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第19話(温泉へ行こう1/馬車)

[十九]


 フォルトゥーナとレイスの頑張りで、昨夜はかなり豪勢な夕食となっていた。それを、みんなで食べていたときのこと。レイスが唐突に「温泉にいきましょう!」と言い出した。理由は、アスピスがこの家に来てから色々なことが有りすぎて、日々目まぐるしく過ぎていったことで、アスピスに疲労の色が見えるから。というものであった。

 正直、温泉というものを知らなかったアスピスは、即座には反応できずにいたのだが、アスピスのリアクションのなさに違和感を覚えたみんなが、その理由を追及し。温泉というものを教えてくれて。更には、そこへ連れて行ってくれると言っているのだとアスピスが理解した瞬間、アスピスの表情が一転して輝き始めた。

 その効果も加わってなのだろうか。

 レイスが言い出しただけに、六剣士としての仕事が入っていないのは確認済みで、エルンストも反対する理由はないと言い。カロエに至っては、現在の職業は冒険者一本なので、予定の組み立ては自分次第ということから、大乗り気で賛成してみせる。

 フォルトゥーナも、六聖人(赤)としての仕事が運よく入ってなかったようで、アスピスの初めての冒険に同行できなかったことが未だに悔やまれていたらしく、温泉に行くことに異存などあるわけがないと賛同してくれた。

 ルーキス一家に関しては、今回の騒ぎに恐縮しきりといった態で、自分が誘拐されていた自覚がなかったらしい息子のロワは行きたそうだったのだが、誘拐されていた息子を取り戻したばかりの両親として、しばらくは家族水入らずで過ごしたいと、同行を断ってきたのだが――。その際の様子から、本心は、真似とはいえシェリスがアスピスを殺そうとしたこととか、ロワを救出するためにみんなに迷惑を掛けてしまったとか、なのにどの面下げて一緒に行けばいいのか分からない。といったマイナスの思考も混じっていたようだが。それだけだったら、カロエ辺りがごり押ししてでも一緒に連れて行くところであったろう。しかし、家族3人で静かに過ごしたいというのも嘘ではなく、ルーキスやシェリスの本心であるということも伝わってきたことから、今回は無理強いすることはせず、素直にその意見を受け入れることとなった。

 そのため、アスピスとフォルトゥーナ。レイスにカロエにエルンストの5人で温泉に向かう予定だったのだが、温泉に行く準備をするために用意した1日が仇となってしまった。

 朝食を済ませ、後片付けをし、出かける準備を終え。後はみんなで温泉へ行くための準備をしに買い物へ行こう! っとなった段で、訪問者が表れた。

 嫌な予感がして、無視したかったが、町へ通じている場所はこの家には正面にしかなく、仕方なくという感じで、レイスが玄関を開けた。

「おはようございます」

「お邪魔します」

 即座にという感じで、家の中に入ってきたのは、シエンとイヴァールであった。

 みんなはやっぱりと、肩を落とす。

 そんなみんなの様子に気づいたシエンが、みんなの失礼な態度に苦言を呈した。

「大歓迎してくれるとは思ってないけどさ。でも、だからって、さすがにそのあからさまな態度はどうかと思うな」

「というより、みんなで出かけるところだったんじゃないですか?」

 21歳にしてふくれっ面するシエンもどうかと思うが、目敏く相手の動向をチェックするまではいいとして。空気も読まず、悪びれずにそれを指摘してみせるイヴァールも、22歳として問題があるように思われた。

 なぜなら、もっとさり気なく、スマートに、これはお邪魔してしまいましたね。的な、この場は遠慮して帰りましょうか? といったような、気兼ねするような謙虚さが含まれていたならば問題ないと思うのだが、イヴァールの口調は便乗出来たら自分たちも一緒に連れて行ってもらおう的なものであったからである。

