があるそうで、24時間利用可能ということでした」

「なら、俺と一緒に寝ようか?」

 ルーキスが自身を指さし立候補してみせた瞬間、シェリスが思い切り旦那の頭を殴っていた。

「12歳はもう立派な女性よ。アスピスに失礼でしょ」

「えー。だって。俺、もう嫁いるし。手なんか出さないぞ?」

「そういう問題じゃありません。っていうか、アスピスに執着しちゃうのは仕方ないとして、今は黙って見ているエルンストに、後でまとめて仕返しされるわよ」

「うっ……」

「そういうことで、私がアスピスと寝るわ。アスピスもそれでいいわよね?」

「うん。シェリスがそれでいいなら、お願いします」

「本当に、アスピスは優しい子ね」

 シェリスはそう呟くと、アスピスをそっと抱きしめる。

「そういえば、お風呂にも入れるのよね。一緒にはいりましょう。背中を流してあげるから」

 シェリスはそう告げると、アスピスをゆっくり促すようにして、レイスの案内してくれた宿屋に入って行った。

 そして、借りたという大部屋に入ると、エルンストにべったりくっついて離れる様子のないミュケースの姿が、さっそく目に入ってきてしまう。

 アスピスはそれをあえて見ないようにしながら、シェリスが選んだベッドに腰を下ろした。

「シェリス。悪いが、ミュケースを風呂へ入れてやってくれないか?」

「あら? 私でいいの? 入れるのはかまわないけど」

「普段ひとりで入ることをしていないらしくてな」

 エルンストの台詞に、シェリルは得心がいったというように小さく頷く。

「まぁ、そうよね。伯爵令嬢ですもの。いいわよ、それじゃあアスピスと3人でお風呂に行ってくるわ。エルンストとレイスもその間に入ってきちゃってくれる」

「わかった。そうさせてもらう」

「そうですね。それがいいかもしれませんよね」

 シェリスの提案に、エルンストとレイスがあっさり同意し、アスピスたち3人がお風呂へ向かうのを確認してから、2人もお風呂へ向かって行ったようであった。



 盗賊に襲われ、御者席から落ちるという失態をやらかし。運が悪いと思っていたが、賞金首の盗賊が含まれていたことで、村に立ち寄ることになり、数日振りにお風呂に入れたことを考えると、幸運だったかもしれない。

 背中を流してくれるというシェリスとの約束は、シェリスがミュケースの入浴の世話を一手に引き受けることになったため、お流れとなってしまったが、それでも久しぶりに汗を流したことで、すっきりでき、冒険の装備をいったん倉庫にしまって、アスピスは、質素な膝丈のワンピースを身に着ける。

 その間も、シェリスは大判のバスタオルを体に巻き付けただけの姿で、ミュケースの着替えを手伝い、髪を乾かし梳かしたりしていた、

(本当に、自分じゃなにもできないのかな?)

 体を洗うのも、髪を洗うのも、全部シェリスが行っていた。

(まぁ、でも。たしかに……)

 アスピスは自分でできるからと、すべて拒否したが、眠りにつく前の約1ヵ月の間、アスピスの専属となったメイドが、無言のままお風呂に一緒に入ってきたりして、思い切り驚かされたり。朝起きたときと、夜寝るときの着替えを、手伝いを越えた範囲で手を出そうとしてきたりしていたことを思い出す。

 貴族にとっては、そういうのをやってもらうのが当たり前なのかもしれない。と、アスピスは思いを改める。

 そして、ミュケースの面倒を見終えたシェリスが着替えるのを待って、3人で部屋へと戻って行くと、すでにお風呂から上がって、やはり普段着になっていたエルンストとレイスが室内で待っていた。

 瞬間、猛烈なダッシュで室内に駆け込むと、ミュケースが飛び付くようにしてエルンストに抱きついた。

 瞬間、アスピスは唖然としてしまう。そんなアスピスを、シェリスは軽く背中を押すようにして、ふたりのベッドへ促していった。

「アスピス、シップを張り直しましょう。肩の内出血、かなりひどかったもの」

「ありがとう」

 シェリスに礼を告げると、「いい子ね」と言いながら、すーすーとする薬草の塗られた布をアスピスの肩に貼ってくれた。

「さぁ、お風呂にも入ったし。遅い時間になってしまったけど、夕食を食べに行きましょうか」

「それでしたら、先ほど、みなさんが冒険者ギルドで査定を受けているときに、手掴みでも食べられるものを買っておきましたので。今夜はそれで済ませませんか? もう遅いですし、アスピスの寝る時間も過ぎてしまっているので」

