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第32話(判決)

[三十二]


 温泉から帰宅して、早一ヵ月。

 アスピスは帰路につく日の朝から、意識を失い高熱を出して寝込んでしまったのだが。それは、アスピス特有の、マナが無限にある故に、自身の精霊使いとしての限界値を超えても精霊術が使えてしまうため、精霊術を使い続けたのが原因だと、アンリールに説明され、医者に見せる必要はなく、ただ力が復活するまで寝かせておくしかないのだということで、馬車の中央の空間に布団を敷いて、そこに寝かせて帰路についた。そして、帰宅してから二日も経った頃、それまで高熱を出し浮かされるようにして寝ていたのが嘘のように、元気を取り戻したアスピスは、周囲のお願いを聞いて、念のために一日だけ休養を取り。その翌日から、ほぼ連日、アンリールから結界の張り方や精霊術の使い方。精霊使いとしての心構えなどを学んですごしていた。

 ある意味、とても充実した日々であった。

 そんな中、ついに待っていた日が訪れたのである。ウロークをはじめ、今回のアスピスの拉致・監禁に関わった者たちへの処罰がようやく決まったようであった。

 当事者であるアスピスと、その使い魔。兼、六聖人の守り手である六剣士であるエルンストとレイスも同席するよう、シェーンの手紙から伝えられてきた。

 そのため3人揃って、指定された時間に合うように、少し余裕を持って、シェーンの元へ向かって行った。

「こういうことって、自室でいいの?」

「単に報告してくれるって、だけのことだろ。正式な処罰は、別の場所で、裁く相手を呼び出して行われたはずだ」

「ですね。おそらく事後報告でしょうから。処分等の告知は、すでに本人にされていると思いますよ」

「そもそも、シェーンに一任するって言ったって、その許可を王が出したとしても、政の監視役の元老院を――それも、今回の件は元老院のひとりであるウロークが主犯なんだ。それを、完全無視して処分を決定するわけにはいかねーだろ。それに、それだけじゃねぇ。ウロークが後ろ楯となっている六聖人(赤)のアンリールが関わっているからな。六聖人の監視役の六賢者だって、黙ってないだろうしな。だから、双方の意見もそれなりに取り入れての、処分の決定になっただろうから、そこそこ正式に判決が下されただろうよ」

 シェーンの自室に招かれていたことに、疑問を感じていたアスピスへレイスとエルンストがそれぞれ自身の考えを口にする。

「そっか」

 昨日まで、アンリールは変わることなく、アスピスの精霊使いとしての先生をしていてくれていた。時に厳しく、時に優しく、限りなく丁寧に、アンリールの持つ精霊使いとしての知識をアスピスに伝えてくれていたのである。そして、昨日も「また、明日」と言って別れたのだ。

 その時すでに、アンリールは判決を言い渡されていたのだろうか。それとも、その後で言い渡されたのだろうか。

「先生、続けてくれるかな」

「続けてもらえるといいですね」

「処分の内容次第だろ」

 アスピスに肯定的に応じてくれたレイスに反し、エルンストは少し突き放すような感じで言い放ってみせた。

 実際に、エルンストの言う通りである。内容次第なのだ。

 だから、悪気があってのものではなく。素直でないエルンストなりの優しさなのだと、アスピスは受け止めた。



 歩いている最中、貴族街の中に到着するとほどなく、アスピスの歩く速度に焦れたエルンストに強制的に抱えられ、アスピスは文句を言いながらも、だんだん慣れてきたことで、暴れるようなことはせずにエルンストの腕に大人しく収まり、王城の商人用の門のところまで連れて行ってもらった。

 アスピスとしては、先日の黄色い声が記憶に深く刻み込まれていたことで、ここからは再び自分の足で歩くつもりだったのだが、エルンストは違ったようで、アスピスを抱いたまま王城内へと入って行った。