 そんなイヴァールの指摘から、シエンもみんなの格好に気づき、不思議そうな顔をした。

「朝から、みんなでどこかへ行くんですか?」

「ただの買い物だっつーの」

 瞳をキラキラさせながら、質問してきたシエンへ、エルンストが面倒くさげに応じてみせる。が、それはまったく意に介されなかった。

「買い物ですか、いいですね。なにか欲しいものでもできたんですか?」

「ちげーよ。明日、温泉に行くことになったから、その準備をしに行くだけだっての」

 出し抜けの2人の訪問に。しかも、場の空気を読むことをしない2人に焦れるよう応じたカロエへ、レイスやエルンストやフォルトゥーナが慌ててみせたが、時は既に遅かった。

「へー。それは素敵ですね! もちろん、僕も同行させてもらいますね!」

「お前に遠慮とかいうものはないのか?」

 嫌そうに、体裁を整えることなく、エルンストがぼやくが、シエンは当然とばかりに笑みを深める。

「いくら優秀なシェーンの影武者がいるとは言っても、俺が自由にできる時間は、どうしても制限されちゃうからね。同行できるときに同行しておかないとでしょ。じゃないと、アスピスとの距離も縮められないしね」

「シエンが行くのでしたら、もちろん俺も同行させてもらいますね」

 堂々と言い切ったシエンに、便乗するようにイヴァールが追従する。

 アスピスとしてはここで誰かが突っ込みが入るなりして、抵抗を試みるのではないかと思って見守っていたのだが、そういう予定はないようである。

 絶対に許可など出さないと思われていたエルンストが、一番に折れてみせた。

「ったく。図々しいにもほどがあるだろ」

 台詞こそ反対しているようだが、口調は完全に根負けした感じの穏やかさが含まれる。

「仕事の方は、本当に空いてるんだろうな?」

「さすがに、いくら俺でも、本業に抜けられない用事が入っていたら、そっちを最優先するさ。代役で済むようなことばかりだから、みんなについて行けるんじゃないか。イヴァールだってそうだぜ」

 なぁ。と、同意を求めるシエンへイヴァールが小さく笑いながら頷いた。

「それじゃあ、仕方がありませんね。ご一緒しましょう」

 次に折れたフォルトゥーナが、同行の許可を出す。そして、それが決定打となり、シエンとイヴァールも加えて、温泉旅行へ向けての買い物が始まった。



「どうでもいいけど、馬車を買わない?」

 町の中心となる、色々なものが揃えられる、王都自慢の商店街。その中には冒険ギルドも建っているのだが、今日は用事がないのでスルーする。

 いずれにしても、そんな商店街へ到着し、さっそく買い物をしようかというときになって、突然フォルトゥーナが提案してきた。

 ちなみに、本日は歩き回ることが大前提だったので、アスピスはアネモスに騎乗して移動していたため、アネモスも同行者であった。

「どうしました? 急に」

「馬なんて飼うような場所、うちにはねーぞ」

 困惑気に、レイスとエルンストが、フォルトゥーナに対応する。

 2人とも、フォルトゥーナのことだから、なんらかの意図があっての発言だとは分かっていても、その理由が分からないといった感じである。そのため、感じたままを口にする2人に向け、フォルトゥーナは自信満々に言い切った。

「馬なら、変わりになるものをすでに飼っているじゃない」

「え?」

「はぁ?」

「って、もしかして、アネモスのことか?」

 鈍いレイスとエルンストを差し押さえ、カロエがピンと来たようにアスピスが騎乗しているアネモスの方を指差した。

 気づけば、街中の視線を一身に浴びているアネモスは、諦め顔をして無害な動物を演じている最中であったため、反応に遅れたようである。

「なに? 我に馬車を引けと言うつもりか?」

「だって、サイズは自由に変化できるんですもの、ちょっとした馬車なら引けるでしょ」

「それに対しては是である。が、しかし」

「だったら、いいじゃない。無意味に馬車と並走するくらいなら、馬車を引く役目があった方が有意義じゃないかしら」

 妙に強気に言い切ると、フォルトゥーナはアネモスの返事を待つ。

 その間に入る勇気のある者は、この場にはなく。アネモスが口を開くまで沈黙が続いた。

「マスターがそう所望するならば、やぶさかではない」

「なら決まりね」

 アスピスが意見を述べるより先に、フォルトゥーナはアネモスとの会話をあっさり打ち切る。

(もしかして、フォルトゥーナって、実はこの中で一番の権力者とか?)