「あら、気が利くわね。さすがはレイスだわ。どうせ食堂に行っても、お酒が入った人ばかりでしょうから。今夜はそれを済ませてしまいましょう」

 レイスの提案に異論はないと、シェリスはあっさり承諾する。するとレイスはアイテムボックスを開いて、中から肉が挟まれたサンドイッチのセットを飲み物と一緒にみんなに配り、最後に生肉の入った皿をアネモスの前に水と共においてあげていた。

 そして、それぞれみんなが「いただきます」と言いながら、サンドイッチの包まれた紙を開いて、頬張り始める。

 食事中の会話は特になく、みんな黙々と食べていく。そして、食べ終わった者から、紙と飲み物が入っていたカップをゴミ箱に捨てていくと、次々とベッドに横になって行った。

「アスピス。無理はしないで、残して大丈夫よ」

「うん」

 なんとかサンドイッチをひとつ食べ終わったところで、手の動きが止まってしまったアスピスへ、シェリスがそっと小声で告げてくる。そして、アスピスの元から包み紙ごとサンドイッチを受け取ると、再びサンドイッチを包み直して紐で結わきとめると、残した飲み物と一緒に、ベッドの脇に設置されているサイドテーブルの上にそれを置いた。

「食べ終わったのなら、もう、横になりましょう。アスピスはもう寝ている時間でしょ」

「まだ平気だよ」

「だめよ。目的地までまだあるのだから、ベッドでゆっくりできるときは、しっかり眠るのも大事な仕事よ」

 シェリスはそう言うと、まだ食べ途中のサンドイッチと飲み物をサイドテーブルに乗せると、アスピスを横にさせ、毛布を掛けてくれる。

「私も食べ終わったら、横に寝させてもらうけど。気にしないでね」

「うん。おやすみなさい」

「ゆっくり休んでね。おやすみなさい、アスピス」

 シェリスはそう告げると、アスピスの邪魔にならないよう片隅で食事の続きを開始した。

 そして、しばらく経った後、食事を終えたシェリスが、傍らに潜り込んでくるのを感じながら、アスピスは眠りの中へと落ちて行ったのであった。



 翌朝、アスピスは目を覚ますと、ゆっくりと体を起こす。まだ誰も起きてないようで、周囲を見回すと、エルンストとミュケースが抱き合うようにして一緒のベッドに寝ている姿が目に入ってきた。

 そして、入り口側のベッドが空いているのが目についた。

(これなら、シェリスに1人で寝てもらえたのに)

 そんなことを思いつつ、ベッドから下りようとしたら、次々と目を覚ます人が現れる。そして、「おはよう」と言い合う中、エルンストとミュケースも目を覚まし、起き上がってきた。

 これで、ひととおり全員目を覚ましたことになる。

 それからは、部屋の隅に用意されている洗面具を順番に使い、みんな顔を洗い終えると、それぞれ冒険の身支度を開始する。

「アスピス。着替える前にシップを張り替えましょう」

「うん。ありがとう」

「いいえ。早く治るといいわね。痛そうだわ」

 薬草の塗られた布を張り替えてもらうと、アスピスも二本の三つ編みを作り、冒険着に着替え、鞄を肩に掛ける。そして、その後は隠れるようにしてコンタクトを付け替えた。

 そして、みんなもそれぞれ冒険着に着替えると、アネモス用の朝食を並べ置き、宿屋にアネモスを残す形で朝食を摂りに行き、それを済ませると、冒険者ギルドに立ち寄った。

 中に入ると、受付窓口にルーキスが寄っていく。

 すると、利用する人が少ない上に、遅い時間に賞金首を3人も連れて来たことで印象深かったのだろう。受付嬢が即座に反応してみせた。

「ルーキス様、こちらは昨日お預かりした証明書です」

 そう言って差し出されてきたのは、ルーキスの冒険者カードであった。それを受け取ると、すぐに所定の場所へしまい込んだルーキスに向け、3つの小さな四角い塊を差し出してきた。

「こちらがアイテムボックスになります。中はきちんと清掃させていただきました。その分、手数料がちょっと引かれていますが」

「あぁ。ありがとう」

「それから、あちらにあるのがSランク以上の武器とアイテムです。他の賞金首を捕らえてくださった賞金と、アイテムボックス内にあった品の換金分と、盗賊たちを捕らえた功績分は、現在遂行されている依頼のお支払い時に一緒にお渡しするよう手続きをしておきました。他に、なにかありますでしょうか?」