「え? ちょっと。さすがに下ろそうよ」

「なんでだ? この方がお前だって楽だろ」

 慌てるアスピスに向け、平然と応じてくるエルンストは、城の中での自分たちの扱われ方を分かっていないのだろうか。

「消えたい……」

 使用人用の出入り口から中へ入ったまでは、未だいいとする。それでも、その際にすれ違ったり、遠目からエルンストやレイスの姿を確認した年頃の女性と思われるメイドや使用人たちが、2人の方へ注目してきて、エルンストに抱かれているアスピスの存在にきつい視線を送ってきているのが、肌から伝わってくる。

(視線で、殺されるかもしれない……)

 これまで知らなかったが、視線とは肌に突き刺さるものだと知った瞬間であった。

 そんなアスピスの心境による呟きに、レイスはおかしそうに微笑んだ。

「大丈夫ですよ、襲ってきたりしませんから」

「2人とも、もてすぎ」

「そうか? 六剣士だから、物珍しいだけだろ」

「稼ぎがいいし、捕まえられたら運がいい。くらいの気持ちで見ているだけですよ」

「そうなの?」

 エルンストは通常営業として、レイスにしては珍しい類の発言に、アスピスは首をかしげて聞き返す。

「そんなもんですよ。それに、フォルトゥーナにだって、思いを寄せて遠目から見つめている男性がいっぱいいますからね」

「あー。フォルトゥーナってもてそうだよねぇ」

「綺麗ですからね。どうしても人目を引いてしまいますよね」

 アスピスが納得するよう呟くと、同意するようレイスが応じた。が、ちょっと待て! と瞬時にアスピスは心の中で停止を求める。

(見た目がいいのは、2人も一緒だろーが!)

 自覚がないのだろうか。

 おっとりしていて優しいレイスに、不愛想で口の悪いエルンスト。タイプが重なってない分、黄色い声も二倍というところか。

「シェーン様の部屋は分かってるの?」

「そうじゃなけりゃ、きちんと手順踏んで案内してもらってるってぇの」

「何度かシェーン様の部屋にお邪魔したことがありますからね」

「この複雑な城の中、よく覚えられるね」

 アスピスが、もしここに置いて行かれたら、確実に迷子になれる自信があった。

 そんな無駄な自信に満ちたアスピスの台詞に、エルンストが呆れたように、器用に肩をすくませる。

「滅茶苦茶に見えて、ちゃんと法則性があるんだよ」

「お城って大きいですからね、廊下がいっぱいあって迷ってしまいそうですが、全体的にみると規則的な作りなんですよ」

 言っていることは同じなのに、台詞と口調が違うだけで、全然違ったものに聞こえてしまうのが不思議である。

 慣れているので、アスピスにはまったく気にならないのだが。

 そして、ある角をまがった途端に廊下の装飾が白を基調とした、見るからに高価なものへと一変した。

 同時に、アスピスがエルンストの腕の中から、廊下の上に下ろされる。

「ここからは、王族関係の方たちの暮らすスペースになりますから」

 レイスは小声でそう言うと、返事をしようとしたアスピスに静かにしているよう伝える意味を持って、刹那的に、立てた人差し指をアスピスの口元へ押し当てた。



 細やかで丁寧な細工が施されている観音開きの大きな戸を前に、ドアノッカーを軽く叩き、レイスが声を張り上げた。

「六剣士(緑)のレイスが参りました」

 続けて、エルンストも声を上げる。

「同じく六剣士(黄)のエルンストが参りました」

 ここは、もしかしてアスピスも口上を述べるべきだろうかと思ったが、なんと言えばいいのか分からなかったので、黙っていることにする。

 そして、中ではその声に反応するよう人が動く気配がして、扉の方に足音が近づいてくるのを感じ取る。

 ほどなくして、観音開きの扉の一方が開き、中からシェーンが顔を覗かせてきた。

「シェーン様?」

「あなたたちが来るからって、人払いしちゃってて」

 うふふ。と、悪戯っぽく瞳を揺らしながら告げてくると、3人へ向け「中に入ってきて。人がいないから、気楽にどうぞ」と、扉から離れて行ってしまった。

 こうなったら、勝手に入って行くしかないと、レイスも覚悟を決めたのか「失礼します」と声を上げ、とびらをひとが通れるくらいに広げると、部屋の中へ入り、アスピスとエルンストが入って来るのを待って、扉を閉めた。