 アスピスだったら思いつかないことだったし。たとえ思いついたとしても、アネモスが「否」と返して来るだろうと想定し、最初から提案することをあきらめていたことだろう。

(ていうか、使い魔の扱いに慣れているのかな?)

 フォルトゥーナにも、現在18歳のレフンテという碧の瞳がとても綺麗な緑青の髪をした美青年の魔族の使い魔が、ちゃんといるのだ。それなのになぜ、アスピスたちの家に来る時や、冒険などに出るときに同行することをしていないかというと、ものすごい出不精だからだそうだ。書庫にこもってひたすらに本を読んでいるらしい。そのため、書庫はレフンテが座る場所を残し、本で埋まっているらしい。それが原因で、魔族であるにもかかわらず、眼鏡を必要とするようにもなってしまったそうである。

 レフンテの話題が上がる際、必ずというほど「魔族のくせに!」と口にするフォルトゥーナであった。

 そんなレフンテと使い魔契約をしたのは、アスピスが王城の地下に封印されるように眠りについてから、少し経ってのことらしい。「六聖人(赤)ならば代役といえども使い魔のひとりくらい持っていないとね」と主張したシェーン直々に引き合わせてもらったのが、契約する切っ掛けだったと聞かされていた。

 そう考えると、使い魔行使歴は約10年。手のひらで巧く転がすなんて芸当を覚えたのかもしれない。

 好き勝手しているレフンテを制御できているか否かは、別問題として。

(あなどれないなぁ)

 10年という年月がなのか、フォルトゥーナという人物がなのか、なのは微妙なところだが。

 そんなことに感心しつつアスピスが見守る中、残るは馬車本体となったことで、フォルトゥーナの意識がレイスとエルンストに向け直された。

「馬となってくれる使い魔がいるんですもの、馬車を毎回レンタルするなんて勿体ないと思わない?」

「そうですけど。馬車を駐車する場所を借りるのだってお金がかかりますし。冒険するたびに毎回目的地まで馬車を使う訳じゃありませんから。冒険先に必ず村があるとは限りませんし、村があっても規模が小さくて、預かってもらえる場所があるとは限りませんからね」

「それなら、馬車収納用に、中サイズのBか小サイズのCのアイテムボックスを買っておけばいいじゃない。レイスかエルンストなら、お金は持っているんでしょうから簡単に手に入るでしょ」

「そう簡単に言うなよなぁ」

「あら、ちゃんと考えて言っているのよ。足の悪いアスピスを冒険者として連れて回るなら、目的地までは馬車で移動できた方が都合がいいし。今回の温泉旅行なんかのように乗合馬車が発着している町を目的にするとしても、私たち人数が多いんですもの。席不足で全員は乗れないなんてこともあると思うわ。それだったら、自前の馬車があった方がいいと思わない?」