「いや。それで十分です。ありがとう。けっこう量があったし、大変だったでしょ」

「いえ。それがここの仕事ですので。またのご利用お待ちしております」

 ルーキスの台詞に、受付嬢はにっこり微笑むと、頭を下げる。それに対してルーキスは再び「ありがとう。また、利用させてもらうからよろしく」と言って、みんなとSランク以上の武器とアイテムが置かれている場所へ向かっていく。

「だれか、欲しいもの、あるか?」

「ナイフ、みたいなのあるかな? あたし、武器とかって持ってないの」

「ナイフか、ちょいまってろ」

 ルーキスはそう言うと、今回手に入った武器やアイテムが収められている箱をひっかきまわして、底の方から適度な大きさのナイフを引っ張り出してきた。

「これなんて、アスピスでも持てるんじゃないか?」

「うん。軽くて持ちやすい」

「じゃあ、それはアスピスが貰っちまえ」

 笑いながら、あっけらかんと言うルーキスへ、アスピスは慌てて口を開く。

「え? お金払うよ」

「いいって。あの盗賊やっつけたのって、アスピスじゃん。武器のひとつくらい貰ったって誰も文句は言わねぇよ」

 ルーキスはそう言うと、他になにか欲しい人がいないか確認し、誰もなにも言ってこないことを確認する。

「そんじゃ、後は。俺がいつもの通り一時預かりしとくから。アイテムボックスもたまってきてるし。今度皆で一度整理するぞ」

 そう言うと、ルーキスはアイテムボックスを開くと、2つある『S』と記さているボックスの一方にアイテムを箱ごと担いで、中にしまい込んだ。

 ちろっと覗いたら、同じように箱に収まった武器やアイテムがあちこちに置かれていて、かなりの量があるみたいであった。

(これまでルーキスが冒険してきた証、みたいなもんなのかな)

 冒険者クラスの『S』を目指しているというルーキスである。きっと、かなり頑張っているのだろう。

 ちなみに、入り口脇にある棚を開いたのを見た瞬間、アスピスは呆気にとらわれた。

 高価とされている、アイテムボックスやポストが引き出しいっぱいに入っているのだ。換金したら、かなりすごいことになるだろう。

(見なかったことにしよう)

 そうしよう。と、アスピスは決意すると、ルーキスのアイテムボックスを覗くことを止めることにした。

 そして、冒険者ギルドでの用事を済ませると、アネモスを呼びに行って、宿屋を引き払い、村から出ると、馬車をアネモスに引いてもらう形で、エルンストのアイテムボックスから出してくる。

「さて、今日は俺が御者席に座るかな」

 んー。と伸びをしながら、カロエが告げると、ルーキスが「本当に大丈夫かぁ?」と揶揄うように告げていた。

 ルーキスは騎士学校へは通っていなかったが、冒険者クラスはカロエより上のAなのである。それもエルンストやレイス、シェリスやフォルトゥーナとは異なり、職業による恩恵を受けることなく自力のみで手に入れたクラスである。そのため、冒険に関してはエルンストたちと同じか、それ以上に長けているらしい。ただ、正式な御者の方法を習ったことはないようで、エルンストなどに教えてもらいながらの自己流らしいく、知識として足りない分は経験で補っているようだ。

 そのため、クラスが上であるエルンストやレイス、シェリスに対して、礼儀上一歩引いているところはあるが、エルンストたちからは相応の信頼をされているようであった。

 そのため、今回の御者も、ルーキスに頼んだようである。

 しかし、一日中、目の前でイチャつくという訳ではないがエルンストにミュケースが引っ付いている姿を目の前にしながら、エルンストとミュケースの会話以外の音のない、沈黙に包まれた馬車の中にいることに飽きてしまったカロエは、限界を訴えるように、御者役を引き受けたがったのである。

「仕方ねぇな。俺が隣に座っててやるか」

「うわー。オレ、信用ねぇ」

 ショックとばかりに頭を抱えるカロエへ、ルーキスはにやりと笑う。

「御者役は任せられるが、周囲への注意力がまだちょっと足りてねぇからな」

「うおっ! こないだなんて、草原走らせたんだぜ」

「お! すごいじゃねぇか。腕あげたなぁ。俺は草原は苦手だからなぁ」

「へへぇ」

 自慢げに笑うカロエへ、ルーキスは御者役を譲り、宣言通りにその傍らにルーキスは腰を落とす。

「後ろは、いいか?」

「えぇ。みんな乗ったわ」

「じゃあ、出発だ」

 カロエはそう叫ぶと、アネモスに赤道へ戻り先へ進んでくれるようお願いをしたのであった。

誤字脱字多発中。少しずつ直していきます。すみません。

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