「シェーン様、いくらなんでもあなたが出迎えに出てこなくても……」

 シェーンが座っているソファーの方へ向かいながら、レイスが困った表情で進言する。

「あら、いいじゃない。声でみんなが来たことが分かってたんだし。見てごらんの通り、中には武力王国であるキセオーツで鍛え上げてきたイヴァールも、六剣士(青)のカサドールも、六聖人(青)のアンリールも控えているんですもの。なにも危険なことなんてないでしょ」

「ですが、奔放すぎます」

「あら。それが、私だもの」

 レイスの台詞に、シェーンはあっさり応えると、にこやかに微笑んだ。

「とにかく、三人は、そこに並んで座ってちょうだい」

 軽く手のひらを上にするようにして指示されたのは、三人掛けのソファーであった。

向かい側にはシェーンとイヴァール。角を挟んで双方の間となる場所に、一人掛けのソファーがふたつ並べられていて、そこにアンリールとカサドールが既に座っていて、3人が来るのを待っていたようである。

 それぞれの前には、すでにコーヒーが置かれ、テーブルの中央にはお菓子や軽食用のサンドイッチなどが並べられていた。

 そんな周囲の様子を見ながら、エルンストにアスピスにレイスの順番でソファーに座って行く。

「あ、ちょっと待ってください。すぐにコーヒーを入れますから」

 そう言って席を立ったのはイヴァールであった。そして、宣言通りそう時間を置くことなく、3人の前にも、他の人と同じ食器にいれられたコーヒーを並べていく。

 見るからに高価そうな装飾が施され綺麗な絵が描かれたカップとソーサー。それに金色のスプーンである。

 そして、3人の前に砂糖やミルクが入った入れ物を並べ置くと、イヴァールは先ほどまで座っていた場所に腰を落とした。

「それで、本日呼び出された件だが――」

「せっかちね。あなたたちは来たばかりなのだから、あなたたちがコーヒーを飲み、お菓子をせめてひとつまみくらいして、落ち着いてから、話し出そうと思っていたのに」

「こっちとしては、話しが気になって、お茶やお菓子どころじゃねぇよ」

「エルンスト、言葉遣い。言葉遣い」

「人払いしてんだろ。だったら、かまわねぇだろ」

「えぇ。エルンストの話しやすいようにしゃべってくれて大丈夫よ。そういう意味も含めて完全に人払いしたのですもの」

「すみません。シェーン様」

 ほらみろと言わんばかりのエルンストの様子に、レイスが肩身が狭そうに謝罪を口にする。

 そんな二人の間で、アスピスはカップを手に、中に入れられたコーヒーをそのまま口にした。

「――ッ」

「馬鹿だろ、お前。普段砂糖とミルク入れるくせに。なにブラックで飲んでんだ?」

「うるさいなぁ」

 ちょっと格好をつけただけじゃないかと思いつつ、エルンストの発言で、却って恥をかいてしまったとアスピスは軽く拗ねるように唇を尖らせる。

 その脇で、レイスが和らかく笑いながら、角砂糖の入った入れ物の蓋を開けていく。

「この量なら、砂糖1つにミルク多めですね」

 そう言うと、角砂糖をひとつカップの中に落とし入れ、その後ミルクを少し多めに注ぎ込む。

「ありがとう、レイス」

「いいえ」

 お礼を言いつつ、スプーンで素早くコーヒーと砂糖とミルクを混ぜ合わせ、アスピスは再びコーヒーを口にした。

(うん。この味、この味)

 いつものコーヒーだと満足しながら、アスピスはコーヒーをもう一口含むと、カップを慎重にソーサーに戻していく。それを見ていたシェーンが、大きなクッキーの盛られた皿を指し示した。

「このクッキーがおすすめなのよ。ちょっと大きいんだけど、美味しいのよ」

 そう言うと、1枚手に取り、アスピスの手に乗せる。ちょうど、アスピスの手と同じくらいの大きさのクッキーだった。

(……)