 ねぇ。っと同意を求めるよう、フォルトゥーナは買い物の同行者全員に視線を走らせる。

 即座に反応したのは、カロエであった。

「あー、オレ賛成! イス付きで乗り心地のいい馬車がいいな」

「カロエ。お前ってば、俺とエルンストに買わせる気満々だろ」

 兄としての勘か、額に軽く握り込んだ右手の人差し指の辺りを押し付けながら、嘆息しつつカロエへ苦言を呈するレイスは、困ったやつだと言わんばかりの表情を浮かべていた。

「出せって言うなら、多少なら協力できるぜ」

「借金持ちにそんな無理は言わねーよ。ってことで、アイテムボックスは俺が買うから、馬車のメインはレイスに頼む。足出た部分は――」

「いやね。2人だけに押し付けたりしないわよ。言い出したの私なんだし、私も馬車代に協力するわよ」

「んー。まぁ、今回は貸しってことで。俺とレイスで出し合うことにするさ」

 それでいいだろ。と、エルンストに問われ、レイスは当然とばかりに頷いた。

 そこからの2人の行動は早かった。それぞれに、目的とする場所へ向かって行ってしまう。

「今さらだけどさ、あたしも協力できるんだけど?」

「ふふ。心配しなくて大丈夫。お給料の額の基準って、上位職の場合、上位爵位持ちの貴族が貴族としてふさわしく暮らしていくのに問題ないだけって計算なの。だから、平民の生活を基準とした今の私たちの生活方法なら、それこそ持て余すくらいなのよ。それが毎月続くんだもの、勝手に貯蓄が膨らんでいくわ。そういう訳で、この程度のおねだりなら、あの2人にとって些細な範疇に収まるはずだわ。なら、ちょっとした見せ場を作ってあげるのも必要でしょ。いいところを見せたい相手がいるんですもの」

 フォルトゥーナへそっと近づき囁いたら、気にする必要なんて微塵もないわと言わんばかりに、アスピスに向け、フォルトゥーナはきれいにウインクを決めてみせた。



 最初に戻ってきたのは、アイテムボックスを冒険者ギルドに買いに行ったエルンストであった。それから少しして、大量の用紙を抱えたレイスが戻ってきた。

「一度、ギルドのイートインスペースにでも行かないかい? 馬車の見た目と中身を勝手に決めるわけにいかなくて、パンフレットを貰ってきたんだ」

「あら、さすがレイス。気が利くじゃない」

 そう言いながらも、事前に、レイスひとりでは馬車を選ぶことはできないと踏んでいたらしいフォルトゥーナは、レイスの意見を取り入れる形を取って、この場ではパンフレットを覗きもせずにギルドの方へ歩き出す。

 その後を続くようにして、みんなも歩き出し、ギルドのイートインスペースへ入って行った。

 冒険者のパーティに対応しているため、机のサイズも様々で、中でも大人数用のテーブルを選ぶようにして、フォルトゥーナは席に着く。続いて、カロエも席に着き。シエンとイヴァールもちゃっかり席に座っていく。そして最後に、アネモスから下りたアスピスが席に腰を落とすのを見計らって、エルンストとレイスが立った状態で中央となる位置に着くと、レイスがみんなの前にパンフレットを置いてみせた。

「急だったからあれだけど、貴族用のものを買う訳じゃないし」

「えぇ。もちろん基礎はサイズ的にも四輪の荷馬車風で、屋根はあった方がいいでしょうから、木で囲まれた箱型か、丈夫でしっかりとした防水加工のしてある幌型か、かしら」

「俺もそう思ったから、そういうのを中心に貰ってきましたよ」

「え~。あの貴族用の対面式ボックス型の外見もカラフルで豪華な馬車じゃねーの?」

 意気投合してるフォルトゥーナはとレイスの間に入るよう、カロエが残念そうに呟いた。

「ちょっと乗ってみたかったのになぁ」

「あのなぁ。赤道を走っているときは未だいいとして、あんなのが草原の中や森に沿って走っていたら変に目立って、盗賊に狙ってくれっていってるようなもんだろ」

「そりゃそうだけどさぁ」

 呆れた口調で述べられたエルンストの台詞に、納得しつつも、カロエはぺしゃりとテーブルに突っ伏した。それを脇目に、フォルトゥーナは真面目な口調で応じてみせる。

「ねぇ、カロエ。仮に貴族用を購入するとしたら、私だったら、オーダーメイドにするに決まっているじゃない。だから、今日明日に必要だから馬車を買おうと言い出した時点で、貴族用に手を出す訳ないことくらい察しなさいよ。それに、冒険者が貴族用の馬車を愛用してるところを見られたり、知られたりしたら、それこそ恥ずかしいわよ。絶対に」

「はぁー。儚い夢だったぜ」

「そんな夢を見る方がおかしいよ、カロエ」

 我が弟ながら、と。そんな口調で呟くレイスに、アスピスはほんのり疑似感を覚える。

(血縁がいるって、微妙よね……)

