第13話(新たな出会い2)
[十三]
「まぁ、そんなことがあったの」
これだから男って油断ならない。と、フォルトゥーナが、珍しくイライラとした雰囲気で、口を開く。
「まるで、アスピスのことを子を産む機械のように扱うなんて。女は男の都合のいい道具じゃないというのに……」
そう力説するフォルトゥーナを、レイスとカロエとエルンストが、慌てて口を押えるようにして押し止める。
「まぁまぁ、フォルトゥーナの意見ももっともですが」
触れてはいけない単語があるのだと、レイスは言外で告げる。が、フォルトゥーナには微塵も通じなかったようである。
「シェーン様は、キセオーツ王国のイヴァール王子の男尊女卑の思考に犯されてしまわれたんだわ。きっと……」
あぁ、なんて無慈悲な。と、嘆くフォルトゥーナを、3人が必死に落ち着かせようと頑張っている。
それを、食事用のテーブルでの最近の定位置に腰を落ち着け、お茶を飲むアスピスは傍観する気分で眺め見ていた。
フォルトゥーナが訪れて来たのは、昼を過ぎたころ。
午前中を読書して過ごしたアスピスは、疲れた目をこすりながら、下へ下りていき。昼頃に食べる軽食の準備をしているレイスの手伝いをしながら、他の2人が下りてくるのを待って、お茶を飲みながら軽食を開始し。そろそろ昼の軽食時間に終わりを告げようとしていたとき、玄関がノックされる音が家の中に響いてきた。
最初、またシエンが来たのかと、まるで戦いを挑むような雰囲気で玄関へ向かったカロエであったが、外に立っていたのがフォルトゥーナであったことに、一気に脱力してみせた。
その様子に、不審を抱いたらしい。
中の空気も、変だったのだろう。
昨日の出来事を、主にカロエ。時々訂正や補足をするようにレイスが口を挟む形で、伝えたところ、最初の怒りへと繋がったわけである。
その際、アスピスが最後にはなった子供の作り方云々は、誰も口にしなかったところをみると、やはり触れてはいけない事柄なのだろうと、嫌でもアスピスに伝わってきた。
なので、アスピスもそれ以上は触れないように気を付けることにした。
(産んで欲しいっていわれたんだから、気になりはするんだけどねぇ)
あくまでも本音を言えば、である。
けれども、聞くなと言われたら、そこまで知りたいわけじゃないというか。
(シエンを選ぶ、っていうか。シエンに限らず、この中の誰かを選ぶ自分っていうのが、想像つかないんだよなぁ)
それが、現状での、アスピスの素直な感想である。
だから、べつにシエンの子供を産む気のない現在、教えてもらえないならそれはそれでどうでもいいや。と、思ってしまうのだ。
そして、お茶を飲み終わる頃。席をそろそろ立って、午前中の続きでも読もうと思っていたところ、フォルトゥーナにがっしりと抱かれてしまったのである。
まるで。というか、フォルトゥーナ的には心の底から、アスピスに同情しての行為であった。
けれども、当の本人となるアスピスには、そもそもその気がないのだから、どうでもいいとまでは言わないけれど。それに似た気持ちを持っていた。
「フォルトゥーナ、あたしは大丈夫だから」
なにが? とは、自分でも思ってしまったことだが、今はフォルトゥーナに落ち着いてもらうのが先だと判断を下し、適切そうな言葉を選び出した結果の台詞となる。
それが果たして正解だったかは分からないが、フォルトゥーナは更に腕に力を込めていった。
「本当に健気っていうか。お人好しっていうか」
「そんなことないよ。いつも自分が最優先だもん」
「嘘よっ。アスピスがそんな子だったら、今頃あなたの左手に指輪が三つも四つもはまってないわよ」
年頃の私を差し置いて、失礼しちゃうわ。と、冗談を言う余裕が出て来たらしいフォルトゥーナは、ゆっくりとアスピスを離していく。
「それはね、結婚するしないは別にして、アスピスがみんなから大事にされている証なの」