 これは食べない訳にいかないようだと、アスピスはクッキーを持ち直すと、少しずつ齧っていく。

 そんなアスピスをしばらくは見ていたエルンストであったが、限界が来たようである。アスピスがクッキーの半分も食べてない内に、口を開いた。

「もういいだろ。用件を話せ」

「主役のアスピスが食べているところじゃない。もう少し待てないの?」

「本来、子供に聞かせる話じゃねーだろ。だから、代理人として俺たちが呼ばれたんじゃねーのか?」

「まぁ、外れてはいないわね」

「だったら、かまわねーだろ。こいつも、食いながら聞いていればいいんだしよ」

「しかたないわねぇ。そんな急ぐほどの話でもないんだけど。そうね、アスピスの帰りが遅くなっても悪いし。話を始めちゃいましょうか」

 シェーンはカップを手に取ると、コーヒーを一口すすり、ほぉっと吐息を洩らすと、カップをソーサーに戻す。そして、改めるようにして座り方を整えると、話し始めた。

「まずは、主犯のウロークね。今回のことだけじゃなくて、脅迫とも言えるけどシェリスへの暗殺依頼の件もあるし、ロワの誘拐の件もあるから、残りの元老院全員の意見の一致で、元老院としての席を返してもらうことになったわ」

「それだけなのか? アスピスは2度も命を狙われたんだぞ」

「もちろん、それだけじゃないわ。殺害すること自体は失敗に終わっているから、国内だけど追放ということにしたの。もちろん、場所はこっちの指定で、地図にも載らないくらいの僻地の、宿屋も冒険者ギルドも満足なお店もないような小さな村に、見張り付きで隠居してもらうことになったわ。年も年だし、あの年でこれから畑仕事や酪農を始めさせるのはさすがに酷だから、本当は自給自足の生活をさせたかったんだけど、これまでためたお金で衣食住に関わる必要最低限のものは買っていいという条件にしてね」

「ずいぶんと中途半端で微妙だな」

「あら、そう? たしかにアスピスの命を狙われたことを思うと、エルンストたちにとっては気に入らない処分だと思うかもしれないけれど、元元老院に在していた者としては、プライド的にズタボロよ。それに、まさか死刑にもできないじゃない」

 死人が出ているというのなら、話は変わるが。ウロークのたくらみは、ことごとく失敗しているのだ。

 それを思えば。

 そんな思いから下されたシェーンの処分に、アスピスは納得していることを伝える。

「あたしは、それくらいの報復で満足できるよ」

 クッキーを食べるのをいったんやめ、シェーンのことをまっすぐ見つめながら、口を開く。

「というか、それくらいが限度なんじゃないかな」

「さすが、アスピスね。分かってくれて嬉しいわ」

「だって、あのお屋敷でメイドや使用人や執事、それに料理人なんかを雇って優雅に暮らしてきたのが、一転して、ビオレータが暮らしていたような掘っ立て小屋で、お店とかもない中で、これまで他人任せだったことを自分でやっていかなくちゃいけないんだよ。しかも、70過ぎてから始めるんだよ。十分すぎると思うな」

「そうは言うけど、アスピスを殺そうとしただけじゃねぇんだぞ。シェリスを脅迫して、ロワを誘拐して、更にはアンリールを長いこと縛り付けてきたんだ。シェリスの苦悩やアンリールの苦悩は、これから先も続くんだぞ」

「じゃあ、エルンストはどうしてほしいの? 死刑とかは無理な以上、奴隷商人にでも売り払って、奴隷として一生誰かの下で貶められながら働いてほしいとか? でも、ウロークの年じゃ奴隷商人も買ってはくれないし、奴隷としても役になんて立たないから、奴隷として買ってくれる人もいないよ?」