 先日の感想を思い出しながら、心の中でそっと思い。すぐにそれを心の底へしまうよう、中身がどんどん煮詰められている、みんなの会話の方へ意識を向けていく。

「それじゃあ、両サイドに幅が広めのイスが付いている、基本は荷馬車風のでいいのかな?」

「そうね。これくらい幅があれば、人が横にもなれるし。中央も十分余裕があるみたいだし」

 パンフレットのひとつを手に取りながら、確認するように視線を落としているフォルトゥーナが了承の意を伝える。

「問題は屋根よね。幌型がいいか、箱型がいいか。ちょっと悩むわよね」

「箱型の方が、雨風には強そうだけど、重くなるからね」

「我はどちらでも構わぬ。馬車の一つや二つくらいどんなものでも引いてみせるぞ」

 フォルトゥーナとレイスが真剣に語り合う中、アネモスが自慢げに口を挟む。そんなアネモスの声も届いてないらしく、フォルトゥーナが訂正するように、他のパンフレットを取り出して、レイスへみせる。

「基礎となる荷馬車の部分なんだけど。箱型なら、ちょっと値が上がるけど、サイドに簡易なスロットが5つあるミニキッチンとか棚が付けられるみたいね」

「あぁ、本当だ。一方のイスの後方部をそういうものに変えるのもありですね」

「馬車内で寝泊まりできれば、雨の時とか、ちょうどいい野営場所がない時に都合いいでしょ」

「えぇ、そうですね」

 2人の中で、何かが決まったようである。

 どうやら箱型の馬車になるらしい。それも後方にスロットが5つある簡易なミニキッチンと棚が装着された、当初予想していたものよりも、カロエが希望していたものとは違う方向性ではあるが、豪華な馬車になるようである。

 これでまた、ひとつ区切りがついたと、フォルトゥーナが見ていたパンフレットを他のものとは別にするよう脇に退け、再びレイスと語り出す。

「それで、色なんだけど」

「馬車の色は、緑とか青とか茶色のあたりが無難でしょうか」

「赤も可愛いと思うの。でも、無難さから言うと、やっぱり茶色かしら」

「あー、赤って可愛いね」

 レイスとフォルトゥーナが真剣に、パンフレットを確認しながら、外観を確認するようにして語り合う2人の脇から、アスピスが覗きこむようにして、フォルトゥーナが可愛いといった赤色に塗られた箱型の馬車を目にたことで、アスピスが素直な感想を口にする。

 瞬間、フォルトゥーナが言い切った。

「色は、赤で。後方に踏み台つき。御者席の上に屋根がしっかり付いている、前方と後方は雨避け付きの壁なしで! ってどう?」

「いいんじゃないですか? 後方に玄関タイプの扉ひとつの密閉タイプだと、いざというとき心許無いですし。雨や風が強い時は、空いてる空間に丈夫で防水加工された布を壁代わりに落とせるみたいですから」

 フォルトゥーナが指さした箇所を確認しながら、レイスは了承してみせる。

「それでは、注文してきます。先ほど確認したところでは、このパンフレット内なら今日の昼ごろまでに注文すれば、明日の朝には引き渡してもらえるそうですから」

「本当! ちょうどいいわね。じゃあ、申し訳ないけど、さっそくお願いね」

「はい。では、俺は注文してくるので。みんなは先に買い物をはじめていてくださいね」

 レイスは満足げにフォルトゥーナに応じると、足早に冒険者ギルドを後にした。

(なんか、ほとんど。フォルトゥーナとレイスの独壇場だったけど。大きな買い物がひとつ済んだってことか、な?)

 想定外の高価な買い物になってしまったけれども、言い出したフォルトゥーナのやり切ったという表情は、本当に申し分ないといった感じで。とてもキラキラしていた。

 それが、アスピスにも影響してきたようである。温泉もだが、馬車を引き渡してもらえるという明日が、アスピスもとても楽しみになって来ていた。

誤字脱字多発中。少しずつ直していきます。すみません。

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