「フォルトゥーナ。そうじゃないよ。これは、みんなの勘違い。この指輪の数々が描くあたしは、シエンは抜くとしても、記憶を美化したことによる偶像でしかないんだから」
ちょっぴり寂しそうに。けれどもきっぱりと言い切ったアスピスは、戸惑いを見せるフォルトゥーナにむけ、笑みを浮かべる。
「ねぇ。それより。今日の午前中に、なんだけど。ビオレータ様が残してくれた本を読んでいて、よくわから――」
ないところあったのだ。と、続けようとしたところで、再び来訪者が訪れたことを知らせるよう、扉からノックする音が響いてきた。
これが、ルーキス一家ならば、ノックと共に勝手に扉を開こうとするはずだから。鍵がかかっていて開かない扉を不審がり、ガチャガチャとさせるはずである。それがないということは。
「こん次こそ、ってことか」
王位継承権第一位の上、一人娘。更には、頭も切れるし、行使力もあるということで、周囲から頼られる存在となっているシェーンは、本来とても忙しい人物なのだ。それを、どれだけ有能な影武者なのか知らないが、二日も続けて抜け出して来るとはいい根性だと、カロエは玄関にずんずん向かって行く。
気持ちとしては、追い返す。それのみである。
けれども、扉を開いた向こう側には、シエンのみではなく。その同行者として、少し後ろに控えるようにして、マントを羽織り深くフードを被った長身の人物が立ってることに、想定外の事態と感じ、背後にいるみんなの方へ視線を向けた。
即座に追い返す予定が、思いも寄らぬ同行者を引き連れての訪問に、入室を断り損ねてしまったことで、タイミングを逸し。結局迎え入れることになった来訪者2人を、アスピスとフォルトゥーナを奥に移動させ、そのすぐ傍らにエルンストとレイスが立つ形で、迎え入れる。
シエンとしても、昨日の様子や。結婚を申し込んだ理由から、歓迎されないだろうということは分かっていたようで、別段表情を変えることなく、警戒されている現状を受け入れていた。
「彼は、イヴァール。アスピスの双子の兄にあたる人だよ」
「その話ですが、どこまで信憑性があるのかしら? 突然すぎて、正直、証拠かなにかなければ信じられないわ」
シエンの台詞を否定する者はなく、そのまま素直に受け取った昨日とは異なり、女性ゆえの機転なのか。シエンとはテーブルを挟んで反対側に立つフォルトゥーナが、一歩前に出るようにして語り掛ける。
「証拠と言われたら困りますが、まず、アスピスの瞳はキセオーツ王国の王の血を引く子供にのみ現れるものだということから、現国王が王位に就いた時期からみても、アスピスが現キセオーツ王国の国王の血を引き継いでいるということが大前提となります。それから、イヴァールの生まれた年月と年齢。対する、アスピスが奴隷商人に売られた年月。そこに捕らえられていた時間。それから、盗賊団に買われた年月。そこに捕らえられていた時間。それと、盗賊団を、イシャラル王国の兵士たちが討伐し、アスピスを救出した年月。それから、ビオレータの元で過ごした時間。を加味し、アスピスが時間を止められ眠りについたときの年齢などから、おおよその検討をつけ。それを裏付ける証人といいますか、アスピスを奴隷商人に売った人はさすがに見つかりませんでしたが、イヴァールが双子だったと証言してくれる人が数名見つかりましてね」
「それにしたって、突飛な話すぎませんか?」
「そんなことないですよ。エルンストも、アスピスの持つ瞳の意味を知った時、なにかを感じたのでしょう。独自のルートを通して、俺と同じ答えを探り出しているはずですよ」
そうですよね。と、同意を求めるようにエルンストへ視線を運んだシエンのことを、鬱陶しげにエルンストは睨み付けた。
そんなエルンストへ、フォルトゥーナが問いかける。
「本当なの? シエンの話は」
「あぁ。残念ながらな。だが、シエンのように悪用するつもりはないし。ただ、純粋に事実を知りたかっただけだ。それで独自に調べさせてもらった」