「そうだけど。そうじゃねくて」

「この件に関しては、アスピスの方が、思考が大人ということね。エルンストの不満な気持ちも分からないでもないけど、私としてはできる限りの処罰を考えて与えたつもりよ。既に元老院としては除籍扱いだし。向こうの村に家を一軒立ててもらわなくちゃならないから、それもあって移住の準備期間として約1ヵ月与えてあるの。その間に、アイテムボックスに収まる範囲で、これから先、必要とする食料を買わないとならないだろうし。それから、これから行く村に合った服も買い揃えないとならないだろうし。それらの準備が終わったら、見張り役の兵士を二人ほど引き連れて、目的の村へ向かってもらうつもりよ」

「まぁ、そういうことなら……」

 なんだかとても渋々と言った感じで、エルンストは了承した。

 基本が熱血なので、シェリスやアンリールがこれから先ずっと、ウロークのせいで、苦しんでいくだろうことを思うと、エルンストはやるせない思いがするのだろう。

 でも、アスピスは思うのだ。

(エルンスト、わかってないなぁ。シェリスには、ルーキスやロワが。アンリールにはカサドールが付いているんだってこと)

 ひとりでは無理でも、愛する人が一緒ならば乗り越えていけることもたくさんあるはずである。それに、シェリスやアンリールが抱えているのは、ウロークによるものばかりではなく、根底には幼いころに刻み付けられた闇があるのである。

(完全に救い上げてあげるのは、無理だよね。忘れられるようなことじゃないもん。折り合いをつけて、抱えていくしかないんだから……)

 盗賊団にいいように使われていたことのあるエルンストだって、そのことをよく分かっているから、怒っているのだろうが。

(やさしいなぁ、エルンストは)

 それに比べて自分は。と、アスピスは思う。

 けれども、それ以上考え出すと終わりがないことも分かっていたので、アスピスは思考を止める。

 そして再びクッキーを食べ始めたころ、シェーンが説明を再開した。

「世話係の使用人は、ウロークの屋敷が取り壊されることになったこともあって、職を失ったって感じね。他の、ウロークが雇った、護衛役5人と傭兵3人は、王都への立ち入りが禁止となったわ」

「そうか。まぁ、あいつらはそんな感じだろうなとは思ってたからな」

「えぇ。ロワやアスピスを誘拐した罪はあるけど、王都に入れないのは、冒険者としてかなり厳しい処罰になるから。ほとんど自分がなんで雇われていたかも分かっていなかったようだし、これくらいが限度だったの」

「それで、シェリスやアンリールだが」

「あら、シェリスに関しては、警備兵とかに被害届とか出していなかったでしょ。つまり、そんな事件はなかったで、終わりよ。だから、ここにも呼ぶことをしていないんじゃない。アスピスも、あの件でシェリスをどうにかしたいとか思っていないわけだし」

 そうでしょう。と、問いかけてくるような目線を向けられ、アスピスはクッキーを食べながら、首を縦に繰り返し動かす。

「そういうことで、残るはアンリールだけど。これまた、シェリスもアスピスも警備兵に被害届を出していないんですもの。事件自体はなかったってことになるわね。ただ、そうせざるを得なかったとはいっても、後ろ楯であるウロークにいいように使われてしまっていたから。ウロークを後ろ楯から契約解除させて、今後は監視も兼ねて、エフィリスの本家筋になる六剣士(青)のカサドールに後見人になってもらうことにしたわ」

「へー……」

「将来を誓い合っている仲だそうだし。一生監視してもらえるから、本当に助かるわぁ」

 急に呆れた表情を浮かべたエルンストへ、シェーンが追い打ちをかけるよう言葉を重ねる。

 そんな2人に挟まれる位置に座ていたアンリールは、戸惑いながらも、頬を赤くしていた。幸せそうに見えるのは、アスピスの気のせいではないだろう。

「まぁ、そういう感じになったから。一任させてもらったから、一応の結果報告よ」

「了解した」

 言い終えると同時に、カップを手にし、コーヒーを飲み始めたシェーンへ向け、エルンストがあっさりと言い返す。

 その間も、アスピスはカリカリと大きなクッキーを食べ続け。それでもまだクッキーはかなり残っていて、正直どうしようとアスピスは思っていたのであった。

誤字脱字多発中。少しずつ直していきます。すみません。

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