さらに言えば、事実を知ることで、あの瞳がある以上、キセオーツ王国と切り離しては考えられないアスピスの将来に、なにか役に立つことがあるかもしれないと思ったからなのだが、エルンストはそれを口にすることはしなかった。
「それを、お前は……」
「悪用なんて、失礼だなぁ」
困ったなぁ。と、シエンは肩をすくませる。
そして、話がまったくの平行線になっていることへ、業を煮やしたのとも少し違うようだが、イヴァールと紹介された青年が、フードを外しながら一歩前へ出て来た。
双子だと言われるだけあって、これまでにも城内を自由に歩くイヴァールの姿を、六剣士であるエルンストやレイス、そして六聖人の代役を務めていたフォルトゥーナたちは何度も見ていたので、イヴァールの外見などはすでに知っていたことなのだが、こうして改めて見てみると、瞳が緑なのも髪が青銀なのも、アスピスと同じなのだと実感する。
そんな、イヴァールの外見に気を取られているエルンストやレイス。フォルトゥーナにカロエたちへ向け、イヴァールは先ずはとばかりに頭を下げてみせた。
「俺の妹を、大切にしてくれて。本当に感謝している」
心からそう告げたイヴァールへ、慌てたのは、イヴァールを連れてきた、シエンである。びっくりしすぎて瞳を丸ませる。
「ちょっと。王族が、そう簡単に頭下げちゃだめだろ」
注意と共に、イヴァールの頭を上げさせようと、背を伸ばすよう手で指示する。
「つーか。連れて行けって言うから、連れて来たけど。まさかこのためとは、言わないよな」
「妹が世話になっているのだから、礼を述べるのは、理にかなったことじゃないのか」
「そーかもだけど。だからって、王族はむやみに頭を下げるもんじゃないんだよ。俺みたいに、王家とは無縁の存在になっている場合は異なるけどな。イヴァールはそうじゃないだろ」
仕方ないなというように、アスピスと双子ならば、シエンより1歳年上だろうイヴァールを相手に、世話を焼くようシエンは説教を続けてみせた。
「軍事国家であるキセオーツ王国は、イシャラル王国より、そういうこと厳しいはずでしょ。それなのに、なんでそんなに緩いかなイヴァールは」
「王族とは、難しいものだな。王族の証すら持ち得ていない俺でも、こんな風にがんじがらめになるのだからな」
イヴァールは自嘲するよう呟き洩らす。
けれども、イヴァールの本題は別のところにあったようで、改めるよう、話を始める。
「それで、話を戻すが。昨日のシエンの行動は、誤解しないでやって欲しい。実は、俺が発案したことなんだ。最初、シエン。というか、シェーンは猛反対していたが、アスピスが産んでくれる子供ならば、俺の双子の片割れであるアスピスの血ならば、俺とも血が近く、血筋上の問題は解決するし。なにより、この国を継ぐことになるシェーンと俺の子として。シェーンの後を継ぐ子として、愛するのはもちろん。王位を継ぐ者として安心して育てることができると思ったからだ」
「イヴァール。最終的に了解し、実行したのは俺だ」
「かもしれないが、それでシエンの。延いては、シェーンの名に傷を残しかねない状況に陥ったのだろう。だからこそ、真実を打ち明けておくべきだと思ったまでのことだ」
いくら、シエンとシェーンが別人として扱われているとしても、同一人物だと知る者は、やはりどこかで繋げてしまうものである。そのことを危惧し、自分のせいでシエンやシェーンが悪者扱いされることだけは避けたいと思ったイヴァールが、昨日の件をきちんと説明しなければと感じたらしかった。
「そもそも、俺が馬鹿なことを思いつかなければ……」
「いや。いずれ辿り着いた考えだろ。他に方法がないんだからよ」
反省しきりのイヴァールへ、シエンはあっさりと言い返す。
「それに今更で信じてもらえないだろうけど、上の者に逆らうことを絶対しないアンリールに、ウロークに盾突かせ。己の使い魔の未来を交換条件に、自分の時を止め眠りにつくことをあっさり承諾したという潔い少女の話を耳にして、男として心惹かれたのは事実だ」
シエンはそう言うと、アスピスを見つめ。その後、シエンに対して率直に疑問をぶつけてきている一番の対象であるフォルトゥーナを、ゆっくり見つめ返した。
「別にだからと、シエンとしては即刻起こしてやらなければと思った訳ではないし。起こさなければと思ったのは、純粋に、シェーンとしての役目上、そんなこと許せないと思ったからでしかない。更にばらしてしまうと、シェーンとしても慈善行為ばかりだった訳ではなく、事前に入手していた少女の瞳の件から、アスピスを起こした時点ですでに、イヴァールとの関係を導き出していたし。アスピスの内包するマナの量。その威力。精霊使いとしての未知数の素質。それ関連の邪心がまったく含まれていなかったと言ったら嘘になるのだろう」
一気に言い切ると、シエンは小さく息を整え。自身に向けて鋭い視線を向けてくるエルンストへ、視線を移した。
「ただ、これだけは言わせてもらうよ。シエンとして、その少女が目覚めた以上は、その少女に直接会いたいという気持ちが芽生えたのは事実だし。人の心を動かせ、且つ潔さを持つ少女に心惹かれてしまっていたことが、昨日の起動源のひとつであったことは否定できない」
「つまり、婚約を破棄するつもりはないと」
「あぁ。そういうことだ」
エルンストがアスピスを守るようアスピスの前へ立ち位置を変え、放った問いへ、シエンはあっさり頷き返す。
「強制的だったにもかかわらず、か?」
「それは申し訳ないと思っているが、同じ恋愛をするなら、アスピスのような潔い人がいい。そうすれば、一石二鳥だしな」
「こいつは、未だ12歳だぞ」
ためらいなく言い切るシエンへ、エルンストは瞳を眇め、不審感たっぷりに指摘する。
瞬間、シエンがおかしそうに大きく笑い出した。
「それを言ったら、おしまいだろ。君らだって、アスピスが12歳だと承知していながら、結婚を申し込んでいるじゃないか」
俺となにが違う? そう言いたげに、シエンは笑い続ける。
「それに、惚れるのに時間は関係ないだろ」
そう。出会う前から、惚れていたのだろう。アンリールのような堅物にまで影響を与えることの出来る、アスピスの強さに。
「そういう点からすれば、出発点は君らと同じはずだ」
昨日の茶化すような、どこか本心をはぐらかすような、そんな告白とは異なり。本心から発せられるシエンの言葉に、アスピスに結婚を申し込んでいる3人は言い返せずにいた。
そんな中、不意に、フォルトゥーナがエルンストに向き直る。
「話をぶり返すようですが、エルンストは、もしかして、シエンがこのような暴挙に出ることを予測できていたんではなくて?」
過去のエルンストの、シェーンに対する言動を思い出し、フォルトゥーナは真面目な表情で問いかける。
エルンストであったなら、それを適当にはぐらかすことも、容易にできたことだろう。けれども、それを許さない雰囲気を、フォルトゥーナは漂わせていた。
「あぁ、国の安泰が最優先と考えるシェーンがいずれ思いつくだろうとは、推量の域を出ないが、確かに想定はできていた」
「そう」
エルンストの肯定に、フォルトゥーナはしばし瞳を閉じ、そっと溜め息を洩らす。
「シエンの。いえ、イヴァール王子のでしょうか? まぁ、どちらでもいいですが、おふたりの考え出した手段は、決して許されるようなものでは。少なくとも、私には最悪の愚考だと思えます。ですが、男性にとって、なのかしら。自然と行き着いてしまう考えのようだとも、分かりました」
穏やかに綴られる、フォルトゥーナの台詞。ゆっくりと続けられていく。
「それならば、イヴァールやシエンを責めたところでしかたがない気もしてきますし。シエンの想いが本物だというのなら、私は邪魔をするのはやめます。他の3人と同様に見守りたいと思います」
「それは、とてもありがたいです。ありがとう、フォルトゥーナ」
想定外のフォルトゥーナの申し出に、驚くようにしてシエンはお礼を述べる。
しかし、フォルトゥーナは牽制することも忘れなかった。
「ですが、それはごく普通の青年としてのシエンに対してのことです。さすがに国がどうなろうが関係ないとは申しません。国内の安定は、六聖人の代役をしている私にとっても重要な案件ですし、隣国の武力大国であるキセオーツ王国と友好関係を築き続けることは、そのためにもとても重要なことだと思います。でも、その重荷を、六聖人としてではなく、この国の国民でしかありえない一人の女性であるアスピスの肩に強制的に背負わせるのは、見逃せません。再び、シェーンの子産みの代理として、シエンが国のためにアスピスを手に入れようとするのなら、私は自分の立場をフルに活用し、仲間を伴い、シエンの魔の手からアスピスを守り切ってみせます」
きっぱりと言い放たれたフォルトゥーナの台詞に、レイスやカロエが大きく同調してみせる。
「そうですよ。そのときは、俺も、フォルトゥーナと一緒に、アスピスを守るために戦います」
「うんうん。オレも、オレも。これまでアスピスは辛い思いをたくさんしてきたんだから、これ以上の重荷を背負わせるなんて許せねーもん」
2人がそれぞれ言葉を重ねると、エルンストやフォルトゥーナも含め、みんなの視線がシエンとイヴァールに向けられてくる。
瞬間、降参したようにシエンがため息を洩らした。
「わかりました。純粋にひとりの男としてのシエンとして、アスピスを口説かせてもらいます。国のことを置いておいても、その価値は十分にありますから」
「本当に、余計なことは考えるなよ」
未だいまいち信用し切れてない様子のエルンストは、シエンに忠告する。
「本当ですよ。最初に言ったでしょう、すでにもう、アスピスに惹かれているって」
「その中の理由に、問題があるんだろ。お前の場合」
「いやだなぁ。持って生まれた才能も、魅力の内のひとつですよ。べつにだからと、国に貢献させようだとか。って、既に六聖人(赤)の位に就いていましたっけ。っていっても、これから先20年くらいの間は、その役目の放棄を認めているし。利用しようとか思ってませんよ」
「その言葉、一応は、信用しておいてやる」
本心は別にして、まじめな表情でのらりくらりと言い逃れるシエンを相手にするのが疲れてきたのかもしれない。
エルンストはそう言うと、背後に隠すようにしていたアスピスの方を振り返り、見下ろした。
「とにかく、シエンには、決してひとりで近づくな。絶対に、どんなときでも、お人好しを発動させて、ひとりで近づいたりするんじゃないぞ」
「……」
ここは、『うん』と返事をしておくべきところなのかもしれないが。警戒心丸出しの、過剰なほどにシエンに対して牽制するエルンストに、半ば呆れる感じで、アスピスは無言のまま苦笑を浮かべてしまう。
「おい、返事は」
「はーい」
仕方なく、素直に返事をしてみれば、シエンが慌てたように声を上げた。
「ちょっと、待ってください。デートとかどうするんですか。他人を加えてしろって言うんですか」
「そういうのもいいんじゃないか?」
「エルンストだって、そうなったら苦言を呈するくせに。っていうか、イヴァール聞きましたか? 君の大事な双子の妹が、あんな意地悪な人とくっつくなんて絶対嫌ですよね!」
「あ、あぁ……」
巻き込まれるよう、唐突に名前を呼ばれたイヴァールが、慌てたように返事をする。
「はん。妹を人身御供にするようなこと考え出す兄なんて、アスピスの方から御免蒙るだろうさ!」
なにやら段々と子供の言い合いのようになってきていることに、エルンストとシエンは気づいているのだろうか?
周囲もちょっぴり呆れた感じの中で、2人はしばらくくだらない言い合いを続けた後、ようやく周囲の視線に気づいて口を閉じたのであった。
誤字脱字多発中。少しずつ直していきます。すみません。
第13話で「序章」が終わります。




